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3Dプリンター
- 公開日:2023.8.9
- 更新日:2023.8.28
TPUフィラメントの基礎知識と対応3Dプリンターのご紹介

製造業をはじめとした、多くの業界で活躍を見せている3Dプリンター。現在ではオーソドックスな素材であるABSやPLAだけでなく、エンプラ素材などにも対応した機種があり、印刷できるモデルの幅が増えてきています。
3Dプリンターで使える特殊な素材のひとつに「TPUフィラメント」があります。TPUフィラメントはゴム系の素材で弾力性があり、パッキンやキャップなどの印刷に適しています。
この記事では、TPUフィラメントのメリットやデメリット、TPUフィラメントに対応したおすすめの3Dプリンターについてご紹介します。
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TPUフィラメントとは

TPUフィラメントとは、熱可塑性ポリウレタン樹脂の3Dプリンター素材のことを指します。
TPUフィラメントはゴム系の材料のため、一般的なプラスチックと比べて弾力性や柔軟性に優れているのが特徴です。熱を加えたときの成形性も良く、自由に曲げたり変形できます。
また、耐摩耗性や引張強度も良好のため、柔軟性が求められる部品や試作品の製造に適しています。具体的な用途は、以下のものが挙げられます。
- 自動車、航空機、産業機械をはじめとした工業用の部品(ホース、パッキン、キャップなど)
- スポーツシューズのアッパーやソール
- カバンの持ち手やスマホカバーなどの人が触れる物
TPUフィラメントのメリット
TPUフィラメントは、「柔軟性がある」ことや、「耐衝撃性、振動吸収性に優れる」点がメリットです。
- 柔軟性がある
TPUフィラメントは、PLAなどの一般的な素材に比べて弾力性、柔軟性があります。また、強度も有していることから、ホースやキャップなどの製品に活用されています。
- 耐衝撃性、振動吸収性に優れる
TPUフィラメントは柔らかい素材であるため、耐衝撃性や振動吸収性に優れているのもメリットです。これにより、カバーやケースなどの用途に適しているほか、シューズのソールなど、衝撃を緩和したいパーツにも活用されています。
TPUフィラメントのデメリット

TPUフィラメントは、印刷できる3Dプリンターが限られていることや、PLAなどの材料に比べて造形が難しい点がデメリットとして挙げられます。
柔らかいTPUフィラメントは、印刷スピードが速すぎると、ノズルのギアに絡んでしまう可能性があります。そのため、プリント速度は通常の印刷速度よりも遅い、おおよそ20mm/s程度に設定することが推奨されます。また、メーカーが推奨する特定のノズルを使用することも重要です。
さらに、プラットフォームへの定着性が高いため、印刷したモデルを剥がすのが難しいことがあります。この問題を解決するために、ビルドシートやカプトンテープに貼ることが効果的です。これらのアイテムはフィラメントの定着性を調整し、モデルの剥離を容易にする助けとなります。
TPUフィラメント対応のおすすめ3Dプリンター
ここでは、TPUフィラメントに対応した、おすすめのFLASHFORGE製3Dプリンターをご紹介します。今回ご紹介する製品は、以下の2機種です。
これらの機種は、FLASHFORGE製のフィラメント「FLASHFORGE フィラメント TPU(軟性) 1000g」をはじめとした、エンプラ素材に対応しています。
それでは、各機種の詳細について見てみましょう。
Guider3

Guider3は、コンパクトな筐体で、大容量の造形スペースを有しているのが特徴の3Dプリンターです。
本体サイズは496x436x696mmの大きさで、幅広い場所での設置が可能。最大造形サイズは300x250x340mmと、大きめの造形スペースを確保しています。
本体は、X軸、Y軸の駆動制御に「Core-XY構造」を採用しており、最高250mm/sの造形速度を実現。優れた印刷効率が求められるシーンにもおすすめです。
ノズルのフィラメントを送り出すギア部分はダブルギアを搭載し、フィラメントの送り出しがスムーズ。ノズル詰まりのトラブルも発生しにくく、快適に印刷を行えます。
素材は、オーソドックスなABS、PLAだけでなく、エンプラ素材やTPUなどの印刷が可能です。
【Guider3のスペック表】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 496x436x696mm |
最大造形サイズ | 300x250x340mm |
造形精度 | ±0.15mm(造形サイズが100mm未満) ±0.002mm/mm(造形サイズが100mm以上の1mmあたりの誤差は±0.002mm) 例:造形サイズが110mmの場合±0.22mm |
ノズル径 | 0.4 (0.6/0.8)mm |
最大ノズル温度 | 320℃ |
タッチパネル | 4.3インチフルカラー |
対応フィラメント | ABS、PLA、PC、PA、ASA、PETG、 PA-CF、PLA-CF、PETG-CF、TPU(0.6mm以上のノズルを推奨) |
保証 | 1年 |
本体価格 | ¥495,000(税込) |
Guider3Plus

