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3Dプリンター
- 公開日:2022.7.27
- 更新日:2023.2.22
3Dプリンターのフィギュア制作に必要なデータの作り方は?おすすめ機器も紹介
3Dプリンターは試作品や治具作りなど幅広い用途で使用されています。造形精度の高い3Dプリンターが低価格で販売され始めたことにより、フィギュア制作が身近なものになりました。家庭用3Dプリンターを購入すれば、好きなキャラクターのオリジナルフィギュアづくりが楽しめます。
この記事では、3Dプリンターを活用したフィギュアの作り方をご紹介します。3Dデータの作り方や、おすすめの機器まで紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
ページコンテンツ
フィギュア制作に必要な3Dデータの作り方
3Dプリンターでフィギュアを制作する場合には3Dデータが必要です。さまざまな3Dデータの作り方があるため、自分に合った方法で3Dデータを作成しましょう。
3DCADによるデータ作成
3DCADは、機器製品や建築物などの設計で用いられるソフトウェアです。
3DCADでモデリングする場合は、寸法や角度などのパラメータを入力しながらフィギュアを作成していきます。そのため、寸法が決まっているフィギュアをモデリングしたい場合は3DCADがおすすめです。
その一方で、絵を書くソフトウェアではないため、自己交差(面が捻じれたり、線が交差すること)がするとエラーが起きてしまいます。そのため、自由に絵を書きたい方には不向きです。
このような特徴があるため、仕様書通りにモデリングしたい方におすすめです。
おすすめの3DCADソフト「Fusion360」
Autodesk社が提供している3DCADソフトです。操作性に優れており、幾何学的な形から滑らかな形までを手がけられます。
3DCAD機能に加えて「3D CAM」「レンダリング」「解析」「アセンブリ」「2次元図面」が搭載されているため、フィギュアの3Dデータの全工程をカバーできます。
Fusion360は、月額7,700円(税込)とお手頃な価格で利用できるため、3DCADソフトをお探しの方におすすめです。
3DCGによるデータ作成
3DCGは、アニメーション等のキャラクター作りに用いられるソフトウェアです。アニメやエンターテイメント業界などで活用されており、従来のものよりもリアルで立体的なモデリングができます。
自己交差などの制約を受けずにモデリングができることが大きな特徴。その一方で、3DCGソフトの操作方法は難しく、勉強が必要です。そのため、フィギュアのリアリティを追求したい場合におすすめのソフトとなります。
おすすめの3DCGソフト「Blender」
アニメーション制作で用いられる無償で配布されている3DCGソフトです。数多くの機能がありモデリングから動画編集まで行えます。モデリング、質感付け、マッピング、ライティング、アニメーション、動画編集ができ、ハイクオリティなアニメーション動画が制作できます。
ソフトウェアのUIにも拘っており、直観的に操作できると評判です。また、アプリケーションのアップグレードが行われているため、常に最新の技術が利用できます。
3Dスキャナーで実物をスキャン
既存のフィギュアを複製、リモデルしたい場合は3Dスキャナーで3Dデータ化しましょう。3Dスキャナーがあれば3DCADや3DCGを操作できない方でも、実物から3Dデータが作成できます。
取得した3Dデータを編集することも可能です。そのため、3Dスキャナーは既存フィギュアを複製したい場合におすすめの作成方法となります。
三次元測定サービスとは、3Dスキャンの実務経験を積んだエンジニアに対象物の3Dデータを作成を依頼できるサービスです。
3Dデータの取得だけでなく、3Dデータの穴埋めや修理、ノイズ処理、面張りなどにも対応しています。そのため、既製品の3Dデータが欲しいという方におすすめのサービスです。SCANTECHでも三次元測定サービスを提供しています。
ダウンロードサイトからデータを取得
オリジナルデータにこだわずに、気軽にフィギュア制作を楽しみたいという方はダウンロードサイトから3Dデータを取得する方法もあります。
ダウンロードサイトの検索窓にフィギュアと入力すれば、さまざまな3Dデータが出てきます。しかし、ダウンロードサイトを利用する場合にはトラブルが起きないように、あらかじめ著作権や商用利用などライセンスを確認して利用するようにしましょう。
おすすめのサービス:thingiverse
