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3Dプリンター
- 公開日:2023.5.22
- 更新日:2023.5.22
3DプリンターPLAフィラメントを紹介!特徴、利用用途、注意点を解説
3Dプリンターのフィラメントの中でも良く利用されるものが「ABS」と「PLA」です。今回は、PLAフィラメントの特徴、利用用途、注意点までわかりやすく解説します。
この記事を読めば、どのような場面でPLAフィラメントを選べば良いかわかるようになります。3Dプリンターのモノづくりに興味を持っている方は、ぜひ、この記事を参考にしてみてください。
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3DプリンターPLAフィラメントとは
3DプリンターPLAフィラメントは、トウモロコシやジャガイモなど有機資源を原料としたバイオマスプラスチックを指します。植物由来のPLA樹脂ベースのため、環境に配慮できます。
PLAフィラメントはABSフィラメントと並んで、多くの人に利用されているフィラメントです。
PLAとABSの比較表
PLAフィラメントとABSフィラメントをFLASHFORGE製フィラメントの物性表で比較すると、以下の通りになります。
・フィラメント物性表
PLA | ABS | |
プリント温度 | 190~220℃ | 220~240℃ |
プリント速度 | 60~90mm/s | 60~90mm/s |
引張強さ | ≥60MPa | ≥43MPa |
曲げ強さ | ≥60MPa | ≥70MPa |
曲げ弾性率 | ≥2500MPa | ≥2300MPa |
破断伸び率 | ≥3.0% | ≥30.0% |
熱変形温度 | ≥53℃ | ≥88℃ |
FLASHFORGE製フィラメントの物性表については下記から確認できますのでご覧ください。
<<FLASHFORGE製フィラメントの物性表
3DプリンターのPLAフィラメントのメリット
3DプリンターでPLAフィラメントを利用すると、以下のようなメリットがあります。
造形品質が安定しやすい
PLAフィラメントは熱収縮性が低く反りが起きにくいです。フィラメントを熱で溶かして造形物で出力するときに熱収縮することがないため、寸法通りに造形できます。
熱収縮性が高い素材を使用すると「途中まで造形が上手くいっていたのに、熱収縮で反りが起きてしまった」などの悩みを抱えやすいです。熱収縮性が低いPLAフィラメントを使用すれば、造形中の悩みを抱えずに済みます。
ノズル詰まりが起きにくい
PLAフィラメントは非常に硬い素材のため、ノズル詰まりが起きにくいです。
3Dプリンターのノズル詰まりは、TPUフィラメントなど柔らかくコシが弱い素材で起きます。なぜなら、フィラメントが搬送される経路で曲がってしまい、正しくノズルに達しないためです。この現象をジャミングと呼びます。
ジャミングが起きると、ノズルを分解してメンテナンスをしなければいけずに大変です。このような手間を省けることもPLAフィラメントの魅力で、初心者の方が扱いやすい素材として知られています。
低価格で購入できる
PLAフィラメントは500g当たり2,500円と低価格で購入できます。他の素材と比較しても低価格です。低価格で購入できるため、気軽に利用できるフィラメントとして人気があります。
また、「PLAマット」「PLAシルク」「PLA木質」など種類が豊富で、利用目的に応じたものを選べます。
3DプリンターPLAフィラメントのデメリット
3DプリンターPLAフィラメントには、以下のようなデメリットもあるため気をつけましょう。
熱に弱く低温でも柔らかくなる
PLAフィラメントは、熱に弱くて60℃程度でも簡単に柔らかくなってしまいます。そのため、耐熱性が必要なパーツの造形には不向きです。そのため、試験装置や製造機械の部品など高温な環境で使用する部品の造形はできません。
耐熱性のあるパーツを作りたい場合は、他の素材のフィラメントを利用しましょう。
耐衝撃性が低い
PLAフィラメントは硬い素材であり、瞬間的に大きな力を受けると割れてしまいます。耐衝撃性が低いため、外部からの衝撃を受けやすいパーツの造形には向いていません。例えば、耐衝撃性が求められる治具を造形したい場合は、他の素材のフィラメントを選ぶことをおすすめします。
塗装やヤスリ掛けなど後加工が難しい
PLAフィラメントは硬い素材のため、塗装ややすり掛けが難しいです。やすり掛けをしたい場合は電動の研磨装置が必要になります。
また、模型用塗料が上手く付きません。このような場合は下処理が必要です。初心者には少し難しい作業のため、フィラメントの色にこだわり、極力塗装する工程をなくすようにしましょう。
3DプリンターPLAフィラメントの利用用途
PLAフィラメントは特徴を活かして、以下のような利用用途で使われます。
試作品
PLAフィラメントは、製品化を目指すモノづくりの初期段階で作られる試作品づくりに用いられます。なぜなら、PLAフィラメントは造形品質が安定しており、寸法がズレるなどの問題が出ないためです。
頭の中で考えたものを施策して、さまざまな人が集まって製品化するか議論するために造形します。試作品づくりのコストやリードタイムを短縮できるとして、PLAフィラメントが用いられています。
模型
PLAフィラメントは、正確な寸法が求められる模型づくりにも用いられます。なぜなら、PLAフィラメントは熱収縮性が低く、歪みや反りが起きにくいためです。鉄道模型や住宅模型などを作成する際にPLAフィラメントが良く利用されます。
玩具
