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3Dプリンター
- 公開日:2022.7.21
- 更新日:2022.10.25
STEAM教育とは何か?歴史や課題、取り組み事例についても解説
STEAM教育は、現代社会で多く活用されているIT分野に通用する人材や、新たな価値を提供できる人材を育成するための教育概念です。
しかし世界各国に比べて、日本ではスタートが遅れている教育のため、まだSTEAM教育の詳細について知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「STEAM教育」の基礎知識、歴史、取り組み事例や、STEAM教育の課題について解説します。
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STEAM教育とは
STEAM教育(スティーム教育)とは、2000年代にアメリカで始まった教育モデルで、ベースとなる理数教育モデルの「STEM教育(ステム教育)」に、「A」の創造性を養う教育を加えたものです。具体的には以下の英単語の頭文字を組み合わせた造語になります。
- Science(科学)
- Technology(技術)
- Engineering(工学)
- Art(芸術・リベラルアーツ)
- Mathematics(数学)
STEAM教育は、これら5つの分野を学習して探求心や創造性を養うことと、発展していくテクノロジー時代に対応できる人材育成などを目的としたプランを指します。
STEAM教育を学ぶことで、実社会や実生活での課題を見つける力、物事をさまざまな面から捉えて解決する力、新しい価値を創造する力が身につきます。
STEAM教育では、理数系・科学技術などの知識や、創造性を養うだけでなく、各分野を横断的に習得します。これにより、新たな研究者や、新しく価値を提供できる人材を育成できると考えられています。
STEAM教育の背景や歴史
STEAM教育の幹となるSTEM教育は、アメリカ国立科学財団(NSF)が2001年に命名しています。
アメリカでは、教育において、科学と数学が重要であると多く提言されてきました。これは、1957年にソ連がスプートニク1号という人工衛星の打ち上げに世界で初めて成功し、アメリカが防衛上の脅威を感じた「スプートニクショック」がきっかけとされています。
アメリカは、1958年には国家防衛教育法によって、理数系教育の推進のために奨学金制度が創設され、1969年にはアポロ11号の月面着陸という成果をあげています。
STEM が命名される前の1989年には、 SMET(Science、 Mathematics、 Engineering、Technology)という用語が使用されていましたが、発音が汚れなどを意味する「smut」に似ていることから、STEMが生まれたとされています。
その後、2006年にヤークマン(G. Yakman)により、STEM教育にArtを加えた「STEAM教育」が初めて使われ、新しいカリキュラムが作られました。
日本とアメリカでのSTEAM教育の取り組み事例
ICT技術(インターネットや機器類といった通信技術を活用したコミュニケーションのこと)の発展により、世界的にIT人材が不足しているといわれています。2010年代からは、世界各国でSTEAM教育を導入する動きが加速しています。
代表的なのはSTEAM教育の発祥地・アメリカであり、2013年のトランプ政権下では国家戦略のひとつとして掲げられました。日本でも同様にIT人材が不足しており、教育現場では2020年からSTEAM教育が導入されています。ここでは、日本とアメリカの2つのSTEAM教育の取り組み事例をご紹介します。
- 日本:オンライン図書館「STEAMライブラリー」
- アメリカ:「The STAR Net STEAM Equity Project」
上から順番に見ていきましょう。
日本|オンライン図書館「STEAMライブラリー」
経済産業省が運営している「未来の教室」には、こども達のワクワクを探求するためのオンライン図書館「STEAMライブラリー」があります。
STEAMライブラリーは、「知る」と「創る」の循環的な学びを実現するための教材コンテンツや指導案などが1カ所に集約されたプラットフォームです。大学や研究機関、民間事業者と教育産業の協力を得て、学校でも活用できる資料を掲載しています。
資料の内容は小学生・中学生・高校生が対象で、いつでも視聴や活用が可能。「知る」と「創る」の循環的な学び(学びのSTEAM化)を実現します。
