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3Dプリンター
- 公開日:2022.3.10
- 更新日:2022.5.12
3Dプリンターのサポート材とは?種類から付け方のポイントまで解説!
3Dプリンターで造形物を作る場合には、必要に応じてサポート材を使用します。しかし、サポート材がキレイに取り除けずに、造形物の仕上がりに満足できないと悩む方も多いです。
- そもそもサポート材を使用しなくてはいけないのだろうか…?
- 造形物にサポート材が密着するトラブルは防止できないのだろうか…?
- サポート材をキレイに取り除く方法はないのだろうか…?
今回は3Dプリンターで使用するサポート材について解説します。この記事を読めば、サポート材の役割から付け方まで理解できます。ぜひ、高品質なモデルをつくりたい方は、この記事をお読みになってください。
ページコンテンツ
3Dプリンターのサポート材とは
サポート材は、3Dプリンターでものづくりする上でモデルを支える役割を担います。
飛行機のモデルを作る場合に、機体の羽は宙に浮いており、このような箇所を再現するためには支えが必要です。支えがなければ、せり出した羽の部分が固化する前に崩れてしまいます。
このようなトラブルを防止して、美しいモデルを作るためにもサポート材の仕組みについて学んでおきましょう。
サポート材を使う目的と必要性
サポート材を使う目的は(1)造形物の型崩れを防止する(2)造形物の反りを抑えることです。
(1)造形物の型崩れを防止する
サポート材は造形物の型崩れを防止してくれます。例えば、飛行機の羽など宙に浮く箇所のあるモデルをつくる場合、重さで羽が崩れてしまうこともあるでしょう。重力に耐え切れず、羽が落ちてしまう問題はサポート材でモデルを支えることで解決できます。
(2)造形物の反りを抑える
3Dプリンターの材料は温度によって、膨張や収縮を引き起こします。例えば、ノズルから蓄層された樹脂は急激に冷やされ、液体から固体に状態変化するときに造形物が反れてしまうのです。このような反りを防止するためにサポート材を使用します。
3Dプリンターの造形プロセス
3Dプリンターは押出ノズルから材料を出力して、積み上げてモデルを作っていきます。
[仕組み]
- サポート材で土台をつくる
- 土台の上にモデルを積み上げる
- モデルが固まるまで待つ
- 固まったら、モデルに付着しているサポート材を取り除く
押出ノズルの本数別の造形方法
ノズルからモデルとサポート材が出力されるものだと説明しましたが、3Dプリンターの機種によりノズルの本数が異なります。ノズルの本数により、モデルの造形方法が変わることを理解しておきましょう。
押出ノズル1本
必然的にモデルとサポート材が同じ材料になります。そのため、モデルとサポート材が密着しやすいです。モデルからサポートが上手く取り除けないと苦労してしまうかもしれません。
このような場合は、カッターやペンチなど工具を使用して取り除いてください。モデルに傷を付けたり、破損したりしないように細心の注意を払いましょう。
押出ノズル2本
片方から造形物、もう片方からサポート材が出力できます。このような仕組みにより、別々の材料が利用できることが大きな特徴です。水で溶けるものや手で簡単に剥がせるサポート材を使用できます。
そのため、複雑な構造の造形物を出力したい場合や特殊なサポート材を使用したい場合は、押出ノズル2本が搭載されている3Dプリンターを購入てみてください。
サポート材が必要となるモデル形状
3Dプリンターでものづくりをする場合、どのような形状のモデルに支えが必要になるのでしょうか?
