- 2023.4.26
- 更新日:2023.4.26
カーボンファイバー対応3Dプリンターのメリットとは?おすすめ機種もご紹介

熱溶解積層方式3Dプリンターで使われている素材は、PLAとABSが一般的です。これらの素材は、価格が安くて扱いやすいことがメリットとして挙げられますが、強度を求められるシーンにおいては、活用しにくいという問題があります。
そこで今回は、強度の高い素材である「カーボンファイバー」に対応した3Dプリンターについて解説します。カーボンファイバー対応3Dプリンターは、従来品よりも幅広い造形に対応できることから、自動車業界などで活用されています。
この記事では、カーボンファイバー対応3Dプリンターのおすすめ品から、サンプルの造形に便利なサービスについてもご紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
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カーボンファイバー対応3Dプリンターのメリット
一般的にはカーボンファイバーは硬い材料のため、従来の3Dプリンターだとノズルの消耗が激しくて使えません。
しかし、カーボンファイバー対応3Dプリンターは、PLAやABSの材料だけでなく、カーボンファイバー(炭素繊維)を配合したPLA-CFやPETG-CFなどの材料を使えます。
カーボンファイバーを配合した材料は、PLAなどと比べて、曲げ強度や引張強度に優れているほか、積層痕が目立ちにくいメリットがあります。PA-12CFのような、カーボンファイバーとナイロンを組み合わせた材料の場合は、耐熱性が高く、自動車製造の分野に適しています。また、ESD(静電気放電)にも安全な素材であることから、電子部品の印刷にも対応しています。
カーボンファイバー対応3Dプリンターのおすすめ4選
ここでは、FLASHFORGEが取り扱う、カーボンファイバー対応3Dプリンターのおすすめ品をご紹介します。
これらの機種は、インターステラテクノロジズ株式会社、杭州富春江電器工場、帝京大学に導入されている事例もあるので併せてご紹介します。
Creator4S

Creator4Sは、最終製品製造が可能な、カーボンファイバー、ナイロン、一部のスーパーエンプラ素材まで安定した造形ができる、FLASHFORGEの最上位モデルです。
エクストルーダーは左右独立して稼働するデュアル方式で、色違いの素材や異素材を用いた造形が可能。片方のエクストルーダーに、サポート材専用のフィラメントを用いることで、複雑な形状のモデルを印刷した場合でも、サポート材の除去にかかる手間を削減できます。
本体は庫内温度を保てるヒートチャンバーを搭載。造形中の温度変化を軽減することで、熱収縮の大きな材料を用いても、反りの少ない安定した造形を実現します。
最大造形サイズは400×350×500mmと大きく、大型モデルの造形に対応。モデルを分割することなく、一体化した状態で造形したい場合におすすめです。また、高機能でありながらも本体価格が100万円台と、同等のモデルに比べてリーズナブルに抑えられています。

上図は、Creator4Sで作成したロケット部品の試作モデルです。水溶性フィラメントと組み合わせることで、中身が複雑な形状のモデルを作成しても、簡単にサポート材を除去できるようになります。こちらの試作モデルは、実業家の堀江貴文さんが創設された宇宙ベンチャー企業「インターステラテクノロジズ株式会社」にて作成された部品です。
インターステラテクノロジズ株式会社では、大型造形およびデュアルノズル対応の3Dプリンターが必要とのことでCreator4Sを導入し、人工衛星を宇宙に運ぶロケット「ZERO」の開発に活用されています。
インターステラテクノロジズ株式会社の導入事例の詳細は、以下の記事にて解説しています。
<<ロケットZERO開発に3Dプリンター「Creator4S」を活用!|インターステラテクノロジズ株式会社

