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3Dプリンター
- 公開日:2022.4.15
- 更新日:2023.4.12
[自動車業界]3Dプリンターの活用事例から読み解く導入効果とは?
自動車業界で3Dプリンターを活用したものづくりが始まっています。なぜ、大手自動車メーカーを中心に3Dプリンターを活用したものづくりの取り組みが始まっているのでしょうか?
今回は、各自動車メーカーの3Dプリンターの活用事例をご紹介します。弊社が取り扱っているFLASHFORGE製品を導入した帝京大学やインターステラテクノロジズ株式会社の事例も紹介しているため、この記事を読むことで、3Dプリンターの導入効果がより理解できるでしょう。ぜひ、最後までお読みください。
ページコンテンツ
自動車業界の3Dプリンター活用事例3選
国内外の大手自動車メーカーは、3Dプリンターを活用した自動車製造に取り組み始めています。どのように3Dプリンターを活用しているのでしょうか?まずは、各社の3Dプリンター活用事例をご紹介します。
スープラの復刻純正部品を製造(トヨタ自動車)
トヨタ自動車では「GRヘルテージパーツ」と呼ばれるプロジェクトが開始されています。GRヘルテージパーツとは、思い出の詰まった愛車に乗り続けたいと願うお客様の想いに応えるために復刻部品を製造・販売するプロジェクトです。
このプロジェクトでは、1986年に販売開始されたスポーツカー「A70スープラ」の復刻部品が販売され始め、大きな話題を集めています。
自動車メーカーは、モデルチェンジをして生産終了となった場合は、金型の管理や在庫の保管などのコスト面でメンテナンスが難しいという課題がありました。このような課題を3Dプリンターを導入してお客様の要望に合わせた生産体制を実現して解決しています。
サーキットカーのパーツ製造で軽量化を実現(ブガッティ)
ブガッティは高性能スポーツカーやレースカーを製造しているイタリアの自動車会社です。2021年8月に開催されたクラシックカーイベント「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」にて、サーキット専用ハイパーカーのボリードを市販化すると発表して大きな話題を集めました。
ボリードは燃費を向上させ、最高時速500km/h以上の運動性能や乗り心地を実現するために、各パーツの軽量化がされています。
例えば、自動車のボディには宇宙産業向けに使用されるカーボンファイバーを採用。また、自動車で使用される全てのネジは、チタン製にして重量の軽量化を実現しました。これらの部品を3Dプリンターで実現するなど製造プロセスも考えられており、大きな注目を浴びています。
独自構造の軽量で強度を持つタイヤを製造(ミシュランタイヤ)
ミシュランタイヤは、2019年に企業のビジョン「Michelin Visionary Concept」を発表する中で地球に優しいエアレスタイヤを開発すると述べました。バイオ素材やスチールなどのリサイクル材を使用したタイヤに切り替える方向です。
このようなサスティナブル戦略を実現するために、3Dプリンターを活用すると発表して大きな注目を浴びています。3Dプリンターであれば、強度・軽量化・断熱性の向上の効果が見込めるハニカム構造のタイヤが簡単に作れます。
また、同社は自動車に搭載されたセンサーにより、天気予報や走行距離、自動車の状況などをリアルタイムで収集し、タイヤのトレッドデザインを提案するサービスを開始。タイヤのトレッドデザインを描き、3Dプリンターで出力するサービスを提供するなどサスティナブル経営に取り組み始めています。
自動車とロケット業界でのFLASHFORGE 3Dプリンター活用事例
FLASHFORGE製3Dプリンターは、企業や教育機関で導入されています。例えば、帝京大学の学生フォーミュラチームがレースカーのパーツ製造に使用したり、インターステラテクノロジズ株式会社がロケット開発の部品製造に活用したりされています。ここでは、自動車とロケット業界でFLASHFORGE製品がどのように利用されているかを具体的にご紹介します。
ステアリングやインクジェクターマウントを作成(帝京大学)
帝京大学理工学部機械・精密システム工学科の学生フォーミュラチーム「帝京フォーミュラプロジェクト」は、FLASHFORGE製の3DプリンターCreator3 Proを用いてフォーミュラカーの部品を製作しています。
学生フォーミュラ大会2022では、ステアリングを耐衝撃性や耐候性のあるPA-12CFフィラメントで製作しました。造形精度の高いCreator3Proを使用することにより、手にフィットする形状に仕上げることに成功しました。
