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3Dプリンター
- 2021.12.15
- 更新日:2022.5.18
3Dプリンターで使用されるフィラメントの特徴と用途を徹底解説

材料を知らずして3Dプリンターは語れません。
素材の特徴や性質を知った上で3Dプリントするかしないかでは雲泥の差があります。
この記事では、3Dプリンターによく用いられている材料の特徴や用途を解説したうえで、使用する材料の見極め方についてご紹介します。
ページコンテンツ
3Dプリンターによく用いられるフィラメントとは?

3Dプリンターに用いられる材料は大きく分けて7種類に分類されます。
・プラスチック
・木材
・コンクリート
・セラミックス
・食品
・細胞
・金属
この7種類の中で、3Dプリンター用の材料として最も使用されているのはプラスチックです。
そのプラスチックの中でも、「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」の2種類に大別できます。
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂は、言わばチーズと卵のような関係だと捉えるとわかりやすいです。
チーズは最初は固体ですが、加熱すると液体になります。再び冷やすと、固体に戻り、再び加熱すると液体になります。そのため、再利用しやすい性質があります。
これが熱可塑性樹脂の特性です。
その反面、卵は最初は液体で、加熱すると固体になりますが、再び冷やしても液体には戻ることがありません。
これが熱硬化性樹脂の特性です。
したがって、熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂よりも再利用しにくいです。
近年、家庭用向けに普及しているFFF方式(熱溶解積層法)3Dプリンターに用いられる材料は熱可塑性樹脂が主流です。
その形状は細長い線状の500gもしくは1kg程度のスプール(巻き筒)状に巻かれており、それらをフィラメントと呼んでいます。
FFF(Fused Filament Fabrication)方式3Dプリンターは名称にもある通り、フィラメントを材料として造形物を作成していきます。
3Dプリンター用材料の性質や特徴をご紹介

フィラメントは様々な種類があります。
ここでは、FFF方式(熱溶解積層法)3Dプリンターでよく用いられる材料についてご紹介します。
ABS樹脂
ABS樹脂はA(アクリロニトリル)、B(ブタジエン)、S(ポリスチレン)の3種類の成分を組み合わせた素材。
靭性(粘り強さ)、耐衝撃性、耐熱性に優れているため、日用品や家電など、強度が求められる部品に使われる材料です。
一方で、熱膨張率が大きいため、造形中に反ってしまうのが難点です。
そのため、綺麗な造型や本来の強度を出すためには、適切なセッティングが必要です。
PLA(ポリ乳酸)樹脂
トウモロコシやジャガイモなどを用いた環境に易しい植物由来の素材。
PLA樹脂はABS樹脂よりも収縮が少ないため、大型の造形物の出力に適していますが、
粘り強さが劣るため、割れやすいです。
PETG樹脂
PETG樹脂はペットボトルで用いられるPET樹脂を改良された素材。
強度・耐熱性・透明性に優れ、出力がしやすく透明なパーツを作成するのに適した材料です。
一方で、糸引きが発生しやすいため、綺麗に印刷するためには適切なセッティングが必要になるのがデメリットです。
PC(ポリカーボネート)樹脂
耐衝撃性、耐候性(屋外で使用した時の耐久性)、自己消火性(熱源が消えた時に自ら消化する性質)に優れているため、様々な条件下で活躍が期待される素材です。
工業製品パーツや治具として使用されています。
FLASHFORGEで取り扱っているフィラメントの中で、最も耐熱温度が高いです(125℃)
PA(ポリアミド)樹脂
耐熱性、靭性、耐衝撃性、耐薬品性(化学薬品への耐久性が強いこと)に優れているため、試作から最終製品まで、幅広く使用することができます。
一方で、吸水性が高いため、乾燥・防湿設備が必須です。
TPU(熱可塑性ポリウレタン)樹脂
ゴムのように柔軟な素材です。
カバー、ホースなど柔らかい製品の試作に使用可能。
吸水性が高く、乾燥・防湿設備が必要です。
3Dプリントを簡単にするサポート材
サポート材とは、3Dプリントする際に、モデルを支える材料のことです。
T字やY字など造形中に宙に浮く部分がある場合、自重に耐え切れず、転倒してしまいます。
そのため、造型物を支えるためにサポート材を入れて、造形できるようにします。
積層が終わった後に、取り外すことで、モデルとサポート材を切り離すことができますが、取り外しにくいのがデメリットです。
そこで、サポート材を使用する場合は以下のような水に溶けやすい水溶性のフィラメントを使用します。
PVA(ポリビニルアルコール)樹脂
水に溶け、モデルを損傷することなくサポート材を取り外すことが可能。
その反面、吸水性が高いため、乾燥・防湿設備が必須です。
比較的低温で印刷可能なフィラメント(PLA、PETG、TPUなど)に使用することが多いです。
HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)樹脂
リモネン(柑橘類の皮に含まれる成分)に溶け、モデルを損傷することなくサポート材を外す事が出来ます。比較的高温で印刷するフィラメント(ABS、PC、PA、PETGなど)に使用することが多いです。廃液は産業廃棄物として処理する必要があります。
品質が高いフィラメントの見分け方

品質の高い造形物を作るには、品質の高いフィラメントを使用しないといけません。
ここでは、品質の優れたフィラメントの見分け方についてご紹介します。
フィラメントの良し悪しの見極めは下記の3つをご確認ください
・均一な太さ
・不純物が少ない
・湿気対策が施されている
一つ目ですが、フィラメントの直径誤差は±0.2mm以上を超えると、均一にノズルから排出されず、太ければダマになり、細ければクラック(ひび割れ)が起こってしまいます。
そのため、径の誤差が±0.05mm以下のフィラメントを選択しましょう。(FLASHFORGEのフィラメントも径の誤差が±0.05mm以下になるように品質管理を徹底しています)
二つ目は、不純物です。
不純物が多く含まれているフィラメントを使用すると、表面に凹凸が発生しやすくなり、ノズルの根詰まりの原因となってしまいます。
そのため、不純物がなるべく少ないフィラメントを選ぶようにしましょう。
最後は湿気対策です。
フィラメントは湿気に弱いです。
湿気が含まれたフィラメントは剥がれやクラックが発生する原因となります。
そのため、フィラメントがアルミパックで保存されている、もしくは、吸湿を抑えるフィラーが含まれているものを選びましょう。
フィラメントは純正品以外も使っていいのか?
最後に、「フィラメントは純正品(自社製品)以外でも使えるのか?」について解説します。
結論から言うと、ノズル・ヘッドの温度が対応していれば、純正品以外でも印刷は可能です。
しかし、メーカーの保証対象外(FLASHFORGEも同様)のため、自己責任での使用となります。
加えて、品質の高いモデルを作りたいのであれば、自社の3Dプリンターに適した純正のフィラメントをおすすめします。
まとめ
3Dプリンターで使用される材料の性質と用途について解説しました。
造形物の良し悪しは出力する3Dプリンターだけでなく、材料にも依存します。そのため、材料選びは欠かせません。
この記事が材料選びの参考になれば幸いです。
また、FLASHFORGEは自社製のフィラメントを取り揃えています。
不純物が少なく、均一なフィラメントなので、品質の高い造形物が作成できます。
ぜひ、FLASHFORGE製のフィラメントもご検討ください。