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3Dプリンター
- 公開日:2023.4.26
- 更新日:2024.4.4
カーボンファイバー対応3Dプリンターのメリットとは?おすすめ機種もご紹介
熱溶解積層方式3Dプリンターで使われている素材は、PLAとABSが一般的です。これらの素材は、価格が安くて扱いやすいことがメリットとして挙げられますが、強度を求められるシーンにおいては、活用しにくいという問題があります。
そこで今回は、強度の高い素材である「カーボンファイバー」に対応した3Dプリンターについて解説します。カーボンファイバー対応3Dプリンターは、従来品よりも幅広い造形に対応できることから、自動車業界などで活用されています。
この記事では、カーボンファイバー対応3Dプリンターのおすすめ品から、サンプルの造形に便利なサービスについてもご紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
ページコンテンツ
カーボンファイバー対応Markforgedシリーズで実現できること
Markforgedは主に製造業向けの3Dプリンターを販売しているメーカーです。主に、カーボンファイバーを取り扱えるため、金属並みの強度を持つ部品を造形できます。
試作品、治具、溶接固定具、最終部品などに幅広い利用用途で使用される機種ですが、機能性プロトタイプなどを得意としています。とても頑丈なパーツが作れるため、航空業界でも導入されている機種です。
Markforgedシリーズを活用すると、製造業の業務改革ができます。
カーボンファイバー対応3Dプリンターのおすすめ7選
カーボンファイバー対応3Dプリンターを販売しているメーカーには「FLASHFORGE」と「Markforged」があります。
FLASHFORGEは家庭用から工場用まで幅広いラインナップが取り揃えています。販売価格もリーズナブルで導入しやすい機種が多いです。
その一方で、Markforgedは主に製造業向けの機種を取り揃えています。大型の造形物も精度が高く出力でき、航空機の頑丈なパーツの製造などに使われている機種です。
このようにメーカーで特徴が異なるため、利用目的に見合う機種を導入してみてください。
Creator4S
Creator4Sは、最終製品製造が可能な、カーボンファイバー、ナイロン、一部のスーパーエンプラ素材まで安定した造形ができる、FLASHFORGEの最上位モデルです。
エクストルーダーは左右独立して稼働するデュアル方式で、色違いの素材や異素材を用いた造形が可能。片方のエクストルーダーに、サポート材専用のフィラメントを用いることで、複雑な形状のモデルを印刷した場合でも、サポート材の除去にかかる手間を削減できます。
本体は庫内温度を保てるヒートチャンバーを搭載。造形中の温度変化を軽減することで、熱収縮の大きな材料を用いても、反りの少ない安定した造形を実現します。
最大造形サイズは400×350×500mmと大きく、大型モデルの造形に対応。モデルを分割することなく、一体化した状態で造形したい場合におすすめです。また、高機能でありながらも本体価格が100万円台と、同等のモデルに比べてリーズナブルに抑えられています。
上図は、Creator4Sで作成したロケット部品の試作モデルです。水溶性フィラメントと組み合わせることで、中身が複雑な形状のモデルを作成しても、簡単にサポート材を除去できるようになります。こちらの試作モデルは、実業家の堀江貴文さんが創設された宇宙ベンチャー企業「インターステラテクノロジズ株式会社」にて作成された部品です。
インターステラテクノロジズ株式会社では、大型造形およびデュアルノズル対応の3Dプリンターが必要とのことでCreator4Sを導入し、人工衛星を宇宙に運ぶロケット「ZERO」の開発に活用されています。
インターステラテクノロジズ株式会社の導入事例の詳細は、以下の記事にて解説しています。
<<ロケットZERO開発に3Dプリンター「Creator4S」を活用!|インターステラテクノロジズ株式会社
自動化設備業の杭州富春江電器工場では、耐薬品性、耐紫外線性、高強度などに対応した金型部品を作成するために、Creator4Sが導入されています。上図は、杭州富春江電器工場にてCreator4Sを用いて作成した部品の一例です。
