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導入事例
- 公開日:2022.11.10
- 更新日:2022.11.10
【3D教育】海洋生物の研究に3D技術を活用!|海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト
3D技術は様々なモノづくりの現場で利用されています。
例えば、ゲームの画面上で処理されている映像技術、フィギュアを3Dプリンターを使ってモノを出力する造形技術、対象物の形状を3Dスキャナーを使ってスキャンする測定技術、3DCADソフトを用いて、部品や製品をデザインする設計技術。
今挙げたものはほんの一例ですが、モノづくりには3D技術が欠かせません。しかし、日本ではまだまだ3D技術が普及していないのが現状です。3Dモデラーの吉本大輝さんはこの課題を解決するために、「3D教育プロジェクト」に取り組まれています。このプロジェクトでは中学生を対象に、3Dプリンターや3Dスキャナーを使って、海洋生物の研究や成果を発表するというものです。
APPLE TREEは吉本さんの「今後社会で活躍する子供たちに3Dを普及させたい」その想いに共感し、FLASHFORGEの3Dプリンター「Adventurer3」を生徒たちに寄贈いたしました。この記事では、3D教育プロジェクトを始めるに至った経緯や授業内容、生徒さんの声をご紹介します。
海洋生物の研究に3Dプリンター・3Dスキャナーを活用
3D教育プロジェクトは日本財団「海と日本プロジェクト」の一環で、3Dプリンター・3Dスキャナー・3Dソフトを用いて海洋研究プログラムに取り組むというものです。ここでは、海洋研究プログラムではどういったことが行われているのかご紹介いたします。
事業風景
このプロジェクトは中学生を対象に、3D技術を用いて海洋生物の研究を行い、その研究成果を発表するというものです。3D機器の使い方については、吉本さんが授業形式で3Dプリンター、3Dスキャナー、3Dソフトの使い方を教えていきます。
例えば、3Dプリンターの基礎的な知識やセッティング方法については吉本さんがZoomを通して、「Adventurer3」を使って講義されています。
生徒さんの自宅にはAdventurer3が届いているため、吉本さんの解説を聞きながら3Dプリンターで作業することができます。また、授業外でも3Dプリンターを自主的に触って、使い込んでいるため、授業で初めて話す内容でも既に専門用語やノウハウが頭に入っているそうです。
海洋研究プロジェクトでは3D技術の習得だけではなく、海洋生物の研究も兼ねています。そのため、クジラの研究をされている研究者の方とも連携をして、授業を進めています。下記の写真は東京海洋大学内にあるマリンサイエンスミュージアムを見学をして、クジラの骨を観察している様子です。
ハンディ型3Dスキャナーを使用してクジラの骨をスキャンしている様子はこちら
生徒さんは海洋生物の骨や標本を見て、関心を持ち、自分の研究にもさらに熱心に取り組むようになったそうです。生徒さんの中には、釣りが趣味ということでAdventurer3でルアーを制作。
空き時間に「オリジナルルアーで釣りを楽しんできました!」と、喋っている様子を見て、このプロジェクトを通じて3Dプリンターや3Dスキャナーに少しずつ興味を持ち、研究に取り組んだり、授業外でも自主的に取り組まれているようです。
3Dによる海洋生物研究の成果
去年、参加してくれた生徒さんは研究成果としてクジラやウニ、ヒトデなどを3Dプリンターを使って作成されました。
3Dプリンターで実物サイズの大きさを忠実に再現しようと思えば、全ての角度からモノを見る必要があります。例えばクラゲを3Dプリントするには、外部の骨格と内部の形状を観察して、それを3Dプリンターで印刷するためには3Dソフトでモデリングしないといけません。
生徒さんは生物をモデリングから3Dプリントする過程で、その対象生物の外形だけではなく生態にも興味を持ち、中には「クジラが生物を食べる視点の映像が見たい。」
クジラの口の中に入った後の様子を、VR技術を使って表現したいと考え、その方法を教えて欲しいと言った生徒さんもいたそうです。このように、海洋生物の研究に積極的に取り組まれていました。
3D教育を普及させて、モノづくりを盛り上げたい
最後に、海洋研究プロジェクトを始めるに至った経緯や今後行う活動について、以前吉本さんが弊社APPLE TREEのショールームにお越しいただいた際に仰っていたことをお伝えいたします。
子供たちに3Dを普及させたい
モノづくりは今、3D技術・3Dデータが必要不可欠となっていますが、3D分野はまだまだ人材が不足しているため、少しでも3D技術を活かせるエンジニアを育てたい。というのが吉本さんの掲げている理念ですが、3D技術については全く普及していないのが現状です。
例えば、学校などで3Dプリンターを導入しようと思っても、どの3Dプリンターが良いのか、どういう教育目的で3Dプリンターを使用するのかなど学校の先生が調べるのは難しい。
そもそも、3D技術がどの程度モノづくりに役に立つのか、どうやって3Dデータ化するのか、3D技術とは何なのかなどを教えてくれる窓口となっている機関もありません。
そこで、吉本さんは3D教育を始めようとされている学校に対して、「海洋研究プロジェクト」の取り組みを事例として、3D教育のパッケージ化を行っています。例えば、この3Dプリンターを購入して、こういったオペレーションをすれば、生徒にも使わせることができると学校の先生にも話されています。
さらに、学校での授業の中に3D教育を取り入れてもらうために、吉本さんは大学の先生と共同で3Dに関する教科書を作成しています。
そして、やがてはこの3Dに関する教科書を用いて、この機材を使って、こういった指導を行えば、こういう学習効果があるといった具体的な学習フローまで作成していきたいと仰っていました。
最後に
今回は吉本さんが取り組まれている海洋研究プロジェクトについてご紹介いたしました。
APPLE TREEでも3Dを普及させるために、小・中学生を対象に3D CADと3Dプリンターを使ったSTEAM教育プロジェクトを行っており、吉本さんと同様、3Dを普及させたいという想いを強く持っています。
その中で、吉本さんが行っているプロジェクトについてお話をお聞きする上で、「3D普及に繋がるのであれば協力したい!」と思い、家庭用3Dプリンター「Adventurer3」を寄贈いたしました。
今後も吉本さんが行う海洋研究プロジェクトを通して、3D教育の普及に力になれることがあれば、協力していこうと思います。
海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト:https://kaiyo-3d.y-artfactory.jp/
Twitter:https://twitter.com/kaiyo_3d