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3Dプリンター
- 公開日:2020.12.3
- 更新日:2022.8.18
3DプリンターFDM方式(熱溶解方式)と光造形機の違いはなに?
ページコンテンツ
1. 3Dプリンターの種類
今あらゆる業界で3Dプリンターや3Dプリンティング技術が注目を集めています。
しかし、3Dプリンターの種類を知っている方は数少ないと思います。
実は、よく使われる3Dプリンターは造形方法によって、2つの種類に大別することができます。
その2つの種類とは、「FDM方式(熱溶解積層方式)」と「光造形方式」です。
1-1. FDM方式(熱溶解積層方式)
FDM方式というのは、正式には、Fused Deposition Modeling方式といいます。
また、日本では熱溶解積層方式と表されることが多いです。
読んで字のごとく、プリンターをつかい造形物を作成する際に、熱で素材を溶かしてそれを設計図通りに積み上げて造形していきます。
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Adventurer3
出力方式:FFF(熱溶解積層法)
造形サイズ:150×150×150mm
対応フィラメント:ABS, PLAなど
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Adventurer4
出力方式:FFF(熱溶解積層法)
造形サイズ:220×200×250mm
対応フィラメント:ABS, PLA, PETGなど
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Creator Pro2
出力方式:FFF(熱溶解積層法)
造形サイズ:200×148×150mm
対応フィラメント:ABS, PLA, HIPSなど
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Creator3 Pro
出力方式:FFF(熱溶解積層法)
造形サイズ:300×250×200mm
対応フィラメント:PC, PLA, ABS, PVA, HIPS, PETG, PA, TPUなど
1-2. 光造形方式
FDM方式に比較される造形方式として、光造形方式が挙げられます。
光造形方式では、プリンターを使い造形物を作成する際に、素材を光で照射して素材を固形化させてそれを設計図通りに積み上げて造形していきます。
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ハンター
Hunter
出力方式:DLP(光造形法)
造形サイズ:120×67.5×150mm
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フォト 6.0インチ
Foto 6.0
出力方式:LCD(光造形法)
造形サイズ:130×82×155mm
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フォト 8.9インチ
Foto 8.9
出力方式:LCD(光造形法)
造形サイズ:192×120×200mm
2. FDM方式(熱溶解積層方式)と光造形方式の違い
次に、先述した「FDM方式」と「光造形方式」の違いを各項目に分けて紹介していきます。
2-1. 造形方法
造形方法に関しては、FDM方式では素材を熱で溶かし、それを積み上げ造形する。
光造形方式では、素材を光で照射して素材を固形化させてそれを積み上げ造形するという明確な違いがあります。
2-2.寸法精度の違い
FDM方式と光造形方式では造形する際の寸法精度に違いが見られます。
FDM方式は、積層時にテーブルから造形物が離れたりすることで少しズレたり、造形の際にヘッドが動くことから、かみ合わせが少しでもズレると造形物がズレるリスクが有ります。
それに対し光造形方式は、光で照射していることやヘッドがズレることがはないことから光造形機の寸法精度は、FDM方式に比べて約1.5倍ほど優れています。しかし、FDM方式でも、ノズルやフィラメントを質の良いものに変更することにより光造形機レベルの寸法精度を再現することができます。
2-3. 造形時に使用する素材の違い
FDM方式と光造形方式では、使用される素材もそれぞれ変わってきます。FDM方式の3Dプリンターで使用する素材をフィラメントと呼び、光造形方式で使用する素材をレジンと呼びます。
FDM方式で使用されるフィラメントとは、樹脂を溶かしそれを糸状にしたものです。
それに対して、光造形方式で使用されるレジンは液体です。
フィラメントは、様々な樹脂を織り交ぜて作成することが可能で、色のバリエーションが豊富で材質の幅も広いです。
またフィラメントの中には、水溶性のものやTPU素材という軟性・弾性の高い素材のものもあります。
それに対してレジンは、液体であることから、素材を混ぜることができません。
そのため素材の違いを生み出すことは難しく、色のバリエーションも少なく、材質の幅は狭いと言えます。
このように、FDM方式と光造形方式では、造形方法・寸法精度・使用する素材の3つの項目で大きな違いが見られます。
3. FDM方式・光造形方式それぞれでできる造形物の違い
FDM方式と光造形方式では、造形できるもの完成品にどのような違いがあるのでしょう?