Creator4Sは、最終製品および幅広い材料に対応しているほか、寸法精度も良好。製品ごとの金型を用意する必要がないため、小ロット生産でのコスト削減に活用されています。
また、3Dプリンターならではの自由度の高いモデルを造形できることから、手作業では製造が難しい部品でも簡単に作成が可能です。
【Creator4Sのスペック表】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 840x675x1000(1050)mm |
最大造形サイズ | 400x350x500mm |
造形精度 | ±0.2mm |
ノズル径 | 0.4mm(0.6mm/0.8mm) |
エクストルーダー | IDEX(独立型デュアルエクストルーダー) |
最大エクストルーダー温度 | HT320℃ / HS:360℃ / F:265℃ |
タッチパネル | 7インチフルカラー |
対応フィラメント | PLA、ABS、PETG、PC、PA、ASA、PBAT、TPC、TPE、PVA、HIPS、 PA-CF、PETG-CF、PLA-CF、TPU |
本体価格 | 100万円台(お見積り) |
Creator3 Pro
Creator3 Proは、カーボンファイバー対応3Dプリンターのなかでも本体価格が税込33万円とお手頃かつ、独立式デュアルヘッドを搭載したモデルです。
本製品は、独立式デュアルヘッドにより、2色での印刷や、水溶性サポート材を用いた印刷が可能。作成したいモデルを、同時に2つ印刷するのにも適しています。
ノズルは、ステンレスおよび超硬ノズルを使い分けられる仕様で、高強度であるPA-12CFなどのカーボンファイバー配合フィラメントの出力に対応しています。
PA-12CFフィラメントは、ナイロン12(PA-12)と、カーボンファイバーを組み合わせた複合素材の材料です。強度と剛性を向上しているほか、軽量性、耐摩耗性、耐熱性にも優れています。
上図は、帝京大学の学生フォーミュラチーム「帝京フォーミュラプロジェクト」により、Creator3 Proを用いて作成されたステアリングの画像です。
材料はPA-12CFを採用していて、滑らかかつ手にフィットしやすい形状に仕上げられています。ステアリング以外にも、インジェクターマウントや試作品の作成にCreator3 Proを活用されているとのことです。
帝京大学の導入事例の詳細は、以下の記事にて解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
<<3Dプリンターで製作したステアリング搭載の学生フォーミュラカーが見事完走|帝京フォーミュラプロジェクト
【Creator3 Proのスペック】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 627x485x615mm |
最大造形サイズ | 300x250x200mm |
造形精度 | ±0.2mm |
ノズル径 | 0.4 (0.6/0.8)mm |
最大ノズル温度 | 320℃ |
タッチパネル | 4.3インチフルカラー |
対応フィラメント | PLA、ABS、PA、PC、PVA、HIPS、PETG、PETG-CF、PA-CF、TPU(0.8mmノズル使用時) |
保証 | 1年 |
本体価格 | ¥330,000(税込) |
Guider3
Guider3は、最高250mm/sの造形速度と、コンパクトな筐体が特徴のカーボンファイバー対応3Dプリンターです。素材はPCやPAなどのエンプラ素材にも対応します。
本体サイズは496x436x696mmとコンパクトながらも、最大造形サイズは300x250x340mmと大容量なのもポイント。フィラメントを押し出すギアは、ダブルギアを搭載したことで、ノズル詰まりのトラブルを軽減します。
【Guider3のスペック表】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 496x436x696mm |
最大造形サイズ | 300x250x340mm |
造形精度 | ±0.15mm(造形サイズが100mm未満) ±0.002mm/mm(造形サイズが100mm以上の1mmあたりの誤差は±0.002mm) 例:造形サイズが110mmの場合±0.22mm |
ノズル径 | 0.4 (0.6/0.8)mm |
