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導入事例
- 公開日:2022.11.30
- 更新日:2023.2.9
3Dプリンターで製作したステアリング搭載の学生フォーミュラカーが見事完走|帝京フォーミュラプロジェクト
帝京大学理工学部機械・精密システム工学科の学生フォーミュラチーム「帝京フォーミュラプロジェクト」は当社が寄贈したFLASHFORGEの3Dプリンター「Creator3 Pro」を用いて、マシンの部品の一部を製作され、そのマシンで見事完走されました。
今回は当プロジェクトサブリーダーの新添様に、3Dプリンターをマシン製作にどのように活用したのか、インタビューいたしましたので、その内容をご紹介いたします。
学生フォーミュラ大会とは?
-帝京フォーミュラプロジェクトはどういった活動をされているのでしょうか?
僕たちは毎年行われる学生フォーミュラ日本大会に参戦しており、大会に向けてマシンを一から作っています。チームメンバーは12人で構成されており、設計製作はそれぞれ役割分担で分けて、マシンを製作しています。基本的に、設計はCADソフトでモデリングを行い、3Dプリンターもしくはフライス盤、マシニングセンタを使って製造しています。
-学生フォーミュラ大会では具体的に何を競うのでしょうか?
いくつかの審査があるのですが、静的審査(コスト審査、プレゼン審査、デザイン審査)、動的審査(アクセラレーション、スキッドパッド、オートクロス、エンデュランス、効率)これらの総合得点で競い合います。
-マシンが完成するまでにどのくらいかかるのですか?
マシンを作る前に、コンセプトを決めるのですが、そのコンセプト設定から一台のマシンが作り上げるまでに約7カ月かかりましたね。
-今回はどういうコンセプトでマシンを製造されたのでしょうか?
「Give A Trophy To Amature(アマチュアレーサーにトロフィーを)」というコンセプトを掲げ、初心者やアマチュアのレーサーが乗っても、乗りやすく操作しやすいマシンを製造しました。去年は行き当たりばったりで中々上手くいかなかったのですが、今年はスムーズに製造することが出来たので、満足しています。
-9月に学生フォーミュラ大会が開催されたということで、結果はどうでしたか?
総合18位でした。
去年はオンラインで静的審査のみだったのですが、今年は3年ぶりに動的審査がリアルで開催されました。車検に合格することができなかったチームや、トラブルに見舞われ、全種目完走を果たすことができなかったチームがいる中、全種目完走出来たことは嬉しかったです。また、今年は総合20位以内に入ることを目標としていたので、それが達成できたので、嬉しいですね。
ステアリングやインジェクターマウントを3Dプリント
-FLASHFORGEの3Dプリンターはどこで知ったのでしょうか?
FA(顧問)の先生が個人的な趣味でAdventurer3を持っており、先生に紹介してもらいFLASHFORGEの3Dプリンターを知りました。実際に印刷したモデルを見せてもらうと、精密なモデルでした。弊チームにはAdventurer3とは別の家庭用3Dプリンターが置いてあるのですが、それと比較しても精度の高いモノでした。
そこで、マシン部品の一部を3Dプリントで作ったり、マシンの試作部品の製作や部品をAdventurer3で作ろうと考えました。ですが、Adventurer3だと大型モデルの造形ができないため、チームのメンバーと話し合った結果、Creator3 Proが一番最適だという結論になりました。
-導入後の変化はどうでしたか?
以前は現物よりも小さい1/2サイズのモデルしか作れなかったのですが、Creator3 Proを導入して原寸サイズのモノが作れるようになり、マシンの部品の一部を3Dプリントで代替できるようになりました。それから、印刷の途中経過を確認したいときにCreator3 Proはカバーが透明なので、積層の途中経過が見れるので、そこが良かったですね。
-メンバーさんは実際に3Dプリンターを使ったことはあったのでしょうか?
メンバーは3Dプリンターを初めて使う人がほとんどでしたね。ですが、Creator3 ProはタッチパネルのUIがシンプルでスムーズに印刷作業ができました。また、印刷後はマグネット式なので、簡単に取り外せます。プリンターの操作自体は解説マニュアルを見ながらスムーズにできました。
-Creator3 Proで何を作りましたか?
ステアリングやインジェクターマウントを作りました。ステアリングは設定やモデリングが上手くいかなくて、何回も失敗してようやくできたモデルだったので、上手く出力できたモデルを見て、本当に感動しました。後、PA-12CFフィラメントを使って滑らかに作れて、設計通りの手にフィットする形状に仕上がったので、大満足です。
インジェクターとはエンジン内部へ燃料を送る部品なのですが、インジェクターを固定するためにインジェクターマウントを作りました。その他にも、試作に用いたりしています。
-Creator3 Proの機能面はどうでしたか?
ノズルの温まりが早くて、すぐに印刷出来ました。以前使っていた3Dプリンターはノズルが温まるまで3分かかっていたのですが、Creator3 Proは約1分で暖まり、製作時間が短縮されました。
3Dプリンターの活用幅を増やしたい
-最後に、今後の目標について教えてください。
今後はもっと3Dプリンターを活用して、マシン製作に活かしていこうと考えているのですが、今考えているのはステアリングの改善です。今のモデルでも良いのですが、もう少し軽くしたり、握りやすくしてもっと使いやすくしたいです。
また、雨風からコンピュータやヒューズ類を守るカバーやケースを製作したいです。
今回の動的審査では、当日雨が降っていたため、電装系の防水処理に不安がありました。そこで、3Dプリンターを用いて製作したカバーやケースを作っておくと、雨風による電装系の故障を防げると思います。
-それではこれにて、インタビューを終了させていただきます。今回はインタビューに応えていただきありがとうございました。
帝京大学理工学部 帝京フォーミュラプロジェクト
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