3-1. 造形物のサイズ
まず、造形できるサイズに違いがあります。光造形方式では、一般的にトレイの中にレジンを入れてその中にプラットフォームが降りてきて層を作っていきます。そのため、レーザーや光で照射して造形物が重くなると脱落することがあるので、あまり大きいものは製作することができません。
それに対して、FDM方式では、ヘッドからフィラメントをプラットフォームの積み上げていって製作するため、光造形方式と比べ、大きいものや重いものも製作することができます。
3-2. 造形物の形状
次に、造形できる形状に違いがあります。
先述した通り、FDM方式と光造形方式では使用する素材が違うため造形できる形状に違いが生まれてきます。
具体的には、FDM方式では、水溶性のフィラメントや軟性や弾性の高い素材を使用することができるため、比較的自由な形状の造形物を製作することができます。
3-3. 造形物のカラー
さらにFDM方式と光造形方式では、素材の違いによって造形物の色にも違いが生まれます。
フィラメントはレジンと比較して、カラーバリエーションも多いことや、フィラメント同士を織り交ぜることができることから、様々な色で造形することができるので表現の幅が広がります。
3-4. 造形物の強度
また、FDM方式と光造形方式では、FDM方式で造形した方がより強度の強い造形物を製作することができます。
その理由としては、FDM方式の素材であるフィラメントは、ナイロン(PA)やポリカーボネート(PC)などの材質を混合させることによって、強度を上げることができます。
それに対して光造形方式の素材のレジンは、一般的に油性のもの多いため強度が付加することができません。
造形物の強度についても、FDM方式で造形した方が優れたものを作ることができます。
4.熱溶解方式と光造形方式3Dプリンターのよくある質問
最後に、熱溶解方式と光造形方式の3Dプリンターに関する、よくある質問について回答します。
熱溶解積層方式と光造形方式、どちらがおすすめ?
熱溶解積層方式は、以下の用途におすすめです。
- 導入コストとランニングコストをなるべく抑えたい
- さまざまな材質を使い分けたい
熱溶解方式は、光造形方式に比べて、本体価格や材料費がリーズナブルな傾向にあります。材質は、PLAやABSをはじめとした樹脂が豊富で、用途に応じて使い分けられます。
光造形方式は、以下の用途におすすめです。
- 寸法精度の高いモノを造形したい
- 表面粗さがキレイなモノを造形したい
光造形方式は、熱溶解方式に比べて高精度な造形が可能。紫外線をプラットフォームに照射して造形するため、造形の位置ズレが少なく、熱による反りも軽減されます。表面粗さについても、熱溶解方式のような積層痕が残りにくく、キレイな造形を実現します。
また、プラットフォームに対して一筆書きではなく、面で紫外線を照射できる「DLP方式」または「LCD方式」の光造形3Dプリンターであれば、スピーディーな造形が可能です。
熱溶解方式と光造形方式のランニングコストは?
熱溶解方式と光造形方式を比べると、熱溶解方式のほうがランニングコストを抑えられます。
熱溶解方式の主な消耗品は、ノズルなどのトラブルがない限りは、材料であるフィラメントだけのため、コストを抑えられます。材料(ABS・PLA)の値段も、当社の製品で500g 2500円(税別)となります。
一方で、光造形方式での主な消耗品は、材料のレジンと洗浄用のエタノールを必要とします。当社の価格だと、レジンは500g 3000円(税別)、エタノールは1000ml 3800円(税別)となります。
5. まとめ
いかがかでしたでしょうか?
このように同じ3Dプリンターでも、FDM方式と光造形方式では、造形方法から造形物の精度・カラーバリエーション・強度などのスペックの何から何まで違うことがお分かりになったと思います。
当社のYouTubeチャンネルでもFDM方式と光造形方式の違いについて解説していますので、もしよければこちらも一緒にご覧ください。
3Dプリンターを使い、精度の高い造形物を作りたい方には光造形方式をカラーバリエーションや強度などのスペックを求めて幅広い造形物を作りたいという方には、FDM方式をおすすめします!
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Adventurer3
出力方式:FFF(熱溶解積層法)
造形サイズ:150×150×150mm
対応フィラメント:ABS, PLAなど
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Adventurer4
出力方式:FFF(熱溶解積層法)
造形サイズ:220×200×250mm
対応フィラメント:ABS, PLA, PETGなど
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Creator Pro2
出力方式:FFF(熱溶解積層法)
造形サイズ:200×148×150mm
対応フィラメント:ABS, PLA, HIPSなど
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Creator3 Pro
出力方式:FFF(熱溶解積層法)
造形サイズ:300×250×200mm
対応フィラメント:PC, PLA, ABS, PVA, HIPS, PETG, PA, TPUなど