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3Dプリンター
- 公開日:2022.3.18
- 更新日:2023.3.20
医療分野における3Dプリンターの活用例について解説
3Dプリンターは、新製品の試作や小ロット品を作るためによく使われていますが、最近では医療分野でも活用するシーンが増えてきました。
しかし、医療分野と言っても、3Dプリンターに馴染みのない方はどのような用途で使われているのか想像しにくいかもしれません。そこで、今回は医療分野で3Dプリンターを活用するメリットや、具体的な活用事例について解説します。
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医療分野に3Dプリンターを活用するメリット
3Dプリンターは、造形データと材料があれば、切削や研削の機械加工をせずに希望の製品を作り出せます。造形の自由度が高くて複雑な形状にも対応できるため、小ロット品やオーダーメイド品の製造に向いています。つまり、医療分野では患者に合わせて製品をカスタマイズする場合が多いため、3Dプリンターと相性が良いのです。
医療業界で3Dプリンターを活用する場合は、利用用途に応じて高い造形精度が求められます。しかし、近年3Dプリンターの技術レベルが向上しており、医療分野に対応できる3Dプリンターが増えてきました。
外注制作する場合は、打合せや製造、配送で時間がかかってしまいます。欲しいときにすぐに手に入らないという問題が出てしまうでしょう。だからこそ、自社に3Dプリンターがあれば、すぐに必要な製品を作り出せます。3Dプリンターは設置が省スペースで済み、導入もしやすいです。そのため、医療分野で3Dプリンターが活用され始めているのです。
医療分野における3Dプリンターの活用事例
医療分野では、どのように3Dプリンターが利用されているのでしょうか?ここでは、医療分野における3Dプリンターの活用事例をご紹介します。
応用技術として3Dプリンターを検討しているものもあります。今後の研究によっては、活用事例以外の使い道が発見されるかもしれません。そのため、興味がある方は動向をチェックしてみてください。
3Dプリントした臓器や骨モデルで手術シュミレーション
3Dプリンターは、臓器や骨モデルの造形をすることで、手術のアプローチの検討や、手術前のチームメンバーの打合せ材料として利用できます。
臓器や骨モデルは、CTやMRI画像の2次元データを重ね合わせ、3次元データにしたものを利用して製作が可能です。そのためモデルの製作はスムーズに行えます。
近年の3Dプリンターは、高い造形精度を持つ機種も揃っているので、精密な臓器や骨モデルの製作に対応が可能です。これらのモデルが精密であるほど、シミュレーションの正確さと手術の安全性が向上します。
3Dプリンターで作る針刺し事故防止キット
カナダの医療関連企業 DECAP R&Dは、DECAPセットを製造・販売しています。
DECAPとは注射針キャップの取り外し、取り付けができる画期的な装置です。血液・体液曝露による針刺し事故が防止できるキットとして注目を浴びている医療用品です。
インサート部分(差し込み部分)の精度が高く、簡単に注射針キャップの取り外し、取り付けができます。
注射針キャップと同じ素材のプラスチック素材で製造されているため、キャップと一緒にリサイクルできます。同社は多額のコストをかけて製造していましたが、3DプリンターCreator4Sを使用して、低コストで精度の高いDECAPセットを作れるようになりました。このような医療用品の製造にも3Dプリンターが使われています。
3Dプリンターで作る義手・義足
義手や義足は、装着する部分の形状が各々で異なるほか、細かな調整も必要とするので、オーダーメイドでの製作が求められるものです。しかし、通常では大きくコストがかかります。そこで注目されているのが3Dプリンターを用いた製作法です。これによりコスト削減が可能になるだけでなく、使用者に合わせたカスタマイズ性も高まります。その結果、コスト面で義手・義足を諦めていた人にも入手しやすくなりました。
さらに3Dプリンターと他の技術を組み合わせることで、より快適で機能的な義手・義足を作ることも可能です。例えば、装着部位の形状は3Dスキャナーを用いて測定し、コンピューターでシミュレーションを行って構造を最適化します。これにより優れた強度と軽量性を両立することができます。
またAIを利用して動作制御や感覚フィードバックを行うことも研究されています。
ロケット部品の製造にも活用される高精度な3Dプリンターの魅力
手術支援や医療用品、義手・義足の製作など、幅広い用途に3Dプリンターが活用され始めてきた理由は、性能が上がってきたためです。 3Dプリンターの性能について、宇宙ベンチャー企業のインターステラテクノロジズ株式会社様がインタビューに応じてくださいました。
ここでは、実際に3DプリンターCreator4Sを利用されているインターステラテクノロジズ株式会社様のインタビュー内容をお伝えいたします。
同社はロケットの部品を作るために家庭用3Dプリンターを導入していました。しかし、開発研究を進める中で「大型サイズの印刷がしたい」「サポート材をキレイに除去して精度の高い部品を作りたい」という要望が出てきたのです。
この要望を叶えるために、3Dプリンター「Creator4S」を導入しました。複雑な形状のパーツでも、水溶性サポート材を使用すれば満足いく品質に仕上がります。
