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3Dプリンター
- 公開日:2022.6.23
- 更新日:2022.6.23
光造形3Dプリンターの種類と特徴を解説!
光造形3Dプリンターは、さまざまな種類がある3Dプリンターのなかでも、熱溶解積層方式と並ぶほどオーソドックスなタイプです。材料であるレジンの取り扱いには注意が必要となりますが、造形精度や造形速度に優れるなど、さまざまなメリットがあることから人気を集めています。
また、導入を検討している企業や個人のお客様も増えてきています。しかし光造形方式は、さらに細かく分類すると、DLP方式やLCD方式などの種類があるのを知らない方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、これらの種類の違いや、光造形3Dプリンターの特徴について解説していきます。
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光造形3Dプリンターとは
光造形3Dプリンターとは、「レジン」と呼ばれる光硬化性樹脂の材料に紫外線を照射し、硬化させて造形を行う機器のことです。
一口にレジンと言っても、プラスチックのような質感からゴムのような質感など、使用する材料によっては性質が変化します。
基本的な造形の仕組みは、レジンを入れたトレイにプラットフォーム(3Dモデルを造形する土台)を浸け、トレイ底方向から照射される紫外線により、徐々にレジンを硬化し、積層させて立体物を造形する仕組みです。
昨今では、家庭用の光造形3Dプリンターの本体価格が10万円未満と、個人でも導入できるほどリーズナブルな機器がラインナップされています。
業務用の光造形3Dプリンターは、家庭用に比べて本体価格が10〜50万円ほどとコストはかかるものの、優れた造形精度や造形スピードを有しています。
光造形3Dプリンターの種類|出力方式の違いは?
光造形3Dプリンターは、細かく分けると以下の種類に分けられます。
- DLP方式
- LCD方式
- SLA方式
- インクジェット方式
これらのなかで最も普及している方式が、DLP方式とLCD方式です。今回はDLP方式とLCD方式の2種類について違いを解説します。
DLP方式
DLP方式は、機器に搭載されたプロジェクターを用いて面で紫外線を照射し、レジンを硬化させる仕組みです。例えばSLA方式の場合は、一筆書きのようにして点で紫外線を照射しながらレジンを硬化させます。
しかしDLP方式では、一筆書きではなく面で紫外線を照射するため、造形スピードに優れているのが特徴です。また、造形の精度にも優れているので、微細な造形物をプリントしたい場合に適しています。
DLP方式の3Dプリンターはメンテナンス性がよく、性能に優れていることから導入コストが高めであるものの、消耗品が少ないのでランニングコストを安く抑えられるメリットがあります。
LCD方式
LCD方式は、DLP方式のようなプロジェクターではなく、液晶ディスプレイのLCDパネルを用いて紫外線を照射する仕組みです。
DLP方式と同じく、面で紫外線を照射するタイプのため、高速造形が可能。LCDパネルは解像度の高いモノを用いることで、より精密な造形に対応できます。
ただしLCD方式で使用するLCDパネルは、造形時に発生する熱と紫外線に弱く、定期的に交換しなければなりません。DLP方式に比べて導入コストこそ安い傾向にありますが、ランニングコストは高くなります。
FLASHFORGEでは、今回ご紹介したDLP方式とLCD方式の光造形3Dプリンターを取り扱っています。光造形3Dプリンターのおすすめ品については、以下の記事で紹介しているので、導入を検討している方はぜひチェックしてみてください。
光造形3Dプリンターのメリット
光造形3Dプリンターは、造形速度や精度に優れているほか、透明度の高い造形に対応するといったメリットがあります。これらの特徴について、内容を詳しく見てみましょう。
高速造形に対応
光造形3Dプリンターは材料を熱する時間が短く済み、スムーズに出力できることから、他の方式に比べて造形速度に優れているのが特徴です。
特にDLP方式の光造形3Dプリンターは、一括で面状に光を照射することにより、造形物の大きさや造形物に関わらず、高速造形を実現します。
造形の精度に優れる
光造形3Dプリンターは、造形物の表面が滑らかかつ、精度の高い造形が可能です。
一般的な3Dプリンターである熱溶解積層方式の機器では、ノズルから溶かした樹脂を射出し、積層させて造形するため、積層痕が残ったり造形の精度に乏しかったりするものです。