Makerbotが運営している3Dデータ共有サイトです。ダウンロードサイトの表記は英語ですが、日本の方でも問題なく利用できます。
「Search Thingiverse」の箇所に「figure」と入力すれば、さまざまなフィギュアの3Dデータが出てきます。完全無料で3Dデータをダウンロードできるため、安心して利用できるダウンロードサイトをお探しの方におすすめのサイトです。
Thingiverseで3Dデータをダウンロードして出力した作品を見たい方は、下記の記事を読んでみてください。
関連記事:『3Dプリンターの作品10選!家族でモノづくりを楽しもう』
3Dプリンターがあれば家でもフィギュア制作が可能に
3Dプリンターでフィギュアの3Dデータを作成する方法をご紹介しましたが、どのような作品が作れるのでしょうか?ここでは、3DプリンターFusion360を使用してメカ系オリジナルキットを制作しているギャレス様の制作事例をご紹介します。
ワンプレートソルジャー
兵士をイメージした組み立てキットで、さまざまなポーズのバリエーションが楽しめます。フィラメントの積層方向で強度が変わるため、軸と穴の配置を考慮しました。
作品名 | ワンプレートソルジャー |
使用機材 | Adventurer4,Adventurer3,Guider2 |
使用材料 | ABS |
積層ピッチ | 0.1 |
総造形時間 | 20~30時間 |
スカウトバギー
小型車両でワンプレートソルジャーを2名乗せられます。それだけでなく、ハッチ部分の開閉ができたり、ハンドルや前輪を動かせるようになっています。
作品名 | スカウトバギー |
使用機材 | Adventurer4、Adventurer3、Guider2 |
使用材料 | ABS |
積層ピッチ | 0.2 |
総造形時間 | 41時間 |
戦闘ロボ ハードシェル
160mmの組み立て式の戦闘ロボットで装備の取り換えができます。また、搭乗ハッチを空けて、ワンプレートソルジャーが乗せられます。ガトリングガンのベルトリンクを軟質素材で印刷してリアリティにこだわった戦闘ロボです。
作品名 | 戦闘ロボ ハードシェル |
使用機材 | Adventurer4,Adventurer3,Guider2 |
使用材料 | ABS |
積層ピッチ | 0.2 |
総造形時間 | 85時間 |
戦闘ロボ インテンス
光造形の3Dプリンターで一括出力した戦闘ロボです。レジンで細かい模様まで再現しています。積層方向に力がかかると造形が失敗する恐れがあるため、出力方向やポーズなど工夫されています。
作品名 | 戦闘ロボ インテンス |
使用機材 | Foto8.9s |
使用材料 | スタンダードレジン |
積層ピッチ | 0.05 |
総造形時間 | 8時間 |
フィギュア制作におすすめの3Dプリンター
ギャレス様の3Dプリンターの作品はFLASHFORGE製の3Dプリンターで制作されています。ここではFLASHFORGE製の中でも、フィギュア制作におすすめの3Dプリンターをご紹介します。
Adventurer4
Adventurer4は造形サイズが大きくノズル交換もできる優れたFFF方式(熱溶解積層方式)の3Dプリンターです。98,450円(税込)と低価格で購入ができるエントリーモデルの3Dプリンターです。
PLAやPETG、ABS、PC、PETG-CFなどフィラメントに対応しているため、フィギュアに合わせて素材が選べます。また、タッチパネルの操作方法やメンテナンスの方法も簡単のため、初めて3Dプリンターを使用する方におすすめです。
・Adventurer4の仕様
項目 | 詳細 |
造形サイズ(最大) | 220 x 200 x 250 mm |
XY軸移動速度 | 10-150mm/s |
造形方式 | FFF(熱溶解積層法) |
造形精度 | ±0.1mm |
ノズル | 0.4mm、240度まで(265度高温ノズル付属)ワンプッシュ交換可能 |
対応フィラメント | ABS、PLA、PC、PETG、PETG-CF |
積層ピッチ | 0.05~0.4mm |
販売価格 | 89,500円(税込98,450円) |
保証 | 1年間 |
Foto8.9s
Foto8.9sは、リニアガイド+スクリューモーター+クリアランスナットの組み合わせを使用し、造形の安定性を確保した機器です。フィギュアの積層痕が目立たず、滑らかな表面に仕上がります。そのため、仕上がりのよいフィギュアを制作したい方におすすめのモデルです。