また、エンジン内部へ燃料を送るインクジェクターを固定するためのインクジェクターマウントを製作しました。
学生フォーミュラ大会2022では静的審査(コスト審査、プレゼン審査、デザイン審査)の総合得点で競い合いますが、総合18位に入賞することに成功しました。
フォーミュラカーの部品製作で3Dプリンターを利用する際に「大型モデルの造形ができてシンプルなUIで、誰でも操作ができる機器が重要だ」とプロジェクトサブリーダーの新添様は述べています。
帝京大学の学生フォーミュラチームのインタービュー記事に興味がある方は、下記の記事をお読みください。
>>3Dプリンターで製作したステアリング搭載の学生フォーミュラカーが見事完走|帝京フォーミュラプロジェクト
複雑な形状のモデルの印刷に成功(インターステラテクノロジズ株式会社)
インターステラテクノロジズ株式会社は、実業家の堀江貴文さんが創設された宇宙ベンチャー企業です。人工衛星を宇宙に運ぶロケット「ZERO」の開発に3Dプリンター「Creator4S」が利用されています。
蒸気やガス、空気の作動流体が持つ運動エネルギーを回転運動に換えて動力として利用するタービンの試作を3Dプリンターで製作しています。タービンの形状は大きくても150mm、小さくて50〜60mmの直径サイズです。また、タービンは薄い形状のため精度が問われますが、何回か試行錯誤することでキレイに製作できるようになりました。
また、同社はどのような手法でロケットを組み立てるのかというシミュレーションモデルを製造したり、工具掛け用の治具を製造したりと幅広く利用しています。
3Dプリンターは、大きなサイズの造形ができたり、デュアルエクストルーダーで水溶性フィラメントが使えたりするものを選びました。タービン形状のような中身が複雑な形状を印刷すると、どうしても目に見えない箇所にサポート材が入ってしまいます。
このような課題を水溶性フィラメントを使用して、サポート箇所は水に溶かすという方法で解決しました。また、メンテナンスのしやすい機器だと管理が楽だと満足されていました。
インターステラテクノロジズ株式会社のインタービュー記事に興味がある方は、下記の記事をお読みください。
>>ロケットZERO開発に3Dプリンター「Creator4S」を活用!|インターステラテクノロジズ株式会社
自動車業界向け無料サンプル造形サービスを利用しよう
自動車業界における3Dプリンターの活用事例やユーザーの声に関心を持った方は、FLASHFORGEが提供する「無料サンプル造形サービス」をぜひご利用ください。
当社では3Dプリンター導入を検討している法人様に限り、1回限りの無料サンプル造形を提供しております。
自動車部品などの3Dプリンターでの製作に不安がある方は、このサービスを利用して精度・強度・材質を確認していただけます。造形サイズは要相談となりますが、3Dプリンターによるモノづくりを体験できる絶好の機会ですので、お気軽にご依頼ください。
自動車業界の3Dプリンターに関するよくある質問
自動車業界で導入が始まっている3Dプリンターですが、当社にも多くの質問が寄せられています。
Q.3Dプリンターの市場規模はどれぐらいですか?
REPORTOCEANの調査結果によると、自動車業界向けの3Dプリンターの世界市場規模は約259億円です。2022年から2030年まで年平均23.8%で成長して2030年度には約1兆7,601円に達すると予測されています。
Q.自動車業界で3Dプリンターは普及していきますか?
世界全体で見ると自動車業界で3Dプリンターが普及し始めてきており、国内の大手自動車メーカーも3Dプリンターを導入し始めています。
デザインやコンセプトの開発、プロトタイプの検証、製造前のサンプリングなど、さまざまな利用用途に使用できることが大きな魅力です。また、3Dプリンターで取り扱える材料は多種多様です。そのため、今後も3Dプリンターは普及していくことでしょう。
まとめ
自動車メーカーでは、3Dプリンターを採用したものづくりが広まっています。3Dプリンターは、新技術のデモンストレーションを目的としたプロトタイプ製造や特別使用車の部品製造などに威力を発揮します。
自動車業界の3Dプリンター市場規模は拡大しており、各社の動向を参考にして、3Dプリンターの導入を検討してみることが重要です。
もし、3Dプリンターに興味がある方はFLASHFORGE製3Dプリンターの販売代理店APPLE TREEのショールームに来て頂けたら、さまざまな製品をお試し頂けます。ショールーム見学の予約はこちらからどうぞ。