最大ノズル温度 | 320℃ |
タッチパネル | 4.3インチフルカラー |
対応フィラメント | ABS、PLA、PC、PA、ASA、PETG、PA-CF、PLA-CF、PETG-CF |
保証 | 1年 |
本体価格 | ¥495,000(税込) |
Guider3 Plus
Guider3 Plusは、最高250mm/sの高速印刷と、最大造形サイズ350x350x600mmと大容量のカーボンファイバー対応3Dプリンターです。Z軸の造形サイズが600mmと大きいため、多くのプロトタイプモデルの印刷に対応します。
ノズルは、最大320℃までの加熱に対応しているので、カーボンファイバーやエンプラ素材などを用いた印刷が可能です。
本体背面には密閉型フィラメント収納ボックスを2個内蔵。1kgフィラメントを収納できるほか、温度計と湿度計の搭載により、フィラメントを管理しやすい特徴があります。
また、シリカゲル乾燥剤を配置しており、湿度20%以下で最大5日間の保存に対応します。
【Guider3Plusのスペック表】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 635×590.5x1060mm |
最大造形サイズ | 350x350x600mm |
造形精度 | ±0.15mm |
ノズル径 | 0.4 (0.6/0.8)mm |
最大ノズル温度 | 320℃ |
タッチパネル | 7インチフルカラー |
対応フィラメント | PLA、ABS、PETG、PC、PA、ASA、PC-ABS、PA-CF、PETG-CF、PLA-CF |
保証 | 1年 |
本体価格 | (お見積り) |
Mark Two
Mark Twoは、非常に強度や耐熱衝撃のある造形物が作れるデスクトップ型の3Dプリンターです。機種の大きさが584mm×355mm×330mmとコンパクトな設計のため、限られたスペースでも問題なく設置できます。それだけでなく、アルミニウムに匹敵する硬さと耐久性を持つ造形物を作成できます。
また、表面仕上げが美しい精密部品を造形することが可能です。そのため、小規模なオフィスや研究室、教室などに設置したい方におすすめの機種です。
最大造形サイズ | 320×132×154mm |
ノズル数 | 2 |
積層ピッチ | 100μm-200μm |
本体サイズ | 584×330×355mm |
造形方式 | FFF(熱溶解積層法) |
重量 | 16kg |
対応フィラメント | Onyx™、Nylon white、Smooth TPU95A、Precise PLA、カーボンファイバー、ファイバーグラス、Aramid Fiber (Kevlar®) ケブラー、HSHT ファイバーグラス※一部抜粋 |
X7
X7は、本体ヘッドにレーザー計測機能を備えており、高精度な造形ができる3Dプリンターです。また造形過程で内部形状の寸法を検査できる機能も備えています。これらの機能で高精度な造形物を作成できます。
さらに、Markforged独自のCFR(Continuous Fiber Reinforcement)技術を活用すれば、アルミニウムと同等の強度を持つ造形物の作成が可能です。これにより、耐久性が高く長期間使用できる製品を製造することができます。また、UL94規格のV-0レート認証を取得した難燃性素材「Onyx FR™」にも対応しています。そのため、航空宇宙産業や自動車産業など、高難燃性のパーツを作成したい方におすすめの機種です。
最大造形サイズ | 330×270×200mm |
ノズル数 | 2 |
積層ピッチ | 50μm-250μm |
本体サイズ | 584×483×914mm |
造形方式 | FFF(熱溶解積層法) |
重量 | 48kg |
対応フィラメント | Onyx™、Onyx FR™、Onyx ESD™、Nylon White、Precise PLA、Smooth TPU 95A、カーボンファイバー、ファイバーグラス、Carbon Fiber FR、Aramid Fiber (Kevlar®) ケブラー、HSHT ファイバーグラス |
FX20
FX20は、航空機やロケットのパーツにも使用されている高温対応のULTEMフィラメントを取り扱うことができる3Dプリンターです。さらに、樹脂素材に表面を形成し、カーボンファイバーなどの繊維材料が内部を補強します。