LCD方式は材料であるレジンにUVランプを照射し、硬化させて造形を行うタイプです。最新技術により均等なUVランプ照射が行えるためムラを抑えられます。直径60ミクロンの細部の造形まで細かく出力できるモデルのため、フィギュア製作を本格的に楽しみたい方におすすめです。
消耗品や部品は自社工場にて生産およびストックをしているため、不具合が生じたときでもすぐに交換できるため、安心して利用できます。。
・Foto8.9sの仕様
項目 | 詳細 |
造形サイズ(最大) | 192 x 120 x 200 mm |
本体サイズ | 305 x 264 x 490 mm |
造形方式 | LCD(光造形方式) |
LCDパネル | 4Kモノクロパネル |
プリント速度 | 10-50mm/h |
積層ピッチ | 0.025〜0.2mm |
レジントレイ | 0.5L |
販売価格 | 89,000円(税込97,900円) |
保証 | 1年 |
フィギュア制作におすすめのレジン「エキマテ」
緻密なフィギュアを造形したい方にはレジンがおすすめですが、化学物質が使用されているため、レジンの取り扱いには注意しなければいけません。FLASHFORGEでは、レジンの弱点を解消した商品「エキマテ」を販売しています。もちろん、FLASHFORGE製の光造形3Dプリンターでも使用可能です。ここでは、エキマテの魅力をご紹介します。
化学物質不使用で安全に扱える
エキマテはベンゼンやアンチモン等の人体に有害な化学物質不使用のため安心して取り扱えます。
一般的なレジンは化学物質が使用されており、レジンに触れるとアレルギーが発症してしまう場合があります。しかし、エキマテは化学物質を使用していないため、アレルギー発症することはありません。レジンアレルギーが心配な方も安心して取り扱えるとして支持を集めている商品です。
水溶性レジンで汚れを簡単に拭き取れる
エキマテは水溶性レジンのため、ベタつきも気になりません。万が一、手にレジンが付着しても通常の手洗いで汚れを落とせます。また、床にレジンをこぼしても簡単に拭き取れるため、汚れを気にせずモノづくりが楽しめます
下水道で液体を廃棄できる
エキマテの掃除は水道水と台所洗剤で洗い、下水道へ流すだけです。通常は化学廃棄物として処理するか、完全に硬化させて家庭用の一般ゴミとして処分しなければいけません。しかし、エキマテは化学物質が含まれていないため、下水道に液体を捨てられます。
フィギュア制作に関する3Dプリンターのよくある質問
最後に3Dプリンターのフィギュア制作に関するよくある質問をご紹介します。
積層痕で塗装しにくい場合はどうする?
3Dプリントしたフィギュアは、造形の仕組み上、材料が積み重ねられた積層痕が付く傾向にあります。フィギュアを塗装する場合、積層痕が粗いと塗装がしにくくなるので、表面をヤスリで研磨しましょう。
より塗装しやすくするには、表面の保護コーティング剤を用いるのがおすすめです。保護コーティング剤は、FLASHFORGEでも取り扱いがあるので、塗装でお悩みの方はチェックしてみてください。
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3Dデータ作成のおすすめのソフトは?
フィギュア制作であれば、3DCGソフトの「Blender」と「ZBrush」がおすすめです。
Blenderは無料のソフトなので気軽に導入できます。また、3Dモデル制作に関してできることが豊富で機能面で困ることがなく、本格的に3DCGを学びたい方にも適しています。
ZBrushは有料のソフトになりますが、スカルプトモデリング機能に優れているのがメリットです。粘土を扱うようにモデリングができるので、初心者でも扱いやすく、フィギュア制作の用途で人気があります。
フィギュア制作の用途に限らず、おすすめの3Dデータ作成ソフトを知りたい方は以下の記事もチェックしてみてください。
参考記事:3Dプリンターのデータ作成におすすめのフリーソフトをご紹介!
まとめ
3Dプリンターでフィギュアを作るには、機器や材料だけでなく、3Dデータを用意しなくてはなりません。
しかし、3DCADや3DCGソフトを使えない方でも、3Dモデルのダウンロードサイトや、初心者でも扱いやすいソフト、3Dスキャンサービスを利用するなどの方法があります。
3Dプリンターの導入が難しい方は、3Dプリントサービスを利用するのも1つの方法です。これらのように、さまざまなフィギュアの作成方法があるので、どの方法が自身に適しているかを確認するとよいでしょう。
FLASHFORGEでは、フィギュアの作成に適した3Dプリンターの販売などを提供しております。3Dプリンターの購入でお悩みの方は、気軽にお問い合わせください。