しかし光造形方式であれば、硬化させる場所にピンポイントで光を照射して造形するので、積層痕が目立ちにくく、精度に優れるといったメリットがあります。
透明度の高い造形に対応
光造形3Dプリンターは、使用する材料によっては透明度の高いモデルを造形できます。これにより、内部構造を見せたいモノの造形に役立ちます。
上図は当社で取り扱いのある材料「LCD用 スタンダードレジン500g ナチュラル」を使用した造形物です。写真のように研磨やクリアコートを施すと、より透明度が向上します。
光造形3Dプリンターのデメリット
光造形3Dプリンターは多くのメリットを有している一方で、いくつかのデメリットもあります。
造形後の処理に手間がかかる
光造形3Dプリンターでできた造形物は、いくつかの後処理が必要となります。
プリントしてすぐの造形物は、余分なレジンが付着しているため、基本的に無水エタノールで洗浄を行わなくてはなりません。洗浄する理由は、硬化していないレジンは素手で触ると、皮膚が荒れてしまったり、かぶれてしまったりと危険を伴うためです。
プリントした造形物が硬化不良の場合は、別途紫外線を照射できる機器を使って、二次硬化する必要もあります。
また、多くの造形物は、造形が崩れ落ちてしまわないためにも、支えや土台となる「サポート材」を必要とします。サポート材は洗浄などの処理をしたあと、不要となるため除去しなければなりません。造形物が複雑な構造であるほど、サポート材が多く付く傾向にあるので、除去するには時間がかかってしまいます。
光造形3Dプリントした製品は太陽光に弱い
光造形3Dプリントされた製品は、太陽光に弱いため注意が必要です。
光造形の材料として用いるレジンは、紫外線を照射することで、硬化させています。紫外線を含む太陽光が長時間当たると、変形や破損といったトラブルを招きます。
そのため、光造形3Dプリンターで作った造形物は、屋外で使用するなどの用途では使わないようにしてください。
光造形3Dプリンターに関するよくある質問
最後に、光造形3Dプリンターに関するよくある質問について回答します。
光造形3Dプリンターの導入に特別な環境を用意する必要はある?
光造形3Dプリンターは、常に換気が可能な環境に設置する必要があります。
理由として、光造形3Dプリンターで用いる材料のレジンは気化するため、使用していくと部屋がベタつきやすくなるためです。
また、換気の悪い環境だとレジンアレルギーを引き起こしてしまい、呼吸器や肌に重篤な症状になる可能性があることも理由として挙げられます。
光造形3Dプリンターの配置については、高湿度環境や直射日光の当たる場所を避けてください。湿気の高い環境は漏電リスクが生じやすく、日当たりの強い場所は部品を傷めやすくなります。
初心者でも光造形3Dプリンターは使える?
光造形3Dプリンターは、直感的に操作できるタッチパネルを搭載しているなど、操作性に優れたモデルであれば、初心者でも扱えます。
当社で取り扱っている光造形3Dプリンターは、操作が分かりやすいタッチパネルを搭載しているほか、マニュアルも日本語対応しているので、これから光造形3Dプリンターを扱う方でも安心してお使いいただけます。
光造形3Dプリンターで不明な点がある場合は、ぜひお気軽にFLASHFORGEまでお問い合わせください。
必要となる消耗品は?
光造形3Dプリンターに共通する消耗品は、材料となるレジン、洗浄に必要な無水エタノールが挙げられます。レジンによっては、水での洗浄に対応したタイプもございます。
DLP方式の3Dプリンターは、レジントレイに使用するフィルムも定期的な交換が必要です。LCD方式の3Dプリンターは、レジントレイのフィルムだけでなく、LCDパネルも傷や変形があった場合は交換が必要になります。
消耗品については弊社のオンラインストアでも取り扱っていますので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
光造形3Dプリンターは、液体の樹脂であるレジンに紫外線を照射して造形する機器を指します。
光造形3Dプリンターのなかでも代表的な種類である、DLP方式とLCD方式は、線ではなく面で紫外線を照射していくため、高速造形が可能です。また、熱溶解積層方式のような積層痕も残りにくく、高精度の造形物がプリントできるのも特徴です。
FLASHFORGEでは、DLP方式とLCD方式の3Dプリンターや、レジン、消耗品などを取り扱っています。個人のお客様でも導入しやすい税込5万円未満のリーズナブルな光造形3Dプリンターから、高性能な業務用のモデルまで展開しており、幅広いニーズに対応します。
光造形3Dプリンターの詳細について興味のある方は、ぜひ商品一覧からチェックしてみてください。