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3Dプリンター
- 2022.6.14
- 更新日:2022.6.14
最終製品にも3Dプリンター!試作以外の活用が増え続ける理由を紹介

工業用の3Dプリンターも日進月歩で性能が向上しています。
主に製造業が利益を上げるにはコスト削減に取り組むことも必要であり、多くの企業が切磋琢磨して実践しているのが現状です。従来の製造業は金型を使った工法であり、少品種大量生産(少ない品種を数多く生産すること)による開発費の削減や同一材料の大量発注などで、コストを削減してきました。
そんな製造業の分野においても、注目されているのが3Dプリンターです。
導入することでコスト削減につながり、経済が成熟した現代のニーズに応えることもできるからです。近年では、試作だけでなく最終製品での活用も注目されています。
そこで今回は、3Dプリンターが試作で使われる理由、最終製品を活用するうえでの課題や導入が増える理由などをご紹介していきます。
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3Dプリンターは試作で使われることが多い
3Dプリンターは、以下の理由から試作で使われることが多いです。
- アイデアがすぐに形になる
- 試作の時間を短縮できる
- 金型なしで製作できるためコストを削減できる
3Dプリンターを活用すると、その場でアイデアが形になります。
従来の試作では外注依頼する必要があり、試作を繰り返すのに長い時間が必要でした。しかし、3Dプリンターがあれば自社制作が可能になるため、大幅に製作期間を削減できます。
ほかにも、従来の試作のように金型を製作する必要がなく、修正も容易なことから開発に必要なコストも削減することができるのです。
以上の理由から、開発現場における試作品の製作では3Dプリンターが活用される機会が増えました。3Dプリンターが試作に使われることが多い理由は課題があるからですが、それらの課題について見ていきましょう。
最終製品における3Dプリンターの課題
最終製品における3Dプリンターの課題は、以下のとおりです。
- 素材のコストが高い
- 造形に時間がかかる
- 従来の加工と比べると精度は劣る
ただし、メーカーの努力や3Dプリンターの普及拡大によって、装置や素材の高度化以外で上記の課題を乗り越えようとする仕組みも開発されています。
たとえば、素材のコストについては一般工業用プラスチックや金属材料といった汎用材料が増えてきたので、3Dプリンターが普及する前より低価格で購入できるようになりました。
生産性を向上させるために、3Dプリンターをたくさん並べて同時に生産する動きも出てきています。3Dプリンターの小型化や量産化によって実現できるようになったのです。
上記のように、近年では3Dプリンターの課題は解消されつつあります。
近年は最終製品としての活用も増えている
年々、3Dプリンターが最終製品に使われる割合が増えてきています。
リコーが行ったアンケート調査では、3Dプリンターの用途として「最終製品への利用」と回答した人が「開発」と回答した人と同水準にまで達していたのです。
引用:リコーのアンケート調査を基に作成
2020年、2021年の調査結果では、「最終製品」と回答した人は「機能確認」や「治具」よりも回答者の割合が少なく、用途別では4位でした。
しかし、「最終製品」は2020年の5%から2021年の12%と2倍以上に増えたうえ、次回購入計画においては「形状・デザイン確認」(30%)に次いで2位(26%)だったのです。
上記の結果からも、将来的には3Dプリンターを「最終製品」として活用されることが予想されます。では、どうして3Dプリンターが最終製品に使われ始めるようになったのかを説明していきます。
最終製品に3Dプリンターが使われる理由
最終製品に3Dプリンターが使われ始めた理由は、以下のとおりです
- グローバル化によって多品種小ロット生産が求められる
- 業務用3Dプリンターの低価格化
- 3Dプリンターの多様化
下記から、順番に見ていきましょう。
理由①:グローバル化によって多品種小ロット生産が求められる
3Dプリンターが最終製品に使われる理由のひとつが、「製造業のグローバル化」です
従来の製造業では、少品種大量生産といって少ない品種を数多く生産する方式が採用されていました。しかし、経済の発展が成熟した現代においては、価値観や生活スタイルなどが大きく変化しています。消費者の需要が多様化しているため、製品のサイクルも早くなっているのが現状です。
そして世界の市場で勝つためには、高付加価値化・カスタマイズ化が必須であり、一種類あたりの数量を減少させて、機能や精度を高度化することが求められます。
3Dプリンターを活用すれば、多品種小ロット生産に対応できます。
多品種小ロットのメリット
以下は、多品種小ロット生産のメリットです。
- 在庫の量を最小限に抑えることが可能
- 一人ひとりのニーズに応えられる
多品種小ロット生産は、在庫の量が少なくなります。
在庫管理が楽になるだけでなく、市場からの需要の変動を見て生産量を調整することも可能です。一方の少品種大量生産は、大量の売れ残りを抱えてしまうリスクがあります。売れ残りの在庫を抱えてしまうと、かなりの損害が発生してしまいます。
また、顧客の要望に応えられるのも、多品種小ロットならではのメリットです。
デザイン、品質、機能、コストなどを一人ひとりの希望に合わせて提供することで、顧客満足度を高めることができます。大量生産の場合はきめ細かい顧客ニーズに対応することが難しく、ある程度妥協してもらう必要があるでしょう。
