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3Dプリンター
- 公開日:2022.10.21
- 更新日:2022.11.7
3Dプリンター用のフィラメント保管について解説!乾燥台がおすすめ
近年、3Dプリンターの需要が高まる中、家庭でも扱える装置が普及しつつあります。しかし、3Dプリンター用のフィラメントを保管する際、フィラメントの品質を保つために欠かせないポイントがあります。
本記事では3Dプリンター用フィラメントの保管方法や、おすすめの保管用品について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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3Dプリンター用フィラメント
3Dプリンター用のフィラメントは、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)やPLA(ポリ乳酸)などの樹脂が主に使用されています。
例えばABSは、粘着性や強度の高さを特徴とする樹脂です。そのため、家庭内で使用する雑貨などの造形用途に適しています。
一方、PLAは熱収縮が小さいため、比較的簡単に造形できることが特徴です。安価で入手できる3Dプリンター用材料であるので、手軽に使用できます。
フィラメント保管の注意点
3Dプリンター用フィラメントを保管する際、大切なポイントがあります。なぜなら、吸水性の高いフィラメントが水分を吸ってしまうと、造形時の品質に悪影響を及ぼす可能性があるからです。
具体的に、3Dプリンター用フィラメントの一種である「ABS」の吸水率は、0.1~0.8%(3.18mm厚で24時間の試験実施時)です。
正しく保管しなければ、フィラメントが水分を吸収するため、次に述べるトラブル発生が懸念されます。それぞれ詳しく解説します。
フィラメントが吸水した際の懸念
フィラメントが吸水した場合、3Dプリンターでの造形時に懸念されるトラブルは以下のとおりです。
- ノズル詰まり
- 糸引き
- 表面品質の低下
- 機械的特性の低下
ノズル詰まり
フィラメントが吸水すると、湿気によって劣化が生じてしまい、ノズル詰まりの原因になります。
フィラメントが劣化している場合、ノズル付近で流れが滞ってしまい、材料をスムーズに吐出しにくくなります。その結果発生する現象が、ノズル詰まりです。
フィラメントがノズルから容易に吐出されるためには、フィラメントの湿気を防ぎ、乾燥状態で保管することが欠かせません。
糸引き
糸引きとは、3Dプリンターで作製した造形物に糸のような形状が見られ、層同士の接着が弱くなる現象のことです。層同士の接着が弱くなると、造形途中でうまく樹脂材料が接着されず、造形失敗の可能性が高まります。
糸引きを防止するために、造形前のフィラメントを乾燥させて、湿気を防ぐことが大切です。
表面品質の低下
フィラメントが水分を吸収すると、造形物表面の品質が低下する懸念があります。先に説明した「糸引き」による表面状態の低品質化だけでなく、以下の現象が生じることで品質が低下します。
- 表面が荒れる
- 表面が白くなってしまう
- 積層割れ(層と層の間で割れる現象)
表面品質が低下すると、想定していたイメージに比べて見栄えが悪くなるため要注意です。
また、表面が荒れると凹凸が増えてしまい、使用が難しくなるケースも考えられるため、造形前にフィラメントの湿気を防ぐようにすると良いでしょう。
機械的特性の低下
水分を吸収したフィラメントを用いて造形したパーツは、乾燥したフィラメントを使用したパーツに比べて機械的特性が低下します。
耐衝撃性や引張強度といった機械的特性は、造形物を実用化する際に重要なパラメータです。
そのため、優れた機械的特性を得たい場合は、フィラメントの保管方法に特に注意が必要です。
フィラメント保管のポイント
3Dプリンター用フィラメントの保管状態によって、造形物の品質に影響を及ぼすことを説明してきました。上記のトラブルを防ぐために、フィラメント保管のポイントを解説します。具体的には、次の3点です。
- 水分吸着の防止
- 高温で保管
- 熱風循環による保管
水分吸着の防止
フィラメントの保管で重要なポイントは、水分を吸着させないことです。湿気を防ぐアイテムに、シリカゲルや乾燥剤が挙げられます。
フィラメントを保管する際、密閉できる容器やバケツの中にシリカゲルや乾燥剤を入れて、外部の空気に触れさせないようにします。空気中の水分を吸収すると、フィラメントが湿気を帯びてしまうためです。
造形で使用するときは、シリカゲルや乾燥剤を忘れずに取り除き、一緒に3Dプリンターにセットしないように注意すると良いでしょう。
高温で保管
フィラメントの保管場所は、高温環境であることが理想的。温度が高いほど、空気中に含まれる水分量は少なくなるため、フィラメントが吸湿し得る水分量も少なくなります。