結論から説明すると、支えが必要な形状は(1)オーバーハング(2)ブリッジ(3)ホールです。支えが必要であるかの判断は高品質なモデルづくりには欠かせないので覚えておきましょう。
オーバーハング
オーバーハングとは、下の階の層より上の階の層が広くなっている構造をいいます。
- T字型のモデル:横棒の部分が宙に浮いているため、崩れないように支える必要がある
- Y字型のモデル:上の階の層が広いため崩れないように支える必要がある
機種により異なりますが、一般的に45度以下の傾斜であればサポート材は必要ありません。お持ちの3Dプリンターが何度まで耐えられるか測定したい場合はオーバーハングテストを受けることで分かります。
ブリッジ
ブリッジとは、橋のような構造をいいます。H字型の造形物のように、橋のように架けられている箇所をいいます。支えずに造形を始めると橋の箇所が垂れ気味になるため注意してください。そのため、ブリッジの構造の造形物をつくる場合にもサポート材を使用します。
ホール
穴が開いている造形物を作る場合にもサポート材を使用します。穴を開けたい箇所をサポート材で作っておき、固化した後にくり抜いていくのです。このような方法で穴が開いた造形物がつくれます。
3Dプリンターのサポート材の種類
サポート材は、造形物が固まった後に取り除いていきます。サポート材には、造形物と一緒に使用できるもの水や専用溶液で溶かせるタイプなど豊富な商品が販売されています。
どのようなサポート材を選ぶかで造形物の仕上がりが変わるため、それぞれの特徴について理解を深めておきましょう。
造形物と同じ素材のサポート材
押出ノズル1本のFFF方式3Dプリンターで印刷する場合に用いられます。利便性が高いことが魅力的ですが、造形物とくっつきやすく剥がしにくいです。そのため、サポート材を剥がすためには、ニッパーなどの工具を使用する必要があります。
溶液サポート材
溶性サポート材は、水もしくはリモネンに付けておくと溶けていきます。水温が高くなるにつれて、溶解度が上がり、取り外しやすくなるため、細かい構造の造形物を作りたい場合に使用してみてください。しかし、湿気に弱い性質を持っているため、材料の保管には注意しなければなりません。
3Dプリンターのサポート材の付け方
造形物をつくるときに、構造に応じてサポート材を付ける必要があります。どのような方法でサポート材を付けていくのかを学び、造形物の品質を上げていきましょう。
初めて3Dプリンターを操作する方は、サポート材の付け方を覚えておくと、ものづくりが楽しめるようになるため学んでおきましょう。
1.スライサーソフトを使用する
3Dプリンターデータに変換するスライサーソフトには、自動でサポート材を設定する機能が付いています。そのため、オーバーハングやホールなどの造形物を初めて作るという方は、最初はスライサーソフトの機能を活用してサポート材の箇所を自動設定してみましょう。
2.手動で設定項目を微調整する
スライサーソフトの機能で自動設定した結果、造形物がキレイに仕上がらなかった場合は手動で微調整します。
サポート柱の太さや密度等に応じて、除去のしやすさが変わります。また、造形物の角度を変えてみる方法も効果的です。徐々にスライサーソフトの使用方法を覚えていきましょう。
補足:設定項目について理解を深めておく
サポートの付き方を手動で微調整するために、3Dプリンターの設定項目について理解しておきましょう。設定項目として覚えておきたいものには、以下のものが挙げられます。
[設定項目で把握したいポイント]
- 柱サイズ:サポート柱は厚いほど安定するが、除去が難しくなる
- 先端サイズ:一度に出力する造形物のサイズが大きくなるほど、歪みや反りが出る
- ラフト形状:底面の仕上がりを良くするためにラフト形状にこだわる
- サポートの密度:サポート柱の密度が高いほど安定するが、除去が難しくなる
大切なことは、造形物の安定性と除去のしやすさです。バランスを考えて各項目を設定してみてください。
サポート材を付ける場合の課題と解決策
3Dプリンターのサポート材の付け方をご紹介しました。しかし、利用用途を間違えてしまうと、材料費のコストが上がったり造形時間がかかったりなどの課題が出てきます。