多品種小ロットのデメリット
多品種小ロット生産のデメリットは、以下のとおりです。
- 生産効率は低い
- 資材のコストは上がる可能性がある
多品種小ロット生産は、生産効率は高くありません。
顧客の要望に合わせて多品種で生産するため、品種による準備や生産ラインの切替が必要になってしまうからです。少品種大量生産では、同じ製品を長く作り続けることができるため、ラインを停止する必要はありません。
生産効率の低下に加えて、資材のコストが上がることでコスト上昇リスクもあります。
多品種少ロット生産は、不定期に多くの種類の材料を少量ずつ仕入れる必要があります。定期的に大量の材料を仕入れられる大量生産と比べると、コストは高くなってしまうのです。
理由②:業務用3Dプリンターの低価格化
最終製品に3Dプリンターが活用され始めたのは、低価格化もひとつの理由です。
3Dプリンターは、「FFF(熱溶解方式)の特許切れ」や「製造するメーカーの参入が増加したこと」などにより、業務用・家庭用ともに安価になってきています。
たとえば、業務用3Dプリンターを中心に取り扱うFLASHFORGEには、「Creator4S」という最終製品まで対応できる機種があります。従来の3Dプリンターが苦手とする大型の造形を可能にする機種であり、大型モデルでも分割することなく、一体化した状態での造形が可能です。

FLASHFORGEの業務用プリンターは相場よりも低価格な製品を取り揃えています。最終製品まで対応する3Dプリンターをご検討されている方は、以下のお問合せフォームからお気軽にご相談ください。
理由③:3Dプリンターの多様化
3Dプリンターの多様化が進んでいることも、最終製品に活用される理由です。
特に3Dプリンター用材料は、著しく多様化が進んでいます。
ほかにも、直近では金属の利用意向は増えていて、金属3Dプリンターを製造するメーカーも多くなっています。従来は5,000万円以上だった装置が、今では半値近くで購入できるようになっていることも原因といえるでしょう。
また、フルカラー材料を活用すれば塗装工程を省くことができるので、大幅なコストの削減にもつながります。
多様化した3Dプリンターを活用すれば、さまざまな素材の製品をつくることが可能です。
かつて3Dプリンターは、試作で使われることがほとんどでした。
その際に利用した3Dプリンターの性能や試作の出来栄えなどに手ごたえを感じた企業などは、最終製品に3Dプリンターを活用しようという動きが出てきているのです。
また、試作段階から最終製品と同水準の試験を行う企業なども、できあがった製品の品質や機能性を高く評価したあと、最終製品に3Dプリンターの導入を検討する場合もあるようです。
満足度の高さも、最終製品に3Dプリンターが選ばれる理由のひとつといえます。
最終製品向け3Dプリンターに関するQ&A
最後に、最終製品向け3Dプリンターに関するよくある質問をご紹介します。
3Dプリンターは最終製品に活用されている?
年々、3Dプリンターが最終製品に使われる割合は増えています。
リコージャパンによるアンケート調査によると、3Dプリンターを使って最終製品を製造する企業は2020年から2021年にかけて5%から12%と、7ポイント増加しています。また、今後、最終製品に対応した業務用3Dプリンターの購入を検討されている企業は26%でした。
当社でも、業務用3Dプリンター「Creator4S」を2022年1月に発売したのですが、Creator4Sに関して「最終製品でも対応していますか?」というお問い合わせを頂くことが多くなり、3Dプリンターを用いて最終製品を製造する企業が増えていることを実感しています。ちなみに、Creator4Sは試作だけでなく、最終製品製造にも対応しているので、3Dプリンターによる最終製品の製造を考えている方はぜひ、お問い合わせください。
最終製品に3Dプリンターが使われる理由は?
主な理由は、3つあります。
- グローバル化によって、多品種小ロット生産が求められる
- 業務用3Dプリンターの低価格化
- 3Dプリンターの多様化
一つ目は、多品種小ロット生産にすることにより、在庫量を最小限に抑えられるため、コストを大幅に削減可能です。二つ目は、3Dプリンターの市場に様々な企業が参入したことにより、業務用3Dプリンターが低価格化した。そして、3つ目ですが、金属3Dプリンター初め様々な種類の3Dプリンターが登場したことにより、様々な素材の製品を作ることが可能になりました。これらの3つの理由から最終製品の製造にも3Dプリンターが使われるようになりました。
まとめ
今回は、3Dプリンターが試作で使われる理由、最終製品を活用するうえでの課題や導入が増える理由などをご紹介しました。
以下に、今回お伝えした内容をまとめました。
- 3Dプリンターは、開発期間の短縮やコストの削減が理由で試作に使われる
- 最終製品での導入は、素材のコスト、造形の時間、精度といった課題がある
- 業務用3Dプリンターなら、多品種小ロット生産に対応できる
- 近年は3Dプリンターの種類が増えて価格も安くなっている
- 試作で導入した際の品質から、最終製品への活用も広まっている
最終製品に導入するには課題も多いとも言われていますが、近年では少しずつ課題も解消されてきています。新しいアイデアをすぐに形にして素早く提供できるためにも、ぜひ業務用プリンターの導入をご検討ください。
以下は、FLASHFORGEの問い合わせフォームですので、当社の製品への疑問やお見積りなどをご所望の場合は、お気軽にご利用ください。