自動化設備業の杭州富春江電器工場では、耐薬品性、耐紫外線性、高強度などに対応した金型部品を作成するために、Creator4Sが導入されています。上図は、杭州富春江電器工場にてCreator4Sを用いて作成した部品の一例です。
Creator4Sは、最終製品および幅広い材料に対応しているほか、寸法精度も良好。製品ごとの金型を用意する必要がないため、小ロット生産でのコスト削減に活用されています。
また、3Dプリンターならではの自由度の高いモデルを造形できることから、手作業では製造が難しい部品でも簡単に作成が可能です。
【Creator4Sのスペック表】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 840x675x1000(1050)mm |
最大造形サイズ | 400x350x500mm |
造形精度 | ±0.2mm |
ノズル径 | 0.4mm(0.6mm/0.8mm) |
エクストルーダー | IDEX(独立型デュアルエクストルーダー) |
最大エクストルーダー温度 | HT320℃ / HS:360℃ / F:265℃ |
タッチパネル | 7インチフルカラー |
対応フィラメント | PLA、ABS、PETG、PC、PA、ASA、PBAT、TPC、TPE、PVA、HIPS、 PA-CF、PETG-CF、PLA-CF、TPU |
本体価格 | 100万円台(お見積り) |
Creator3 Pro

Creator3 Proは、カーボンファイバー対応3Dプリンターのなかでも本体価格が税込33万円とお手頃かつ、独立式デュアルヘッドを搭載したモデルです。
本製品は、独立式デュアルヘッドにより、2色での印刷や、水溶性サポート材を用いた印刷が可能。作成したいモデルを、同時に2つ印刷するのにも適しています。
ノズルは、ステンレスおよび超硬ノズルを使い分けられる仕様で、高強度であるPA-12CFなどのカーボンファイバー配合フィラメントの出力に対応しています。
PA-12CFフィラメントは、ナイロン12(PA-12)と、カーボンファイバーを組み合わせた複合素材の材料です。強度と剛性を向上しているほか、軽量性、耐摩耗性、耐熱性にも優れています。

上図は、帝京大学の学生フォーミュラチーム「帝京フォーミュラプロジェクト」により、Creator3 Proを用いて作成されたステアリングの画像です。
材料はPA-12CFを採用していて、滑らかかつ手にフィットしやすい形状に仕上げられています。ステアリング以外にも、インジェクターマウントや試作品の作成にCreator3 Proを活用されているとのことです。
帝京大学の導入事例の詳細は、以下の記事にて解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
<<3Dプリンターで製作したステアリング搭載の学生フォーミュラカーが見事完走|帝京フォーミュラプロジェクト
【Creator3 Proのスペック】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 627x485x615mm |
最大造形サイズ | 300x250x200mm |
造形精度 | ±0.2mm |
ノズル径 | 0.4 (0.6/0.8)mm |
最大ノズル温度 | 320℃ |
タッチパネル | 4.3インチフルカラー |
対応フィラメント | PLA、ABS、PA、PC、PVA、HIPS、PETG、PETG-CF、PA-CF、TPU(0.8mmノズル使用時) |
保証 | 1年 |
本体価格 | ¥330,000(税込) |
Guider3

Guider3は、最高250mm/sの造形速度と、コンパクトな筐体が特徴のカーボンファイバー対応3Dプリンターです。素材はPCやPAなどのエンプラ素材にも対応します。
本体サイズは496x436x696mmとコンパクトながらも、最大造形サイズは300x250x340mmと大容量なのもポイント。フィラメントを押し出すギアは、ダブルギアを搭載したことで、ノズル詰まりのトラブルを軽減します。
【Guider3のスペック表】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 496x436x696mm |
最大造形サイズ | 300x250x340mm |
造形精度 | ±0.15mm(造形サイズが100mm未満) ±0.002mm/mm(造形サイズが100mm以上の1mmあたりの誤差は±0.002mm) 例:造形サイズが110mmの場合±0.22mm |
ノズル径 | 0.4 (0.6/0.8)mm |
最大ノズル温度 | 320℃ |
タッチパネル | 4.3インチフルカラー |
対応フィラメント | ABS、PLA、PC、PA、ASA、PETG、PA-CF、PLA-CF、PETG-CF |
保証 | 1年 |
本体価格 | ¥495,000(税込) |
Guider3 Plus

