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3Dプリンター
- 公開日:2022.7.5
- 更新日:2022.7.27
3Dプリンターはジオラマ製作にもおすすめ!データの作成方法や活用事例を紹介
さまざまな分野や業界で活躍している3Dプリンター。現在では高精度で造形できる3Dプリンターが多くラインナップされており、模型やジオラマ製作の分野においてもより多くの活躍が期待されています。
この記事では、3Dプリンターが模型やジオラマ製作に便利な理由や、3Dプリントに必要なデータの作成方法、おすすめの3Dプリンターについて解説します。
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模型やジオラマ製作は3Dプリンターが便利
3Dプリンターは、小ロット生産だけでなく、3Dデータの編集をすればサイズなどの調整が可能なため、さまざまな模型を用意するのに適しています。
また、3Dプリンターの機種によっては、人の手では再現が難しい小さなモデルでも造形が可能です。塗装を行う場合でも、フィラメントやレジンといった材料はさまざまなカラーが展開されているため、ベースとなる色の材料を使うことで塗装しやすくなるのもポイントです。
3Dプリンターの造形方式には、熱で樹脂を溶かしてプリントする「熱溶解積層法」と、光硬化性樹脂(レジン)に紫外線を照射してプリントする「光造形法」があります。
これらの方式では、ABSフィラメントまたはABSライクレジンを利用することで、塗装や研磨がしやすくなります。また、ABSの材料は靭性にも優れており、模型の強度を高めたいときにも便利です。
模型やジオラマ製作に必要な3Dデータの作成方法
模型やジオラマを3Dプリントするには、元となる3Dデータを用意しなければなりません。ここでは3Dデータの作成するための方法を4つご紹介します。
3DCAD・3DCGソフトから作成する
1つ目は3DCAD、3DCGソフトからデータを作成する方法です。
3DCADは、3Dモデルの寸法や角度などを細かく設定してモデリングするため、機械部品などの正確さが求められるデータ作成に適しています。
3DCGは、四角形や三角形などの図形を組み合わせたり、曲面を使ったりしてモデリングするので、曲線を綺麗に表現したい場合におすすめです。
3DCADと3DCGソフトは、無料でも高機能に使えるソフトがいくつかあるので、これから3Dモデリング初心者の方でも気軽に始められます。おすすめのフリーソフトについては以下の記事でも紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
参考記事:3Dプリンターのデータ作成におすすめのフリーソフトをご紹介!
3Dスキャナーで現物をスキャンする
2つ目は3Dスキャナーを用いて3Dデータ化したい現物をスキャンする方法です。3Dスキャナーとは、対象物をスキャンするだけで3Dデータ化できる機器を指します。
この方法は、造形したいモデルが既に現物としてある場合に、1からデータを作成する必要がなく、簡単に3Dデータを用意できます。
3Dスキャナーの機器を導入するのが難しい方でも、現場に3Dスキャナーを持ち込んで測定するなどのサービスを利用する方法もあります。
弊社でも三次元測定またはリバースエンジニアリングを提供しておりますので、3Dスキャンが必要な方はぜひご検討ください。
3Dデータをダウンロードする
3つ目は3Dデータを自身で作成するのではなく、あらかじめ用意された3Dデータをwebサイトからダウンロードする方法です。
3Dデータを配布しているwebサイトを利用すれば、3Dデータを自身で作成できない方でも3Dプリントが可能です。
注意点として配布サイトを利用する際は、著作権や商用利用などのライセンスを確認しておきましょう。
3Dデータをダウンロードできるwebサイトは以下の記事で紹介してますので参考にしてみてください。
参考記事:3Dプリンターの設計図がダウンロードできる!おすすめサービス7選
3Dデータ作成サービスを利用する
4つ目は3Dデータ作成サービスを提供している企業に依頼する方法です。
3Dデータ作成サービスは、3Dモデリングしたいイラスト・写真・図面などを渡して依頼すれば、サービス会社にてデータを作成してもらえます。
この方法は「自分ではオリジナルのイラストや写真、図面などを3Dデータ化したいが、自分では3Dデータを作成できない」という方でも、3Dデータを用意できます。
サービス内容によっては、ハザードマップと地表の凹凸データを組み合わせて、立体的なマップをモデリングするなどの技術を利用できるほか、3Dプリントまで対応している場合もあります。
模型やジオラマ製作における3Dプリンターの活用事例
ここでは、どのようにして3Dプリンターが模型やジオラマ製作に利用されているのか、活用事例を見てみましょう。
福井県の観光地をジオラマ製作|S MODEL WORKS
模型制作工房の「S MODEL WORKS」は、国の名勝・天然記念物に指定されている、福井県の「東尋坊」の2500分の1ジオラマを作成しています。3Dデータはドローンで地形の空撮を行い作成。3Dプリンターと人の手による仕上げでジオラマを造形しています。
このほかにも福井県立恐竜博物館の約2000分の1ジオラマ製作で、微細な造形物である「レインボーザウルスと池」に3Dプリンターを利用しています。
3Dプリンターによる巨大ジオラマで街を再現|三井不動産レジデンシャル
三井不動産レジデンシャルは、日本橋三井タワーを中心とした街の1000分の1ジオラマを、全て3Dプリンターで再現しています。
