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3Dプリンター
- 公開日:2022.8.9
- 更新日:2022.8.9
建築模型の作り方とは?3Dプリンターで建築模型を作る方法まで解説!
住宅会社では、お施主様に建物の空間をイメージしてもらうために、建築模型を制作することがあります。図面ではイメージしにくい空間を想像しやすくするための建築模型は、どのように作るのでしょうか?
今回は、住宅会社が把握しておきたい建築模型の作り方をご紹介します。また、この記事では3Dプリンターで建築模型を作る方法まで解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
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建築模型の作り方
建築模型を作る手順は、以下の通りです。
- 必要な道具を準備する
- スチレンペーパーに図面を貼る
- スチレンペーパーを図面に沿って切る
- 壁を組み立てていく
- 屋根を取り付ける
ここでは、建築模型を作る手順について解説します。
1.必要な道具を準備する
まずは、建築模型作りで必要な道具を準備します。
カッター | 標準サイズのカッターを使用するグリップ部分にゴムが付いたものが使いやすい |
カッターマット | カッターの切れ味を長持ちさせるために使用する |
模型定規 | 建築模型を作るために開発された定規 |
スプレーボンド | スプレータイプがムラなく塗れて使いやすい |
ピンセット | 模型作業は細かい作業をするときに使用する |
スチレンボード | 建築模型を作るための材料 |
図面 | 立面図 |
建築設計事務所などで説明模型製作の練習など気軽に楽しみたい方は「建築模型キット」で、必要な道具を揃えられます。
2.スチレンペーパーに図面を貼る
スチレンペーパーに図面(立面図)を貼り付けます。図面を貼る場合は、広い面積にムラなく塗布ができるスプレーボンドを使用してみてください。
さまざまなスプレーボンドが販売されていますが、建築模型づくり初心者の方は「3M スプレーのり55」がおすすめです。この商品であれば、図面を貼り間違えても剥がせます。
3.スチレンペーパーを図面に沿って切る
スチレンペーパーに図面を貼り終えたら、GL線(地盤面)から切っていきます。模型定規を使って並行になるようにカットしてください。GL線がキレイに切れれば、後は壁面を直角に切断していくだけです。
● 1階の床
● 2階の床
● 階段部分や吹き抜けを除く
● 壁
● 屋根
模型を組み立てていくため、繋ぎ合わせ部分は図面‘(紙)を残して、スチレンペーパーだけを切りましょう。
4.建築模型を組み立てていく
図面のパーツが完成したら組み立てていきます。建築模型は以下の順番に組み立てていきます。
[組み立ての手順]
- 内壁を組み立てる
- 隣り合う壁を接着する
- 外壁を取り付ける
- 階段を付ける
- 扉を付ける
- 窓ガラスを付ける
- 家具を付ける
- 屋根を付ける
美しい建築模型の作り方のコツ
建築模型の作り方をご紹介しましたが、以下のコツを押さえておくとキレイに仕上がります。
キレイに面取りを行う
スチレンボードの面取りがキレイに行えれば、建築模型の角に断面が見えなくなります。この面取りをキレイに行うポイントは以下の通りです。
- 垂直にカッターを入れること
- カッターの力加減を知ること
- 綺麗にするために接着面を綺麗にすること
この3点を守れば、キレイに面取りが行えます。
切り口を紙やすりで削る
キレイに面取りが行えなかった場合は、切り口を紙やすりで削るのも1つの方法です。
紙やすりで削ると、切り口がツルツルしてキレイな仕上がりになります。スチレンボードに使う紙やすりには、サンドペーパーを選びましょう。
とくに、240~400番のサンドペーパーは、形状変化しやすく使いやすいです。
建築模型台を作る
建築模型だけでなく、建築模型台を作るとお客様に喜んでもらえます。建築模型台は10ミリ厚保のスチレンボードを使用すれば簡単に作れます。
添景の樹木を配置すると模型が引き立ちます。樹木は雑草を利用したり、市販の樹木を購入したりしましょう。
建築模型作りを簡単にする3Dプリンター
住宅会社で建築模型を作る場合、通常の業務を行いながらだと想像以上に大変です。建築模型づくりが従業員の負担になる恐れがあります。このような問題を解決する方法として、3Dプリンターによる建築模型作りがあります。
3Dプリンターで建築模型を作れば、以下のようなメリットが得られるため、ぜひ検討してみてください。
コストを削減できる
建築模型作りで使用するスチレンボードの厚さや大きさにもよりますが、2,000円~4,000円程度かかります。また、建築模型づくりは2~3日程度の制作日数がかかり、その分の人件費が割り当てられることになります。
その一方で、3Dプリンターで建築模型を作れば、フィラメント(材料)を購入するだけで済みます。使用するフィラメント、建築模型の大きさによって異なりますが、1,500円~3,000円程度で制作できます。また、人件費がかかりません。
このように、建築模型コストが削減できることが、3Dプリンターの魅力です。
建築模型の精度が上げられる
建築模型作りは失敗してしまうケースも多いです。例えば、図面では修正箇所が反映されているのに、模型では修正箇所が反映されていないなど、模型づくりの担当者の見落としミスが発生します。このようなミスを防止するために、建築模型づくりの取り組み方についてルールを設けている住宅会社も存在するでしょう。