そのため、どのような課題が生じるのか?解決策は何かあるのか?を学んでおきましょう。ここでは、サポート材を付ける場合の課題と解決策をご紹介します。
サポート材の材料費が必要になる
サポート材は安価ではありません。サポート材を使用するほど原価が上がります。そのため、造形物のコストを削減したい方はサポート材の使用量を抑える工夫が必要になります。
解決策:印刷方向や角度を変える
モデルの印刷方向や角度を変更すれば、サポート材の使用量を最小限に抑えられます。例えば、T字型のモデルを180度回転させて出力させれば、底面だけにサポート材を使用するだけで済みます。
通常の向きで出力するより使用量が抑えられ、モデルの形状も安定するため、どのような向きで出力すべきかを考えてみてください。
サポート材の印刷時間がかかる
モデルとサポート材を押出ノズルから出力します。そのため、サポート材を使用するほど印刷時間は長くなります。プリント時間が長くなると生産性が落ちてしまうので注意しなければいけません。
解決策:密度を調整する
サポート材の充填率を調整すれば、プリント時間が短縮できます。
充填率とはサポート材の中身のことで、0%に近いほど内部が空洞となります。空洞になるとサポート力が落ちますが、プリント速度が上がります。そのため、強度と速度のバランスをとって調整しましょう。
サポート材の除去が難しい
サポート材を使用した場合、モデルの後処理に時間がかかります。例えば、モデルとサポート材が密着している場合は、工具を使用して取り除かなければいけません。また、取り除いた後にモデルの表面をキレイに磨く必要があるなど、後処理に時間がかかります。
解決策:特殊な材料を選ぶ
専用サポート材を使用すれば、後処理の時間が大幅に短縮できます。手で簡単に剥がせたり、水溶液で解かせたりなど高性能な商品が続々と登場しており、これらを使用することで後処理の時間を大幅に短縮できます。
サポート材に関するよくある質問
サポート材は理想の造形物をつくる上で欠かせないものです。そのため、サポート材について理解を深めておきましょう。最後に、3Dプリンターでモノづくりするお客様から頂く「よくある質問」をご紹介します。
Q.サポート材はどこで購入できますか?
3Dプリンターのサポート材は、ネットから購入できます。しかし、サポート材に関する疑問や質問がある場合は、販売店やショールームを活用してみてください。
販売店にお問い合わせをすれば、質問に答えてくれます。また、ショールームに遊びに行けば、商品を手にとって確認できるため、材料選びでの失敗がなくなります。3Dプリンターの操作方法なども教えてもらえるため、技術力を高めたい方は、ショールームへ遊びにきてください。
FLASHFORGEでも、大阪・東京でショールーム見学を行っていますので、ぜひご利用ください。
Q.サポート材を取り除くのにおすすめの工具はありますか?
工具を利用する上で大切なことは、使い分けることです。造形物と同じ材料を使用したり、手で剥がせるタイプのサポート材を使用したりする場合は、以下の工具を準備しておきましょう。
- 精密ニッパー:サポート材をカットする
- 精密マイナスドライバー:サポート材を削り取る
- カッターナイフ:細かいサポート材をカットする
- ピンセット:手の届きにくい場所の作業をする
Q.サポート材が不要な3Dプリンターはないのですか?
サポート材が不要な3Dプリンターの一例として、SLS方式3Dプリンターが挙げられます。しかし、SLS方式の3Dプリンターは高額です。
現在は手の届かない価格ですが、技術の進歩とともに価格は下がるかもしれません。そのため、サポート材が不要な3Dプリンターが販売されていることを覚えておき動向をチェックしておきましょう。
まとめ
3Dプリンターで理想のモデルをつくるには、サポート材の役割や付け方を覚えておく必要があります。これらを学んでおけば、造形物の出力の向きを変えてサポート材の使用を最小限に押さえたり、除去方法に困らなくなり、品質の高い造形物がつくれたりします。
3Dプリンターを活用したものづくりの技術を上げていきたいという方は、サポート材についての知識を深めていきましょう。また、サポート材をお探しの方は「FLASHFORGE」でも購入できます。ぜひ、サポート材をお探しの方はサイトをご覧ください。