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3Dプリンター
- 公開日:2022.8.1
- 更新日:2023.9.13
3Dプリンターの試作メリットとは?導入事例やおすすめ機種をご紹介
日本では、世界各国に比べて3Dプリンターの普及率が低く、2017年の販売額ベースの世界シェアではわずか3%でした。(引用:【第8回】日本の世界シェアは3%!?海外の金属3Dプリンター活用状況)
現状では、従来の製造方法を継続して採用している企業が多いことから、3Dプリンターを活用するメリットが分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、3Dプリンターによる試作品作成のメリットや導入事例、おすすめの3Dプリンターについて解説します。導入事例として、宇宙ベンチャー企業のインターステラテクノロジズ株式会社と、京都産業大学での2つの事例をご紹介します。
ページコンテンツ
企業および大学での3Dプリンター導入事例
はじめに、企業および大学での3Dプリンターの導入事例をご紹介します。
今回ピックアップしている事例は、どちらもFLASHFORGEの業務用3Dプリンター「Creator4S」を導入されていて、造形精度の高いモデルを印刷しています。
また、一般的な3Dプリンターよりも大きなモデルの造形に対応していることから、サイズの大きな試作品に対しても作成が可能です。Creator4Sの詳しい性能については後ほどご紹介します。
インターステラテクノロジズ株式会社の導入事例
インターステラテクノロジズ株式会社は、実業家の堀江貴文さんが創設した宇宙ベンチャー企業です。同社では、人工衛星を宇宙に運ぶロケット「ZERO」の開発に、業務用3Dプリンター「Creator4S」を活用しています。
インターステラテクノロジズ株式会社では、大きいモデルを造形したかったことや、サポート材が複雑に入ったときに除去できないなどの課題がありました。
しかしCreator4Sを導入してからは、これらの課題をクリアし、大きなモデルの造形や、上図のような細かなディテールのモデルの造形を実現しています。また、Creator4Sは同価格帯の3Dプリンターと比べて、高い機能を有しているのも、導入の決め手になったとのことです。同社での3Dプリンターの用途は、シミュレーション用の部品や、作業用治具の作成などです。
試作品の印刷や、作業に使える治具を自社の3Dプリンターで作成することで、外注にかかる手間や時間を削減できるほか、金型を用意する必要もなくなるため、部品作成にかかる期間の短縮に寄与しています。
Creator4Sは、大きなサイズのモデルを精度よく印刷できることから、同社では、シミュレーション用の部品ではなく、実際に使えるモノの印刷にも活用したいと検討しているようです。
インターステラテクノロジズ株式会社の導入事例についての内容は、以下の記事にて詳しくご紹介しています。
<<ロケットZERO開発に3Dプリンター「Creator4S」を活用!|インターステラテクノロジズ株式会社
京都産業大学の導入事例
3Dプリンターは企業だけでなく、大学にも導入され、研究や授業に役立てられています。京都産業大学の情報理工学部では、FLASHFORGEの3Dプリンター「Creator4S」以外にも「Adventurer3」などが導入されています。
京都産業大学の情報理工学部には、ファブスペースにて、3Dプリンターやレーザーカッターなどの工作機械を設置しており、授業や研究に活用されています。
京都産業大学では、鼻孔付近の局所領域の流体特性の研究用として、頭蓋骨のモデルを3Dプリンターで作成しています。この研究では、どのようにニオイ物質が流れているのか見たいという思いから、人間の頭蓋骨モデルを使って実験を行う予定です。
このほかにも、ダンゴムシの足の動きの研究に使う行動計測装置や、ボウリング球の回転データを調べるためのボウリング球の作成などに、Creator4Sが活用されています。
上図は、Creator4Sで作成したボウリング球です。どのように回転するのかを確認するためにツートンカラーで印刷しています。
このように、3Dプリンターを導入することで、研究したい内容に応じて3Dモデルを印刷でき、スムーズに研究にとりかかれるというメリットがあります。
京都産業大学の、3Dプリンターを活用した具体的な研究内容の解説については、以下の記事にて紹介しています。
<<ダンゴムシ研究に3Dプリンター「Creator4S」を活用|京都産業大学
3Dプリンターで試作するメリット