その結果、非常に強度や耐熱衝撃のあるものが造形できるため、最終製品、プロトタイプ試作品、治具などが作れます。
また、最大造形サイズが525mm×400mm×400mmと大容量で、出力スピードが早いです。簡単な操作で、誰でも洗練された造形物が作成できます。そのため、車両や船舶などの大型パーツを作りたい方におすすめの機種です。
最大造形サイズ | 525×400×400mm |
ノズル数 | 3(樹脂×2、ファイバー×1) |
積層ピッチ | 50μm-250μm |
本体サイズ | 1,325×900×1,925mm |
造形方式 | FFF(熱溶解積層法) |
重量 | 530kg |
対応フィラメント | Onyx™、Onyx FR™、Onyx ESD™、Nylon White、カーボンファイバー、Carbon Fiber FR、Aramid Fiber (Kevlar®) ケブラーHSHT ファイバーグラス、ファイバーグラス、ULTEM™ 9085 |
カーボンファイバー対応3Dプリンター選びにおすすめのサンプル造形サービス
FLASHFORGEでは、カーボンファイバー対応3Dプリンターの導入を検討している方を対象に、サンプル造形サービスをご提供しています
(※対象者は法人様限定で1回に限りとなることをご了承ください。)
導入しやすいと評判のFLASHFORGE製の機種では、2種類の3Dプリンターがお試し頂けます。
サンプル造形可能な3Dプリンターは「Creator4S」と「Guider3 Plus」の2種類です。
素材は、以下の種類からお選びいただけます。
- PLA
- ABS
- PETG
- PC
- PC-ABS
- PA
- PA6-CF
- PETG-CF
- PLA-CF
各素材の特徴について知りたい方は、無料サンプル造形ご依頼の際にFLASHFORGEまでお問い合わせいただくか、以下の記事を参考にしてみてください。
<<3Dプリンターで使える素材とは?種類と特徴を徹底解説します【対応表あり】
無料サンプル造形をご利用の際は、以下のページにある申請フォームからご依頼をお願いいたします。
また、製造業向けMarkforged製の3Dプリンター「Mark Two」「X7」「FX20」を活用したサンプル造形サービスも提供しています。Markforgedの3Dプリンターを体験してみたい方もお気軽にお問い合わせください。
カーボンファイバー素材を使う3Dプリンターに関するよくある質問
最後に、カーボンファイバー素材を使う3Dプリンターの、お客様からよくいただく質問について回答します。
カーボンファイバー素材対応3Dプリンターの用途は?
カーボンファイバー素材対応3Dプリンターは、製品の軽量化や、強度向上を求める場合に適しています。カーボンファイバー素材は、引張強度や曲げ強度に強いモデルを作成できるほか、金属に比べて軽量性に優れているのがメリットです。材料によっては、剛性・強度・耐熱性が良好で、ESD(静電気放電)にも安全であることから、自動車部品や電子部品の用途で活用できます。
カーボンファイバー素材使用時の注意点は?
カーボンファイバー素材は、炭素繊維が含まれていることで、ほかの素材に比べて硬く、ノズルが摩耗しやすい傾向にあります。そのため、一般的に採用されている真鍮ノズルではなく、超硬などのカーボンファイバーに対応した専用ノズルを用いる必要があります。
また、造形モデルの肉厚が薄い箇所は脆くなる傾向にあるので、ある程度の厚みをもたせて設計することをおすすめします。厚みがあると、カーボンファイバー特有の高強度な特性を発揮できます。
まとめ
カーボンファイバーを配合したフィラメントは、PLAなどの素材に比べて、高強度かつ、積層痕が目立ちにくいなどのメリットがあります。しかし、一般的な3Dプリンターは非対応のため、専用の機器を用いる必要があります。
今回は、おすすめ品としてカーボンファイバー対応3Dプリンターを4機種ご紹介しました。これらの機種を実際に見てみたい、触ってみたいという方は、ぜひFLASHFORGEで開催しているショールームをご利用ください。Merkforfed3Dプリンターは、大阪ショールームのみ見学して頂けます。
ショールームでは、お客様の業務内容に合う3Dプリンターをご提案いたします。ショールームの詳細やご予約については、以下のページをご確認ください。