当ジオラマは、日本橋三井タワー5階にある「日本橋サロン」にて設置されており、日本橋を28面のマルチモニターとジオラマに投射されるプロジェクションマッピングを使用して空間を演出しています。
ジオラマはサイズが3.59×2.36mと巨大かつ、フルカラーでの製作となります。1つ1つの建築物もリアルに再現しており、世界最高レベルのクオリティを有しています。
模型やジオラマ製作におすすめの3Dプリンター
ここでは弊社で取り扱いのある、模型やジオラマ製作におすすめの3Dプリンター「Adventurer3 Pro」と「Foto8.9」の2点をご紹介します。
Adventurer3 Pro
Adventurer3 Proは、熱で溶かしたフィラメントを積層させてプリントする「熱溶解積層法」の家庭用3Dプリンターです。
本体サイズがコンパクトかつ、稼働音が45dBと静音性に優れているため、自宅で模型製作を楽しみたい方におすすめ。コンパクトながらも、最大プリントサイズは150×150×150mmと広く設計されているのもポイントです。
ノズルは簡単に取り外せるので、目詰まりなどのトラブルがあった場合でも、すぐにメンテナンスを行えます。
造形中にフィラメントが切れた場合でも、一時停止してフィラメントの継ぎ足しが可能。フィラメントの残量を気にせずに造形できます。
・Adventurer3 Proの仕様
項目 | 詳細 |
---|---|
モデル名 | Adventurer3 Pro(アドベンチャー3プロ) |
造形サイズ(最大) | 150 x 150 x 150mm |
本体サイズ | 388 x 340 x 405mm |
造形方式 | FFF(熱溶解積層法) |
プリント方式 | シングルヘッドプリンティング |
プリント速度 | 10-100mm/s |
積層ピッチ | 0.05mm~0.4mm |
対応フィラメント | ABS、PLA、PC、PETG、PETG-CFなど |
格納できるフィラメント | 500g |
販売価格 | 53,000円(税込58,300円) |
Foto8.9
Foto8.9は、光硬化性樹脂に紫外線を照射して造形を行う「光造形法」の家庭用3Dプリンターです。
本体に搭載しているLCDパネルと405mmLEDにより、造形物の表面が綺麗で滑らかに仕上がります。また、積層ピッチが0.05〜0.2mmと細かいため、模型などを精密に出力したい方にもおすすめです。
LCDパネルを用いた3Dプリンターは、紫外線を点ではなく面で照射するので、最高50mm/hの高速造形が可能。各種消耗品や部品は、自社工場にて生産およびストックをしているため、不具合が生じた場合でもすぐに新品と交換できます。
・Foto8.9の仕様
項目 | 詳細 |
---|---|
モデル名 | Foto8.9(フォト8.9) |
造形サイズ(最大) | 192 x 120 x 200 mm |
本体サイズ | 280 x 240 x 465 mm |
造形方式 | LCD(光造形法) |
LCDパネル | 4Kモノクロパネル |
プリント速度 | 10-50mm/h |
積層ピッチ | 0.05〜0.2mm(設定可能最高レイヤー0.025mm~) |
レジントレイ | 0.5L |
販売価格 | 71,000円(税込78,100円) |
3Dプリンターの模型やジオラマ製作でよくある質問
最後に3Dプリンターの模型やジオラマ製作でよくある質問をご紹介します。
模型やジオラマ製作に適した3Dプリンターを選ぶポイントは?
模型やジオラマ製作では、造形物の外観が重視されるものです。そのため、造形物の表面が滑らかに仕上がりやすい、積層ピッチの小さい3Dプリンターを選ぶのがおすすめです。積層ピッチがミクロン単位に対応した機器だと、精密な造形に対応します。
より高い造形精度を求める方は、細かな部分の再現性が高い光造形法の3Dプリンターを検討してみてください。
ジオラマ製作で、細かな模型を一度に造形したいという方は、造形サイズの広い機器を選びましょう。
また、3DプリンターがABSフィラメントまたはABSライクレジンの材料に対応しているかもチェックしましょう。ABSの材料は靭性がよくて割れにくいほか、表面の研磨や塗装がしやすく、模型の製作に適しています。
もし、ジオラマ製作で不明な点がありましたら、お問い合わせいただくと、当社の技術スタッフがご対応しますので、ぜひご利用ください。
おすすめの3Dデータ作成ソフトは?
3Dデータ作成ソフトは、3DCADの「Fusion 360」と3DCGの「Blender」がおすすめです。
これらのソフトは条件さえ合えば無料で利用できるため、これから3Dモデリングを始めてみたい方にぴったり。多機能なので、本格的に勉強したい方にも適しています。
Fusion 360は作図だけでなく、パーツを組み立てるアセンブリや各種シミュレーション機能など、豊富な機能を利用できます。クラウドベースで動作するソフトのため、ネット環境があればデータ編集が可能です。
Blenderも3Dモデリング以外に、テクスチャマッピングやアニメーション、レンダリングなどの幅広い機能を有しています。
どちらのソフトも人気があり、インターネットで解説記事や動画が多いのもポイントです。使い方に迷ったときでも、問題点をすぐに調べられます。
まとめ
3Dプリンターは、高精度に造形できる機器が多くラインナップされているほか、3Dデータを編集すれば、サイズ変更や一部分のみの修正などが可能なため、模型やジオラマ製作に適しています。
3Dデータを作成する方法はいくつかありますが、自身で作成するのが難しい場合は、3Dデータのダウンロードサイトや3Dデータ作成サービスを利用する方法もあります。
模型やジオラマの製作に興味のある方は、ぜひこの機会に3Dプリンターの導入を検討してみてください。