3Dプリンターの建築模型づくりは、図面データを3Dプリンター用データに変換して出力するだけのため、見落としミスが防止できます。図面データは変更したけれど、建築模型に変更箇所が反映されていなかった等のミスを防止できることも3Dプリンターの魅力です。
さまざまな素材が利用できる
3Dプリンターで使用するフィラメント(材料)には、さまざまな種類があります。利用用途によって、フィラメントを使い分けられることも3Dプリンターの魅力です。下記の表は、3Dプリンターで使用できる素材の一覧表になります。
PLA | 〇3Dプリンターの造形中の冷えによる歪みに強い 〇3Dプリンターの出力が安定している ×温度の高い場所に置いておくと造形物が溶けてしまう |
ABS | 〇粘着性と柔軟性に優れている 〇曲げや伸びに耐性がある ×高い温度ではないと出力できない ×3Dプリンターの出力が不安定になる |
PET | 〇強度・耐久性・耐熱性に優れている ×透明度は低い |
ゴムライク | 〇柔軟性に優れている ×対応している3Dプリンターが少ない |
PC | 〇最高レベルの耐衝撃性を持つ 〇軽量で持ち運びしやすい ×対応している3Dプリンターが少ない |
初めての建築模型づくりには、PLAがおすすめです。その理由は、PLAは3Dプリンターの造形中の熱による歪みが生じにくいためです。安定した出力が見込めることが魅力となってます。
3Dプリンター建築模型づくりの導入事例
3Dプリンターによる建築模型づくりの魅力をご紹介しましたが、多くの住宅会社で導入されています。
3Dプリンターによる建築模型づくりに切り替えた企業では、どのような効果が見込めているのでしょうか?ここでは、3Dプリンター建築模型づくりの導入事例をご紹介します。
コンペの競争力向上に成功
一級建築士事務所プラスデザイン株式会社では、お客様のイメージと完成物件のギャップを課題に感じていました。
同社の企業理念である「依頼者に成り代わって、依頼者の思いを成し遂げる」を叶えるために建築模型を作ることにしました。
しかし、その結果、建築模型を作る手間暇が大きな課題となってしまったのです。
この問題を解決するために、3Dプリンターを導入しました。経理担当者が図面を3Dプリンター用データに変換して、3Dプリンターで建築模型を作っています。
3Dプリンターで精度の高い建築模型を作ることで、コンペの競争力が上がり、契約が取れるようになりました。
家具や機材の納まりの確認に活用
株式会社梓設計は、東京国際空港国際線ターミナルや中国国際空港などの施設を中心にデザイン・設計しています。
同社では建物の空間の一部の建築模型を作り、家具や機材が収まるか確認することに使われるケースが多いです。
スタジアム屋根の検討や書架レイアウトなど、施行前に実施して確認することで、顧客満足度の高い建築物を作り上げています。
複雑な形状の建築模型づくりの簡略化に成功
三菱地所設計は、日本だけでなく海外の案件も手掛けており、都心部の大規模複合施設の建築に携わっています。
大規模複合施設の案件はコンペ形式で行われ、高いデザイン力や技術力だけでなく、細部にこだわる創造性や提案力も評価されます。
同社はコンペで勝ち、契約獲得率を向上させるために3Dプリンターを導入しました。
3Dプリンターであれば、複雑な形状までキレイに表現でき、そこが評価されて多くの案件獲得に成功しています。
建築模型作りにおすすめの3Dプリンター「Adventurer3」
Adventurer3は、非常にコンパクトなサイズで設置場所に困らない家庭用プリンターです。
印刷に必要な消耗品は全て付属し、組立作業も不要のため、ストレスフリーで使用できます。また、造形中にフィラメント切れを検出すると印刷を一時停止して詰め替えができます。
また、ノズル詰まりが起こった際に、ワンプッシュでノズルを取り外すことも可能です。さらに、タッチパネルは日本語のため、誰でも簡単に操作できることもポイントです。
メンテナンス性を重視した構造をしており、ノズルにフィラメントが詰まったときも、自分で修理ができます。
お値段が47,850円(税込)とリーズナブルで2年間の保証が付いているため、3Dプリンター初心者の方におすすめの機種となっています。
3Dプリンターによる建築模型づくりに関する質問
最後に、3Dプリンター建築模型づくりに関する質問をご紹介します。
Q.3Dプリンターの建築模型代はどれぐらい安くなりますか?
建築模型を手作りする場合と3Dプリンターで作る場合を比較すると、人件費が浮きます。一般的に建築模型の製作時間は2日~3日と言われています。3Dプリンターで模型を作れば、労力がかからないことが最大の魅力です。
Q.家庭用3Dプリンターでも建築模型は作れますか?
家庭用3Dプリンターでも精度の高い建築模型は作れます。3Dプリンターで建築模型を作ることにより、納期の短縮やコスト削減にも繋がるので、ぜひご検討ください。
家庭用3Dプリンターで建築模型は作れます。低価格で販売されている3Dプリンターでも建築模型は作れるため、気軽に楽しみたい方は家庭用3Dプリンターの購入を検討してみてください。
Q.3Dプリンターの建築模型の製作時間はどれぐらい短縮できますか?
建築模型を手作りする場合の制作時間は2~3日と言われています。その一方で、3Dプリンターであれば12時間程度で作れます。なにより、従業員の建築模型づくりの負担を減らせることが3Dプリンターの魅力です。
まとめ
今回は、建築模型の作り方をご紹介しました。建築模型を作れば、お施主様に空間をイメージしてもらいやすくなります。
しかし、建築模型を手作りで作ると、制作時間がかかります。従業員の負担になることもあるでしょう。このような問題を解決する方法が、3Dプリンターによる建築模型づくりです。
3Dプリンターの技術は特許切れにより、誰でも安価に購入できるようになってきました。ぜひ、これを機会に3Dプリンターの導入を検討してみてください。