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3Dプリンター
- 公開日:2022.6.8
- 更新日:2022.6.8
新たなものづくりを生むデジタルファブリケーションの概要について
デジタルファブリケーションは、製造業界において、新たな就業形態をもたらす可能性を秘めていると言われています。現在では、ものづくりを体験できる場が増えたり、家庭でも3Dプリンターが導入しやすくなったりと、個人でもデジタルファブリケーション機器を利用する機会が増えてきました。
しかし、国内では認知度が低く、デジタルファブリケーションと言われても、どのような意味なのか、どのような機器が使われているのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、デジタルファブリケーションやものづくりに興味のある方向けに、詳細な意味や利用するメリットなどについて解説します。
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デジタルファブリケーションの意味とは?
デジタルファブリケーションとは、総務省にて「デジタルデータをもとに創造物を制作する技術のこと」と記述されています。例としては、3Dプリンターが代表的です。
また、3Dプリンターのようにデジタルデータを活用し、ものづくりができる機器をデジタルファブリケーション機器と呼びます。
デジタルファブリケーション機器は、家庭でも導入しやすい機器が市場に流通していることで、企業などに属していなくとも、自身のアイデアや既製品などの情報をデジタル化し、ものづくりに携われるようになってきました。これにより、新しい働き方や、更なる技術革新が期待されています。
参考資料:総務省 第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~
デジタルファブリケーションで使われている機器
それでは、デジタルファブリケーションは、どのような機器が使われているかを見てみましょう。主なデジタルファブリケーション機器は以下の通りです。
- 3Dプリンター
- 3Dスキャナー
- レーザーカッター
- CNCフライス
- CNCミリングマシン
- ロボットアーム
ここでは、代表例である3Dプリンター、3Dスキャナー、レーザーカッターについて解説します。
3Dプリンター
3Dプリンターは、3DCADや3DCGのデータをもとに、立体造形物を制作する機器のことを指します。
造形の種類は、「熱溶解積層方式」と呼ばれる、溶かした樹脂などの材料を1層ごとに積み重ねていく仕組みが代表的です。
その他にも、液体樹脂に紫外線を照射して1層ずつ硬化させていく「光造形方式」や、液状の光硬化性樹脂を噴射したところに、紫外線を当てて硬化させる「インクジェット方式」などもあります。
3Dプリンターは、造形の自由度に優れていることから、新製品の試作や、フィギュア、日用品の作成など、幅広い用途で活用されています。 現在ではリーズナブルな機器も多くラインナップされており、企業だけでなく、家庭でも導入する人が増えています。
3Dプリンターの基礎知識について知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
参考記事:3Dプリンターとは?活用事例を交えて仕組みや使用方法について簡単に解説
3Dスキャナー
3Dスキャナーは、対象物をスキャンして、3Dデータを取得する機器を指します。
3Dスキャナーには、対象物にセンサーやプローブを接触させてデータを取得する「接触式」や、センサーを接触せずともデータを取得できる「非接触式」など、さまざまな種類があります。
工業用で使われる3Dスキャナーの主な用途は、検査やリバースエンジニアリングが代表的です。
従来の検査では、ノギスなどの計測機器を用いて、手作業で寸法を測定していましたが、複雑な形状の製品では測定が困難でした。しかし3Dスキャナーでは、手作業では計測が難しいものでも、容易に検査が可能です。
リバースエンジニアリングは、実際にある製品を解析や分析などをして情報を得ることを指します。例えば、設計図がない製品でも、実物さえあれば3Dスキャナーで3Dデータを取得できます。得られたデータから、再度製品を作成したり、修正したりといった作業も可能です。
3Dスキャナーの基礎知識について知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
参考記事:3Dスキャナーとは?原理や仕組み、活用事例をわかりやすく解説
レーザーカッター
引用元:伯東株式会社 レーザー加工機とは?できることや注意点を解説
レーザーカッターは、画像処理ソフトなどで作成したデジタルデータを利用し、木材やアクリルなどの対象物にレーザー光を照射して切断・マーキング・彫刻の加工を行う機器を指します。
