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導入事例
- 公開日:2021.12.8
- 更新日:2021.12.9
歴史的遺物の分野における3Dプリントの新たな活用法が明らかに
新しい技術の発展に伴って、歴史ある文化遺産が新しい形で展示され、より親密で興味深いものになっています。
あまり知られていませんが、上記のような変化には3Dプリンターが重要な役割を果たしています。
今回は、文化財の保存、修復、展示における3Dプリントの様々な応用例をご紹介します。
発掘された歴史的遺物の保護
中国四川省にある三星堆遺跡で大規模な考古学的な発掘調査が行われた。
今年の発掘では、考古学者が初めて3Dプリント技術を青銅器(青銅で作成した工芸品)の保護に取り入れました。
これにより、発掘中に青銅器が損傷する可能性を効果的に回避することができます。
青銅器は数千年もの間、地中に埋もれていたため、出土時には錆びや汚れ、さらには破損を伴うことが多いです。
出土時の青銅器の保護は、フィルムや柔らかい布で包み、石膏で固定するのが伝統的な方法だと言われています。
しかし、今回は3Dプリント技術を用いて、発掘現場で大きな遺物の露出した部分を3Dスキャンし、FLASHFORGE製の3Dプリンター「Guider2s」で同じ青銅器の模型を印刷して復元しました。
その後、模型の上に半固形化したシリコン素材を載せてシリコン製の保護スリーブを形成します。
正式な発掘作業では、このシリコンシースを発掘された青銅器に装着して、発掘される遺物を保護するために、石膏で固定します。
従来のフィルムや柔らかい布に比べて、3Dプリントされたカバーは青銅器の表面によくフィットします。
それにより、遺物を傷つけることなく保護することができました。
3Dプリンターを用いた文化遺産の修復
ブラジル国立博物館は、Guider2sを使用して、ブラジル建国の皇帝であるペドロ1世の彫像を復元しました。
博物館では、より実物に近いペドロ1世の彫像を見ることができるだけでなく、顔の額や目の周りのシワ、鼻の曲がり具合まではっきりと確認することができます。
スタッフはまず、出土した骨をあらゆる角度からスキャンしました。
デジタル技術を使ってデータを解析し、彫像をリバースエンジニアリングしました。
驚くべきことに、ペドロ1世のヒゲの間隔と分布は綿密に分析され、再現されていました。
3Dプリント技術と修復師の精巧な技術により、ペドロ1世の本当の顔を正確に再現することができました。
<<【参考記事】SCANTECHが1億9千万年前の恐竜の化石を3Dスキャン
文化遺産の修復における3Dプリントの利用は、現在では少しずつ浸透してきています。
デジタル技術、リバースエンジニアリング、アディティブマニュファクチャリングの3つのステップで、多くの文化遺産を再現することができます。
ミュージアムの展示内容
ロシアにあるキベスタ博物館は、軍事をテーマにした展示会のために、FLASHFORGEのGuider2を使って、地元の英雄像、地形、武器などのモデルを印刷しました。
3Dプリント技術を駆使してモデリング、プリント、後処理を経て、英雄像、記念メダル、模擬軍事兵器を完成させました。
もともと欠けていたり、細部が多くて複雑な構造をしている展示物。
3Dプリンターを利用をすることによって、リアルな状態で展示することができました。
3Dプリントを使用することで本物の文化遺産の損傷を回避しながら、正確に復元することができます。
訪問者が間近で見学したり、触れたりすることが容易になり、体験感が高まることは間違いないでしょう。
3Dプリント技術の出現と応用は、文化遺産の保存・修復や展示方法に新しい時代をもたらしました。
この革新的な技術の応用は、考古学や文化保存の業界で継承されており、現在では文化財やモニュメントの精緻な修復など多くの課題を解決しています。
3Dプリントによって、歴史的な遺産が新しい方法で展示され、歴史的な文化がより良く保存・修復・継承されるだけでなく、一般の人々が現代における遺産の永続的な性質をより感じられるようになります。
新しい技術の恩恵を受けて、伝統的な文化遺産は新たな命を吹き込まれています。