サイトを登録すれば、費用の負担なく利用できます。
アメリカ|「The STAR Net STEAM Equity Project」
アメリカの図書館とSTEM専門家のコミュニティが主催する「The STAR Net STEAM Equity Project」では、地方都市にある小規模な公共図書館が、STEAM教育をラテン系住民に提供できるよう支援しています。
該当する図書館はそれぞれ工夫を凝らし、STEAM分野を身近に感じさせるような活動を行っています。
例えばアーカンソー州のベリービル・ライブラリーでは、2人の司書が実験道具・材料を積んだ可動式のカートを用い、屋外を含む地域の様々な場所で科学実験を披露する活動を行っています。
また、コロラド州のモントローズ・リージョナル・ライブラリー・ディストリクトでは、ストップ・モーションの仕組みについて学ぶことができる展覧会を、英語とスペイン語のバイリンガルで開催しました。
STEAM教育の課題
STEAM教育において国際的な問題だと言われているのが、女性や低所得者層などの参加率が低いことです。家庭によっては、STEAM教育に必要な環境がないことで、学ぶ機会に差が生まれてしまうケースがあります。
また、STEAM教育に必要なAIなどの専門知識が求められることによる指導者の不足、学校の教室で行われるSTEAM教育に限界があることも、問題として挙げられています。
学校では、規定のカリキュラムに沿って授業が行われています。これは生徒に成績をつけるため、一定の基準でパフォーマンスを測り、評価をつけなければならないためです。
STEAM教育を行うには、これまでの指導スキルや授業以外にも、AIやモノづくりに関連する専門的な内容が求められるので、指導者の育成も必要になります。
日本における理数教育の課題
日本では、理数教育に関する苦手意識も課題として挙げられます。
上図は、文部科学省「STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について」の資料に掲載されている、令和2年の国際数学・理科教育動向調査のデータです。上図を確認すると、日本の小中学校の理数系に対する興味や関心が、国際平均に比べて低いことが分かります。
STEAM教育では理数教育も深く関連しているので、理数教育に対するこどもの苦手意識の克服が必要とされています。
3Dプリンターを用いたSTEAM教育「Go!Go!3Dスクール」について
上記は、私たちが実施しているGo!Go!3Dスクールを解説した動画です。
「Go!Go!3Dスクール」は、ITやテクノロジー社会に適応できる人材を育てることを目的としています。
STEAM教育とは、子どもたちが「自分で創造する・自分で学ぶ・自分で理解する」という力を養うための教育です。3D分野は、STEAM教育の1つとして注目を集めています。では、なぜ私たちが行うSTEAM教育講座では3Dプリンターを用いるのかというと、ハードウェアからソフトウェアまでの勉強にもなるからです。
3Dプリンターはハードウェアなので、使っていくうちに自然とハードウェアが学べます。
それから、3Dモデリングソフトを使って、3Dデータを作っていく過程でソフトウェアを学ぶきっかけにもなります。ソフトウェアで3Dモデルを作って、ハードウェアの3Dプリンターでプリントするといったものづくりの一連の流れを理解してもらうことで、モノづくりが楽しくなる。そのように思ったので「Go!Go!3Dスクール」を始めました。
「Go!Go!3Dスクール」は、3Dプリンター・3Dスキャナーの企画、製造、販売を行っている私たちだからこそ実現できる本格的な3D講座であり、マンツーマンだからしっかり学ぶことができます。
3Dとは、幅、高さ、奥行きがある立体のことで、3Dデザインとは立体のものをデザインすることです。Go!Go!3Dスクールで3DCAD・3DCGを学ぶことで、自分がつくりたいモノを形として表現でき、その作品に価値を生むことができるようになります。
3Dの知識があると就ける職業の幅が広がる
AIやロボットなどの台頭により、将来的に就ける職業は少なくなってくると言われています。AIが発達すると仕事の自動化が進み、日本でも601種類の職業がなくなるとの試算もありました。
しかし、3Dの知識を得ることで、就ける職業の幅は広がります。
3Dを使った職業には、SF映画制作、CGゲームクリエイター、VR・ARといった映像系、プロダクトデザイナー、機械系エンジニア、建築デザイナーなどがあります。Go!Go!3Dなら、3D設計、3Dデザイン、3Dプリンターを扱うための技術や知識が向上するので、将来的にも3D分野で活躍することができるでしょう。