高い性能でありながら、他社製品より値段が安く導入しやすかったこと、ソフトの操作性や機器のメンテナンス性なども、3Dプリンター「Creator4S」を選んだ決め手と話してくれました。
同社は3Dプリンター「Creator4S」で水素と酸素で燃料ガスを回転させるタービンを造形しています。上画像のようなロケット部品の試作モデル(ターボポンプ)は50〜60mmくらいの直径サイズです。
また、ダービン自体が薄い形状のため、何回も試行錯誤して工夫しながら造形しており、ディテールにも拘って仕上げられています。
また、「どのようにロケットを組み立てるか?」というシミュレーションや、治具の製造など幅広い利用用途に活用されています。ちなみに上記は、工具を掛けるための治具です。
このようなパーツ製造、ロケット開発のシミュレーションをしているインターステラテクノロジズ株式会社の研究内容について詳しく知りたい方は、下記のページを読んでみてください。
インターステラテクノロジズ株式会社のインタビュー内容はコチラ
医療分野で大型サイズや高精度の造形物を作るなら「Creator4S」がおすすめ
ロケットの精密部品が作れる業務用3Dプリンター「Creator4S」は、医療業界にもおすすめです。さまざまな3Dプリンターがありますが、その中でもおすすめの理由について解説します。
大型サイズの造形に対応
Creator4Sの造形サイズはW400×D350×H500と大型サイズの造形物が出力できます。従来の3Dプリンターでは大型サイズの造形物を出力するには分割して出力する必要がありました。
しかし、Creator4Sなら、分割せずに一体化したまま大型サイズの造形物が出力できます。手術前のインフォームドコンセントとして活用できる人工骨など一括出力できます。
独立型デュアルエクストルーダーを搭載
Creator4Sは独立型デュアルエクストルーダーが搭載されています。左右に2本のエクルトルーダーが搭載されているため、左右対称のモデルや2色・異素材のモデルを同時に造形できます。
水溶性サポート材を使用すれば、目に見えない箇所のサポート材を簡単に取り除けます。そのため、造形精度の高い造形物を出力したい方も満足できます。
造形品質を保つ庫内温度調整機能を搭載
Creator4Sは反り防止効果が高いヒートチャンバーを搭載しています。ヒートチャンバーにより最大65℃まで庫内温度を保てるのです。一定の温度を保ちながら造形物を出力できるため、ABSなど収縮しやすい材料でも高精度な造形物がつくれます。
Creator4Sでどのような造形物が出力できるのか知りたい方は、無料サンプル造形サービスを利用してみてください。無料サンプル造形サービスとは、3Dプリンターの導入を検討している法人様限定で1回サンプルを提供するサービスです。精度や強度・材質を確認したい方は、ぜひサービスを利用してみてください。
<Creator4Sの仕様>
項目 | 詳細 |
造形サイズ | 400mm x 350mm x 500mm |
造形方式 | FFF(熱溶解積層法) |
造形精度 | ±0.2mm |
ノズル | IDEX(独立型デュアルエクストルーダー) |
対応フィラメント | PLA、ABS、PETG、PC、PA、ASA、PBAT、TPC、TPE、PVA、HIPS、PA-CF、PETG-CF、PLA-CF、TPU |
積層ピッチ | 0.05mm – 0.4mm |
販売価格 | 100万円台 |
保証 |
1年 |
医療分野へ3Dプリンターを導入する際によくある質問
ここまでは、3Dプリンターが医療現場で多く活用されていることをご紹介しましたが、3Dプリンターを導入していない方からすれば、疑問に思うポイントもあるのではないでしょうか。ここでは、医療現場で3Dプリンターの導入を検討する際によくある質問について回答します。
3Dプリンターはどのような工程が必要か?
3Dプリンターで製品を作るためには3Dデータが必要です。自分でオリジナルのモノを作る場合は、3DCADや3DCGなどのソフトでデザインします。
次に、専用のソフトでサポート材や造形台への配置などを設定して、3Dプリンターが読み込めるデータに変換します。このとき、配置方法によって材料や精度に影響が出ることがあるため注意しましょう。販売店などからアドバイスをもらうと参考になります。
運用にかかるコストは?
3Dプリンターにかかるコストは、機器の購入費用だけでなく、プリンターを稼働させるための電気代、3Dプリントに必要な材料代、機器のトラブル対応や安定して稼働させるための保守費用などのランニングコストもかかります。
ランニングコストは、造形する回数が多いほど、大きくかかる点に注意が必要です。場合によっては、ソフトウェアやソフトウェアを利用するためのPC、スキャナー等も必要になるでしょう。
また、材料については、特性の違いによって価格も異なります。材料は、安定した造形を行うためにも、購入した3Dプリンターの純正品を利用するのがおすすめです。
安いという理由で、同じ用途で販売されている他社製の材料を利用した場合、使用している3Dプリンターとの相性が悪いと不具合を起こしてしまう可能性があるほか、メーカーのサポートを受けられないことがあるので注意してください
まとめ
ぜひ、この記事を読んで「どれほど精度の高い造形物が出力できるのだろうと興味を持った方」は、FLASHFORGE社の製品を取り扱うAPPLE TREEのショールームにお越しください。ショールームでは、機器を実際に見て触れることができます。また、専門の技術スタッフに製品に関する質問や相談にもお応えいたします。