Guider3Plusは、最大造形サイズが350×350×600mmと大きく、多くのプロトタイプモデルを印刷できる3Dプリンターです。
本製品は、X軸、Y軸のプリントヘッド駆動に「Core-XY構造」を採用することで、最高250mm/sの高速印刷が可能。各軸に工業用パーツを使用しているため、位置決めが正確かつ、安定した印刷を実現します。
ヘッドは、最大320℃まで加熱できるノズルを搭載。TPUや各種エンプラなど、特殊なフィラメントの印刷に対応します。
本体の背面には、密閉型フィラメント収納ボックスを2個内蔵。それぞれで1kgのフィラメントを収納できます。収納ボックスには温度計と湿度計を搭載し、フィラメントを管理するのにぴったり。内側にはシリカゲル乾燥剤を配置しており、湿度20%以下で最大5日間の保存が可能です。
【Guider3Plusのスペック表】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 635×590.5×1060mm |
最大造形サイズ | 350×350×600mm |
造形精度 | ±0.15mm |
ノズル径 | 0.4 (0.6/0.8)mm |
最大ノズル温度 | 320℃ |
タッチパネル | 7インチフルカラー |
対応フィラメント | PLA、ABS、PETG、PC、PA、ASA、 PC-ABS、PA-CF、PETG-CF、PLA-CF、TPU(0.6mm以上のノズルを推奨) |
保証 | 1年 |
本体価格 | (お見積り) |
FLASHFORGEのTPUフィラメント
FLASHFORGEでは、TPUフィラメントに対応した3Dプリンターだけでなく、フィラメントも取り扱いがあります。フィラメントの直径は1.75mmと2.85mmの2種類、カラーはそれぞれの直径でホワイトとブラックの計4種類をラインナップしています。
※Guider3、Guider3Plusで使用する場合は、直径1.75mmのTPUフィラメントをご利用ください。
FLASHFORGEのTPUフィラメントは、柔軟性・弾力性・耐衝撃性などのほかに、優れた支持力を有しているのが特徴です。ゴム系のモデルを快適に印刷したい方は、ぜひFLASHFORGEのTPUフィラメントをご検討ください。
TPUフィラメントに関するよくある質問
最後に、TPUフィラメントに関して、お客様からよくいただく質問について回答いたします。
TPUとTPEフィラメントの違いは?
TPEフィラメントは、TPUフィラメントと同じゴム系の素材で、どちらも柔軟性に優れています。
ゴム系のフィラメントで一般的に使われる素材がTPUのため、特殊な用途ではない場合のゴム製品や試作品を印刷したい場合は、TPUフィラメントを選ぶのがおすすめです。TPUフィラメントは、コスト面においてもゴム系のフィラメントのなかでは安い傾向にあります。
一方でTPEフィラメントは、TPUに比べて硬度が柔らかめなのが特徴です。
FLASHFORGEのTPEフィラメントは、伸び率や積層強度が高いほか、低吸水性に優れています。また、医療分野等で利用実績のある、人体への安全性を確認した樹脂を使用しています。
TPUフィラメントで上手く造形できない
TPUフィラメントは、一般的な素材に比べて柔らかいため、正しく造形するのが難しい傾向にあります。印刷できる3Dプリンターは限られているので、はじめに使用している機種がTPUフィラメントに対応しているかを確認してみてください。
プリント速度については通常よりも遅めに設定する必要があります。FLASHFORGEのTPUフィラメントの場合は、形状にもよりますが、20〜40mm/sのプリント速度が目安です。
そのほかにもプラットフォームへの定着性がよいため、ビルドシートまたはカプトンテープの使用を推奨してい ます。
各社で推奨されている印刷条件は異なる場合があるため、3DプリンターやTPUフィラメントの仕様をよく確認してから印刷してみてください。
TPUフィラメントの印刷で糸引きが発生する場合は、リトラクション設定(ノズル移動時にフィラメントを少し引き戻す設定)を調整することで、糸引きを減らすことができます。
まとめ
TPUフィラメントは、熱可塑性ポリウレタン樹脂の3Dプリンター素材です。ゴム系の材料で弾力性や柔軟性があり、耐摩耗性や強度も有していることから、さまざまな工業用部品等に活用されています。
FLASHFORGEでは、TPUフィラメントおよび、TPUフィラメントに対応した3Dプリンターを販売しております。もしTPUフィラメントの造形物や、3Dプリンターの実機に触れてみたい方は、ぜひ大阪と東京で開催しているショールームをご利用ください。
ショールームでは、お客様のご要望に合う機種をご提案いたします。参加を希望する方は、以下のページにある申請フォームからご予約をお願いいたします。