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導入事例
- 公開日:2022.1.12
- 更新日:2022.4.13
Creator4の3Dプリント技術を活用して、家具の設計と製造を再構築
AM(Additive Manufacturing)技術は、建築分野において新しい用途を見出し続けて、消費者の間で人気が高まっています。
FLASHFORGEは3Dプリント技術が家具の設計と生産プロセスの最適化に役立つことを実証し、この分野でAM技術の用途がさらに広がっていることを示しました。
この記事では、AM技術を活用して家具を製造するメリットを解説したうえで、FLASHFORGE製の3Dプリンター「Creator4」を使って3Dプリントした家具の製造過程をお伝えいたします。
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試作作業に3Dプリンターを導入することで知的財産を保護
家具メーカーの研究開発ディレクターであるリー氏は以下のように述べています。
「市場競争がますます厳しくなる中、私たちの成功はより良い製品をより短い時間と低コストで市場に出すことができるどうかにかかっています。昨年には、試作段階に3Dプリント技術を取り入れました。
これにより、予想よりも多くの利益をもたらしてくれました。1回あたりの試作時間は7~10日から2~3日に短縮され、コストも大幅に削減できました。しかし、コストよりも重要なことがあります。
それは、知的財産の保護です。
試作作業はこれまで、社外に受注していたため、常に知的財産の流出の恐れがありました。
ですが、3Dプリンターを導入したことで、社内で試作作業が行えるようになったため、知的財産流出の心配する必要がなくなりました。」
3Dプリンターを用いて家具を製造するメリット
家具製造業界では、従来の成形・生産・付属品設計のプロセスを利用して、商品を大量生産していますが、このような方法では、設計段階でカスタマイズやアレンジを加えたりすることができません。
FLASHFORGEによると、消費者市場ではこのようなモデルから個人の好みに合わせてカスタマイズができる個性的な家具への移行が進んでいるとのことです。
3Dプリンターは様々なカスタマイズができて、従来の方法よりもはるかに短い期間でこの需要に対応することができます。また、3Dプリンターは設計段階においてラピッドプロトタイピングを実現し、素材の選択肢も広げることもできます。
AM技術を生産ラインに組み込むことで、家具メーカーはサイクルタイム(1つの工程開始から工程終了までにかかる時間)の大幅な短縮とコスト削減が可能です。
3Dプリンター活用による家具製造の生産スピード
FLASHFORGEは、家具製造において3Dプリント技術で改善できる3つを特定しました。
・サイクルタイム
・工程の柔軟性
・材料の多様性
上記の3つの要素を改善するために、家具メーカーとケーススタディを実施しました。
ちなみに、この家具メーカーは自社で生産ラインと工場を構えていました。
FLASHFORGEはそこに、改善の突破口があると見出し、下記の2つの側面を最適化したいという考えに至りました。
まず初めに、家具は材料費がかかるため、材料費の削減を図りたいということ。
二つ目に、生産工程での複雑な手作業が正確性を欠くため、納期に支障をきたしていること。
FLASHFORGEは3Dプリント技術をビーチ、裏庭、キャンプ用家具などの特定分野に適用する計画を考案しました。
そのため、FLASHFORGE製のFFF方式3Dプリンター「Creator4」を用いて、T型ジョイントやローラーなどの家具のプラスチック部品を印刷し、メーカーの既存の生産方法と3Dプリントプロセスを比較してみました。
Creator4を使用した3Dプリント家具
Creator4は独立型デュアルエクストルーダー(IDEX)を搭載し、造形サイズは400×350×500mmと、大型モデルの造形も可能で、最終製品製造まで対応した3Dプリンターです。
FLASHFORGEはサンプル部品の設計から生産までの期間を短縮し、コスト削減ができるCreator4をこのプロジェクトに採用しました。このプロジェクトを取り入れたことで、サイクルタイムを5~7日短縮し、大幅に短縮された準備期間でほぼ完璧なサンプルを提供することできました。
さらに、設計プロセスのいかなる時点でもサンプルに変更を加えることが可能になりました。
この家具メーカーはCreaotor4を受け取ってから30日間で、安定したサンプルを作り続けることができました。
家具メーカーによると、5000時間を超える連続プリント、チャンバー温度(庫内温度)は65℃に保たれており、部品製造には最高の条件だと言っています。加えて、XYZ軸の最適化により、部品の精度も向上していきました。
家具メーカーが最後に取り組んだのは、素材の多様性です。
快適さ、強度、安定性など、家具の様々な要件を考慮して、これらのニーズを満たす必要があります。
このような用途では、ABSやASAといった素材が一般的ですが、今後の拡張性を考えると、FLASHFORGEはマルチマテリアルプリンターが必要であると判断しました。
Creator4の生産開始後、家具メーカーはPLA-CF(炭素繊維配合)とABSが必要な用途に適していることに気づきました。
PLA-CFは炭素繊維で補強されており、PLAよりも強固で、軽量です。
また、印刷時の収縮を抑えることもできます。
ABSは家具メーカーが製造したほとんどの部品に適しており、プロジェクトの部品をABSで印刷しました。
プロジェクトを通して、FLASHFORGEは製造プロセス内で3Dプリント技術を最適できるように、家具メーカーにノウハウを提供しました。家具メーカーは3Dプリンター「Creator4」に恩恵を受けたように、例えば、自動車部品、電化製品、工業製品など他のプラスチック製品のメーカーも、試作や少量生産のプロセスで利益を得る可能性があります。
今後はあらゆる業種・分野において3Dプリント技術が取り入られるでしょう。