レーザーカッターは、レーザー光の出力や照射時間を細かく調節できるため、さまざまな素材に対して精密な加工が可能。デジタルデータを活用する分、自分のイメージ通りのデザインに加工できます。また、加工時間も短いことから、多品種少量生産に適しています。
デジタルファブリケーションのメリット
デジタルファブリケーションは、デジタル機器やデジタルデータを扱い造形物を制作する技術のため、従来の製造技術に比べてさまざまなメリットが期待されています。
従来の技術では難しい製造が可能
デジタルファブリケーション機器を利用することで、従来の技術では難しいものでも製造が可能になります。これにより、製品の軽量化や製造コストの削減が期待できるほか、新しい技術などが生まれる可能性もあります。
例えば、従来の切削加工などを用いた製造では、製品の構造によって刃物が入らないために、製造できない場合がありました。しかし3Dプリンターのように、材料を積層しながら造形する仕組みなら、複雑な形状にも対応できます。
また、図面がない製品や寸法の取得が難しい製品に対しても、3Dスキャナーを利用することで、リバースエンジニアリングを可能にしています。
弊社の3Dスキャン事業「SCANTECH」では、リバースエンジニアリングサービスを提供しております。既存の製品・部品などを3Dスキャンしたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
個人のものづくりに対応
現在では、個人でも利用しやすい3DCADや3DCGがあり、自身のイメージしたものをすぐに3Dデータ化できるほか、3Dプリンターのように安価な機器が販売されていることから、個人でもモノづくりが楽しめるようになりました。
また、機器の導入が難しい方でも、各種デジタルファブリケーション機器が設置されている「ファブラボ(FabLab)」などの場やイベントを活用することで、ものづくりを体験できます。ファブラボとは、デジタルからアナログまで、さまざまな工作機械を有した市民工房のネットワークを意味します。
個人でもモノづくりを楽しめる環境になると、アイデアに富んだ製品が開発されたり、技術が向上したりといったメリットがあるので、より社会が豊かになることが期待されています。
教育現場での活用
デジタルファブリケーションは、教育現場にも活用されつつあります。
これからの時代は、単純作業やマニュアル化された作業は、AIやロボットが担うことが想像できます。デジタル化の流れについていくためにも、教育現場にてデジタルツールの利用に慣れる必要がありますが、デジタルファブリケーションを学ぶことで、機器の扱いに強くなります。
また、ものづくりを楽しみながら学ぶことで、AIやロボットにはない想像力や思考力を養えるようになります。
FLASHFORGEでも、ものづくりの楽しさや、オリジナル品を作る技術を教育する場として「Go!Go!3Dスクール」を開催しております。Tinkercad・Fusion360の3DCADの使い方や、3Dプリンターの使い方を学びたい方は、ぜひ一度ご検討ください。
デジタルファブリケーションに関するよくある質問
最後に、デジタルファブリケーションに関するよくある質問について回答します。
日本国内で開催されているファブラボは?
ファブラボは、2011年に神奈川県鎌倉市と茨城県つくば市にオープンしてから、ものづくり活動がスタートしています。現在では東北から九州まで、日本各地に設立されており、新たな地域での設立も検討されているようです。
日本で開催されているファブラボの詳細は、FabLab Japanのサイトに記載されているのでチェックしてみてください。
ファブラボを利用または見学したい場合はどうする?
ファブラボの運営形態は、各ファブラボにより異なるため、内容をウェブサイトで確認する必要があります。例として、鎌倉市のファブラボでは、個人利用で機材を利用するためには、各種講座を受講する必要があります。
各ファブラボの利用条件を確認したい方は、FabLab Japanから、最寄りの開催地が運営してるサイトをチェックしてみてください。
まとめ
デジタルファブリケーションとは、自身がイメージしたものをデジタルデータに変換し、それをもとに制作する技術です。制作の自由度が高いほか、個人でも新しいものづくりができるため、技術の発展や新しい働き方などが生まれると期待されています。
しかし総務省のアンケート調査によれば、米国のほうが日本よりもデジタルファブリケーションの認知度が高く、デジタルファブリケーションを実施したいとの意見も多いようです。
日本では、米国に比べて認知度や実施したいとの意見は乏しいものの、デジタルファブリケーションの利用は進みつつあるので、今後どのような発展を遂げるのかに期待がかかります。
参考資料:総務省 第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~
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