Go!Go!3Dスクールのコースは2種類
FLASHFORGEでは、3Dプリンターを用いたSTEAM教育「Go!Go!3Dスクール」を開催しています。Go!Go!3Dスクールは、こどもたちに「モノづくりが楽しい」と思えるような夢中になれる場を提供したいとの想いから開設しました。
Go!Go!3Dスクールには「こども向けコース」と「講師育成コース」の2種類を設けています。
こども向けコースは、マンツーマン体制で3Dプリンターでモノづくりを行います。レッスンでは、以下の2点を指導していきます。
- TinkercadとFusion360ソフトの使い方
- 3Dプリンターの使い方
こども向けコースの最終的なゴールは、オリジナル作品の製作となります。こども向けコースでは、指導の内容により大きく分けて初級・中級・上級の3つのコースにクラス分けをしており、こども達が自分だけのオリジナルなモノを作れるよう、講師陣がサポート致します。
講師育成コースは、こども向けコースと同様にマンツーマン体制で指導します。レッスン内容は以下の3点です。
- TinkercadとFusion360ソフトの使い方
- 自分だけのオリジナルなモノづくり
- こどもの育成方法
講師育成コースの最終的なゴールは、3Dプリンターによるモノづくりを教えられることとしています。講師育成コースをすべて受講いただいた場合、当スクールの講師としても活躍できます。また、どちらのコースも参加して頂いた方には、自身で3Dプリンターを使ったモノづくりができる、またはモノづくりを教えられるようにと、家庭用3Dプリンターの「Adventurer3」をプレゼントしております。
Go!Go!3Dスクールでは無料体験会も実施しておりますので、興味のある方はぜひ以下のページをチェックしてみてください。
STEAM教育およびGo!Go!3Dスクールのよくある質問
以下は、STEAM教育およびGo!Go!3DスクールのFAQです。
- STEM教育とSTEAM教育の違いは?
- Go!Go!3Dスクールって何?
- Go!Go!3Dスクールにはどんなコースがあるの?
上から順番に見ていきましょう。
STEAM教育とSTEM教育の違いは?
STEM教育とは、STEAM教育にArt(芸術・リベラルアーツ)が含まれていない、理数教育のプランを指します。
STEM教育は、STEAM教育の根幹となるもので、現代社会に求められる化学やIT技術に特化した人材育成、創造性、問題解決能力を養うことを目的とした教育です。
STEAM教育は、STEM教育にArt(芸術・リベラルアーツ)を加えることで、モノを創造するうえで必要なデザイン性、芸術的思考も養います。これにより、文系および理系の枠を超えた、さまざまな領域を含んだ学びが得られるとされています。
Go!Go!3Dスクールって何?
APPLE TREE株式会社が実施する3D講座です。
3Dプリンターや3DCADを使って自分だけのオリジナル作品が作れるように、マンツーマン講座を行っています。TinkercadやFusion360といったソフトを使って、「モノづくりの楽しさ」「作品に価値を生むための体験」などを味わうことができます。
参加いただいた場合、家庭用3Dプリンター「Adventurer3」を1台プレゼントしています。
Go!Go!3Dスクールにはどんなコースがあるの?
Go!Go!3Dスクールには「子ども向けコース」と「講師育成コース」の2つがあります。
子ども向けコースの最終的なゴールは「オリジナル作品の製作」であり、初級・中級・上級の3つのコースにクラス分けしています。
講師育成コースの最終的なゴールは「3Dプリンターによるモノづくりを教えられること」であり、当コースを全て受講した場合は当コースの講師としても活躍できます。
まとめ
STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の英単語の頭文字を組み合わせた造語です。
これらの分野を横断的に学ぶことで、実社会や実生活での課題を見つける力、物事をさまざまな面から捉えて解決する力、新しい価値を創造する力が身につきます。
日本では、世界各国に比べてスタートが遅れているものの、文部科学省と経済産業省でSTEAM教育が推進されており、徐々に小学生から高校生までの授業で、新しいカリキュラムを導入する学校が出てきています。
FLASHFORGEでは、3Dプリンターを用いたSTEAM教育「Go!Go!3Dスクール」を開催しています。無料で体験会の参加が可能ですので、興味のある方はぜひ気軽にご参加ください。