3Dプリンターで試作するメリットは、以下のとおりです。
- 自社製作なら材料代だけで試作できる
- 試作時間を短縮できる
- 手軽に何度も造形できる
上から順番に説明していきます。
メリット①:自社製作なら材料代だけで試作できる
自社で3Dプリンターを所有すれば、材料代だけで試作できる点が魅力です。従来の試作では金型も必要なので、金型の材料も必要です。
たとえば、射出成形による試作の場合は、アルミ材などを使った「簡易金型」を用いることが一般的です。金型の強度やコストを下げつつ、実際の製品に近い性能を持たせながら多彩な材料の試作品を作ることができます。しかし、コストは発生してしまいます。
一方の3Dプリンターなら材料代だけで試作できるので、コストを最小限に抑えることが可能です。
インターステラテクノロジズ株式会社、および京都産業大学の事例においても、部品や治具、実験サンプルが必要になった際、自社の3Dプリンターを活用し、すぐに必要なモノを作成しています。
以上の理由から、コストを極限まで抑えるのであれば自社で3Dプリンターを導入することをおすすめします。
メリット②:試作時間を短縮できる
試作期間を短縮できる点も、3Dプリンターを導入するメリットです。
従来の試作は図面への落とし込みや組み立てといった手間や時間が発生するので、期間は長くなってしまいます。しかも外注がほとんどなので、やはり試作の期間は長くなりやすいです。
一方の3Dプリンターを使った試作なら3Dデータさえあれば試作品を製作できるうえ、治具なども簡易的に作れるので、試作期間を大幅に短縮できます。自社で製作することから、輸送の問題も発生しません。
インターステラテクノロジズ株式会社では、試作品や治具を3Dプリンターで作成しており、短期間で部品のシミュレーションを行っています。
したがって、試作期間を短縮するなら3Dプリンターの導入をおすすめします。
メリット③:手軽に何度も造形できる
手軽に何度も造形できることも、3Dプリンターで試作する大きなメリットです。
3Dプリンターがあれば試作の段階で確認しながら製作できるため、完成品のクオリティを高められます。
従来の試作では、たとえ画期的なアイデアが浮かんでもすぐに造形することはできませんでした。しかも、設計にミスがあるとやり直しの期間も長くなっていたのです。
しかし、3Dプリンターを使えばアイデアをすぐに具現化できるうえ、3Dデータを編集するだけなので修正も容易です。
インターステラテクノロジズ株式会社、および京都産業大学では、部品や実験サンプルの作成に3Dプリンターを活用しており、作成したモデルの設計に問題があった場合でも、すぐに修正が可能です。そのため、製造業や教育機関などの現場では、3Dプリンターの導入をおすすめします。
試作におすすめの3Dプリンターは?
試作におすすめのFLASHFORGE製3Dプリンターは、以下の2機種です。
- Creator4S
- Guider3 Plus
FLASHFORGEでは、上記の2機種にて「無料サンプル造形」のサービスをご提供しております。サービスの対象は、3Dプリンターのご導入をお考えの法人様限定で、1回に限りご利用いただけます。当サービスを利用することで、造形物の精度や強度、材質の質感などをお確かめいただけます。ベンチマークのサンプル造形もご用意しておりますので、以下のページからお気軽にお問い合わせください。
それでは、おすすめの3Dプリンターを順番にご紹介していきます。
Creator4S
FLASHFORGE製最上位モデル・Creator4Sの大きな特徴は、大型サイズの造形が可能なことです。
FLASHFORGE製FFF方式の最上位モデルであり、400×350×500mmの大型サイズにも対応しているので、試作だけでなく最終製品の製造に利用することもできます。
従来の3Dプリンターでは大型モデルの造形には分割が一般的ですが、Creator4Sの特徴は一体化した造形が分割なしで可能であることです。
ほかにも、独立型デュアルエクストルーダーを採用しているため、多様な造形にも対応できます。
例えば、片側のノズルにサポート材用のフィラメントを用いることで、複雑な形状のモデルを作成した際に、溶剤を用いてサポート材を溶かしたり、色違いのフィラメントを用いて2色のモデルを印刷したりできます。
【Creator4Sのスペック】
本体サイズ | 840mm x 675mm x 1000(1050)mm |
本体重量 | N.W-90kg、G.W-130kg |
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