PLAフィラメントは、子供が遊ぶ玩具を作る際にも用いられます。なぜなら、PLAは植物由来の素材で安全な素材のためです。おままごとセット、積み木など、さまざまなオモチャがPLAで作られています。そのため、子ども向けの玩具を開発したい場合にも利用されています。
補足:多様な用途に利用できるPLAフィラメントも登場
PLAフィラメントは耐熱性と耐衝撃性が低いというデメリットを説明しました。しかし、3Dプリンターのモノづくりが楽しめるように強化PLAフィラメントが開発・販売されています。
メーカーや製品によって機能性は異なりますが、耐熱性や耐衝撃性が向上させたフィラメントなどが販売されています。これらを活用すれば、機能性が求められる製品や治具・工具を造形することも可能です。
次の項目では、FLASHFORGEが取り扱っている強化PLAフィラメントについて解説します。
おすすめの3DプリンターPLAフィラメントの種類
PLAフィラメントには、さまざまな種類があるため、どのようなものが作れるかを把握しておきましょう。ここでは、PLAマットフィラメント、PLAシルクフィラメント、PLA木質フィラメント、この3種類をご紹介します。
PLAマットフィラメント
PLAマットは艶消しな質感で手頃な価格で購入できます。マット系の質感で高級感のある造形物が出力できます。また、カラーバリエーションが豊富なことも魅力です。上記の写真はPLAマットで製作したフィギュアです。マットな質感で高級感が漂っています。
PLAシルクフィラメント
PLAシルクフィラメントを使用すれば、光沢感のある造形物が出力できます。キラキラと輝く光沢感が格好良いため、好きなフィギュアを造形する際に用いられることが多いです。
上記の写真はFLASHFORGEが製作したフィギュアです。シルクブルーを使用していますが、他のフィラメントと比較しても光沢感があります。
PLA木質フィラメント
PLA木質フィラメントは、木の質感の造形物を出力できます。そのため、アートやオブジェ、建築模型などに使用されます。木質のため研磨ができたり、木質の香りが漂ったりすることが大きな特徴です。上記の写真はFLASHFORGEが製作した木質パレットですが、見た目だけではなく質感まで再現できています。
PLAフィラメントを試せる無料サンプル造形サービス
PLAフィラメントで、どのような造形物を出力できるか気になった方は、無料サンプル造形サービスをご利用ください。FLASHFORGEでは、3Dプリンター「Creator4S」と「Guider3 Plus」の導入を検討している法人のお客様に対して、1回限り無料サンプル造形サービスを提供しています。
無料サンプル造形サービスを利用すれば、PLAフィラメントで、どのような造形物が出力できるかを把握できます。無料サンプル造形サービスで、お試しできる3Dプリンター&フィラメントは以下の通りです。
ぜひ、3Dプリンターを活用したモノづくりに興味がある方は、無料サンプル造形サービスを利用してみてください。
3DプリンターPLAフィラメント取り扱い時の注意点
3DプリンターPLAフィラメントを取り扱う場合には、気をつけなければいけないことがあります。
熱に弱いためノズル温度を高く設定しない
PLAフィラメントは比較的低い温度で溶けて造形でき、歪みや反りを抑えられることが強みです。その一方で、耐熱性に欠けることが弱みとなります。
3Dプリンターのノズル温度を高く設定し過ぎると軟化が起きてしまいます。軟化が起きると、キレイな造形物は出力できません。そのため、3Dプリンターのノズル温度は適正な範囲に設定しましょう。
安全性が低いため食品容器などに使用しない
PLAは植物由来で安全な素材のため、食品容器に使用されることが多いです。しかし、3Dプリンターで食品容器を製造するのは控えましょう。なぜなら、3Dプリンターの造形物には層と層の溝があるためです。
この溝により、細菌の繁殖しやすくなってしまうのです。食品安全性は低いため、食品容器の造形には控えるようにしましょう。
湿気を含むと吐出不良が起きるため除湿する
PLAフィラメントも湿気に弱いです。フィラメントは湿気を吸収すると劣化して、ポキポキと折れてしまいます。その結果、ノズルからフィラメントが出てこないなどの吐出不良が起きてしまいます。このような問題が起きないように、フィラメントは低湿度で管理するように心がけましょう。
3DプリンターPLAフィラメントに関するよくある質問
最後に3DプリンターPLAフィラメントに関するよくある質問をご紹介します。
Q.PLAフィラメントの適切な印刷温度を教えてもらえますか?
PLAフィラメントの印刷温度は一般的には180℃~210℃だと言われていますが、メーカーやフィラメントの太さで温度は異なるため、推奨温度は必ず確認してください。
また、高温度に設定しすぎると、PLAフィラメントが溶けてしまい、ノズルの先から不要に溶けたPLAが垂れてきてしまいます。その結果、造形精度が落ちてしまうことになるため、推奨温度で使うようにしましょう。
Q.PLAフィラメントの湿気対策を教えてもらえますか?
PLAフィラメントは湿気に弱いため、フィラメント除湿ボックスに保管するようにしましょう。また、除湿のために乾燥剤を用いると、フィラメントが湿気を吸収せずに済みます。フィラメントの湿気対策は、造形精度にも影響します。そのため、精度の高い造形物を作りたい方は、湿気対策をしておきましょう。
まとめ
PLAフィラメントはABSフィラメントと同じように、さまざまな場所で利用されている素材です。そのため、PLAとABSの特徴の違いを把握した上で利用するようにしましょう。
PLAは試作品や模型、玩具など幅広いものづくりに利用されている素材です。どのようなモノが作れるのか、品質はどうなのかなど気になった方は、FLASHFORGE製品を取り扱うAPPLE TREE社のショールームに遊びにきてみてください。