Guider3 Plusは、最高250mm/sの高速印刷と、最大造形サイズ350x350x600mmと大容量のカーボンファイバー対応3Dプリンターです。Z軸の造形サイズが600mmと大きいため、多くのプロトタイプモデルの印刷に対応します。
ノズルは、最大320℃までの加熱に対応しているので、カーボンファイバーやエンプラ素材などを用いた印刷が可能です。
本体背面には密閉型フィラメント収納ボックスを2個内蔵。1kgフィラメントを収納できるほか、温度計と湿度計の搭載により、フィラメントを管理しやすい特徴があります。
また、シリカゲル乾燥剤を配置しており、湿度20%以下で最大5日間の保存に対応します。
【Guider3Plusのスペック表】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 635×590.5x1060mm |
最大造形サイズ | 350x350x600mm |
造形精度 | ±0.15mm |
ノズル径 | 0.4 (0.6/0.8)mm |
最大ノズル温度 | 320℃ |
タッチパネル | 7インチフルカラー |
対応フィラメント | PLA、ABS、PETG、PC、PA、ASA、PC-ABS、PA-CF、PETG-CF、PLA-CF |
保証 | 1年 |
本体価格 | (お見積り) |
カーボンファイバー対応3Dプリンター選びにおすすめの無料サンプル造形サービス

FLASHFORGEでは、カーボンファイバー対応3Dプリンターの導入を検討している方を対象に、無料サンプル造形サービスをご提供しています。対象は法人様限定で1回に限りとなります。
サンプル造形可能な3Dプリンターは「Creator4S」と「Guider3 Plus」の2種類です。
素材は、以下の種類からお選びいただけます。
- PLA
- ABS
- PETG
- PC
- PC-ABS
- PA
- PA6-CF
- PETG-CF
- PLA-CF
各素材の特徴について知りたい方は、無料サンプル造形ご依頼の際にFLASHFORGEまでお問い合わせいただくか、以下の記事を参考にしてみてください。
<<3Dプリンターで使える素材とは?種類と特徴を徹底解説します【対応表あり】
無料サンプル造形をご利用の際は、以下のページにある申請フォームからご依頼をお願いいたします。
カーボンファイバー素材を使う3Dプリンターに関するよくある質問
最後に、カーボンファイバー素材を使う3Dプリンターの、お客様からよくいただく質問について回答します。
カーボンファイバー素材対応3Dプリンターの用途は?
カーボンファイバー素材対応3Dプリンターは、製品の軽量化や、強度向上を求める場合に適しています。カーボンファイバー素材は、引張強度や曲げ強度に強いモデルを作成できるほか、金属に比べて軽量性に優れているのがメリットです。材料によっては、剛性・強度・耐熱性が良好で、ESD(静電気放電)にも安全であることから、自動車部品や電子部品の用途で活用できます。
カーボンファイバー素材使用時の注意点は?
カーボンファイバー素材は、炭素繊維が含まれていることで、ほかの素材に比べて硬く、ノズルが摩耗しやすい傾向にあります。そのため、一般的に採用されている真鍮ノズルではなく、超硬などのカーボンファイバーに対応した専用ノズルを用いる必要があります。
また、造形モデルの肉厚が薄い箇所は脆くなる傾向にあるので、ある程度の厚みをもたせて設計することをおすすめします。厚みがあると、カーボンファイバー特有の高強度な特性を発揮できます。
まとめ
カーボンファイバーを配合したフィラメントは、PLAなどの素材に比べて、高強度かつ、積層痕が目立ちにくいなどのメリットがあります。しかし、一般的な3Dプリンターは非対応のため、専用の機器を用いる必要があります。
今回は、おすすめ品としてカーボンファイバー対応3Dプリンターを4機種ご紹介しました。これらの機種を実際に見てみたい、触ってみたいという方は、ぜひFLASHFORGEで開催しているショールームをご利用ください。
ショールームでは、お客様の業務内容に合う3Dプリンターをご提案いたします。ショールームの詳細やご予約については、以下のページをご確認ください。