プリント最大サイズ | 400mm x 350mm x 500mm |
最大プラットフォーム温度 | 130℃ |
最大チャンバー温度 | 65℃ |
動作環境温度 | 15~30℃ |
タッチパネル | 7インチフルカラー |
積層ピッチ | 0.05mm – 0.4mm |
ノズル径 | 0.4mm(0.6mm/0.8mm) |
対応フィラメント | PLA、ABS、PETG、PC、PA、ASA、PBAT、TPC、TPE、PVA、HIPS、PA-CF、PETG-CF、PLA-CF、TPU |
Guider3 Plus
Guider3 Plusは、高速造形と安定した造形精度が特徴の業務用3Dプリンターです。
印刷の速度は最高250mm/sで、スピーディーに試作品を作成可能。X軸とY軸のリニアガイドレールおよびZ軸のリニアシャフトなどについては工業用のパーツを採用することで、高速ながらも安定した造形を実現しています。
造形サイズは、350×350×600mmのスペック。Z軸方向の高さがあり、大型モデルの印刷に対応します。
ヘッドは、エンプラ素材が使える、最大320℃加熱に対応したノズルを搭載。エンプラ素材を用いることで、従来のPLAやABS素材に比べて、強度に優れたモデルの作成も可能です。
本体背面に搭載された2つのフィラメント収納ボックスは、1kgのフィラメントを収納できます。収納ボックスは温度計と湿度計を配置しているため、フィラメントの管理に便利です。
また、内側にはシリカゲル乾燥剤を搭載し、湿度20%以下の環境であれば、最大5日間の保存が可能です。
【Guider3 Plusのスペック】
本体サイズ | 635mm × 590.5mm × 1060mm |
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
プリント最大サイズ | 350mm × 350mm × 600mm |
最大プラットフォーム温度 | 120℃ |
プラットフォーム | マグネット式磁気プラットフォーム |
動作環境温度 | 15~30℃ |
積層ピッチ | 0.05mm – 0.4mm |
ノズル径 | 0.4mm(0.6mm/0.8mm) |
最大ノズル温度 | 320℃ |
対応フィラメント | PLA、PETG、ASA、ABS、PC、PA、PLA-CF、PETG-CF、PA-CFなど |
保証 | 1年 |
3Dプリンター試作に関するよくある質問
3Dプリンター試作に関するQ&Aは、以下のとおりです。
- 3Dプリンターの試作を依頼できるサービスは?
- 3Dプリンターで試作する大きなメリットは?
順番に説明していきます。
3Dプリンターの試作を依頼できるサービスは?
FLASHFORGEでは、3Dプリンターの試作を依頼できる「無料サンプル造形」サービスをご提供しております。
条件として、3Dプリンターのご導入をお考えの法人様限定で、1回に限り無料でサンプル造形を行っております。対応する造形サイズは要相談です。
サンプル造形に対応する3Dプリンターは「Creator4S」と「Guider3 Plus」です。無料造形サンプル造形の詳細については、以下のページからご確認ください。
3Dプリンターで試作する大きなメリットは?
コストと時間を大幅に削減できることです。
従来の射出成形や切削加工などの試作方法では、コストも時間もかかり、企業にとって大きな負担でした。
しかし、3Dプリンターの普及により、3Dデータさえ用意できれば、短時間で意図したデザインの試作品を作成することができます。
3Dプリンターの3Dデータの作成については、下記の記事を参考にしてください。
<<3Dプリンターのデータ作成におすすめのフリーソフトをご紹介!
まとめ
今回は、3Dプリンターによる試作品作成のメリットや導入事例、おすすめの3Dプリンターについてご紹介しました。
3Dプリンターを活用すれば、金型を用意する必要がなく、材料費だけで試作が可能で、作成したいモデルの製作時間を短縮できます。
もし作成したモデルの設計にミスがあった場合でも、3Dデータを修正して再度3Dプリンターから印刷するだけのため、手軽に繰り返し造形できます。
もし3Dプリンターの導入を検討している方は、FLASHFORGEのショールームにお越しください。ショールームでは、今回ご紹介したCreator4SおよびGuider3 Plusを展示しており、お客様の業務内容に合う3Dプリンターをご提案いたします。
ショールームのご予約は、以下のページにある申請フォームから可能です。ぜひお気軽にご利用ください。