したがって高温状態で保管した場合、もしフィラメントが水分を吸収したとしても、品質低下の影響は小さくなります。
ただし、高温状態で保管しただけでは吸水を完全に防げないため、シリカゲルや乾燥剤の併用がおすすめです。
熱風循環による保管
フィラメントの保管では、熱風循環も重要です。保管容器内の空気を循環させなければ、フィラメントの乾燥を促進できません。熱風循環はフィラメントの水分を除去する目的ではなく、吸湿を未然に防ぐための手段です。
そのため、フィラメントの水分を除去するためには、水分吸着の防止対策を実施したうえで、補助的に熱風循環を併用すると良いでしょう。
フィラメント収納乾燥台
3Dプリンター用フィラメントの保管方法について説明しましたが、「水分吸着の防止」「高温で保管」「熱風循環による保管」の3つのポイントを同時に満たすのは困難です。
そこで、フィラメント収納乾燥台の使用をおすすめします。
このフィラメント収納乾燥台は、上記3つのポイントを備えている優れものです。フィラメントの保管だけでなく、収納性や可動性に優れており、扱いやすい特徴も備えています。
また、フィラメント収納乾燥台を使用すると、フィラメント乾燥から造形、フィラメント保管といった3Dプリンター作業全体のプロセス改善が可能です。
フィラメント収納乾燥台の主な特徴について、下記の3つに分けて紹介します。
- 120℃まで加熱可能
- 内部にシリカゲルを配置
- 大容量の収納スペース
いずれの機能もフィラメント管理に役立ち、3Dプリンターの操作時にも便利な機能です。それぞれ詳しく解説します。
120℃まで加熱可能
フィラメント収納乾燥台を使用すると、120℃の高温まで昇温可能です。
使用したフィラメントが吸湿した場合でも、高温状態下に保管するだけで簡単に乾燥できます。
したがって、一度水分を含んだフィラメントの特性が回復し、フィラメント本来の性質を有する造形物が得られるようになります。
さらに乾燥保管スペースには、熱風を循環させる機能が搭載されているため、効率よくフィラメントの湿気を防止可能です。
内部にシリカゲルを配置
フィラメント収納乾燥台は高温状態で保管できるうえ、シリカゲル乾燥剤が内部に配置されています。シリカゲル乾燥剤の内部に含まれた水分は、保管スペース内を循環する熱風によって除去されています。
その結果、シリカゲル乾燥剤は1年間再利用できるため、フィラメントを長期間にわたって保管可能。再利用ができるため経済的にも優れており、環境にも配慮された機能になっています。
大容量の収納スペース
フィラメント収納乾燥台には、大容量の収納スペースが備わっています。
具体的には、1kgフィラメントの場合は6リール、2kgフィラメントは2リールの収納が可能です。収納スペースが小さいと、在庫管理が難しくなったり、収納台を増やしたりしなければなりません。
そこで、フィラメント収納乾燥台を使用すると、収納スペースに困る場面が減り、快適に在庫管理ができます。さらにフィラメント収納乾燥台は、大容量フィラメントの移動に役立つ「可動式ラック」を採用しています。
3Dプリンターの操作時に便利であるうえ、高さは600mm(キャスター付)と十分にあるので、フィラメントを取り出しやすいことも特徴です。
以上から、フィラメント収納乾燥台を用いると、フィラメントの湿気を防ぎながら保管できます。フィラメント保管でお困りの方は、ぜひご検討ください。
フィラメントの保管方法に関するよくある質問
最後に、フィラメントの保管方法に関するよくある質問をご紹介します。
フィラメント保管の注意点は何ですか?
フィラメント保管において、注意すべきポイントは「高温下での保管」「熱風循環」「水分吸着の防止」の3つです。
フィラメントが湿気を帯びると、3Dプリンターで作製した造形物の品質に悪影響を及ぼしてしまいます。
そこで、上記3つのポイントを兼ね備えた保管用品として「フィラメント収納乾燥台」がおすすめです。フィラメントの湿気を防げるうえ、3Dプリンターの操作時に便利な「可動式ラック」が採用されています。
フィラメントは乾燥保管しないといけませんか?
フィラメントは乾燥保管する必要があります。なぜなら、水分を吸収したフィラメントは品質が低下し、造形物の表面品質や機械的特性が低下するためです。
また、フィラメントの湿気を防ぐために、乾燥保管に加えて「高温状態での保管」や「熱風循環」も重要です。
「フィラメント収納乾燥台」はフィラメントの湿気を防げる機能が充実しているので、フィラメント保管で失敗したくない方は気軽にお問い合わせください。
まとめ
フィラメントが吸水すると、造形物の品質が低下するため正しく保管することが大切です。
具体的には「高温下での保管」「熱風循環」「水分吸着の防止」の3つのポイントを押さえて、フィラメントの湿気を防ぐと良いでしょう。
「フィラメント収納乾燥台」はフィラメントの湿気を防げる機能が充実しており、操作性・移動性に優れる可動式のため、3Dプリンター用フィラメントを保管したい方におすすめです。
フィラメント保管で失敗したくない方は、お気軽にご相談ください。