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3Dプリンター
- 公開日:2022.4.28
- 更新日:2023.3.10
【教育業界】3Dプリンターが導入される理由から導入事例まで紹介
近年、3Dプリンターを授業や研究で活用する教育機関が増えてきました。教育業界の授業や研究に活用され始めてきています。一体、どのような授業・研究が行われているのでしょうか?
今回は大学の研究や部活などの活用を中心とした教育業界の3Dプリンターの活用事例をご紹介します。 この記事を読めば、研究に3Dプリンターを活用するメリットからおすすめの機種まで分かるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。
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[教育業界]3Dプリンターの活用事例
ここでは、FLASHFORGEの3Dプリンターを使用されている京都産業大学、立命館大学、帝京大学の活用事例をご紹介します。
京都産業大学:研究に必要な材料を制作
京都産業大学は、2018年にデジタル工作機器を活用したものづくりができるファブスペースを作りました。その他にも、研究室で3Dプリンターが活用されています。今回は3Dプリンター「Creator4S」を導入された情報理工学部の永谷准教授が研究にどのように活用されているのかについてご紹介いたします。
永谷准教授は3Dプリンターを使用して、研究で必要なモデルを製造していました。しかし、夏場は湿度が高くなり、それが原因で造形モデルの劣化してしまうという悩みを抱えていたのです。このような悩みを解決するために、庫内温度管理ができて大きな造形サイズが作れるCreator4Sを導入されました。
「エンジニアリングプラスチックが使用できたり、庫内温度管理ができたりする3Dプリンターが100万円台という点も購入の決め手でしたね」と永谷準教授は答えてくれました。
情報理工学部では、Creator4Sを活用して研究材料を造形しています。
1つ目が人間の頭蓋骨モデルです。
嗅覚センサに関する情報収集で、どのようにニオイ物質が流れるのか、実験のために造形されたものです。感覚器に感覚提示をするようなデバイスを作るというVR研究にも役立てられています。
2つ目が節足動物の行動計測装置のパーツです。
節足動物の一挙手一投足を観察するためには、腹側から観察する必要があります。そのため、球体駆動装置にダンゴムシを乗せて、球体内部のアクションカメラで節足動物の動きを捉えられる計測装置を開発しました。昆虫のモーションデータの収集に役立てられています。
3つ目がボウリング球です。
京都産業大学のボウリング部の学生が行っている研究で、ボウリング球の回転をコントロールする目的で実験が行われています。ボウリング球にセンサーを入れて、回転軸を算出して、自分の回転速度や回転角度の数値を算出しています。
3つの研究内容について詳しく知りたい方は、下記の記事で永谷准教授のインタビュー記事をご覧ください。
関連記事:ダンゴムシ研究に3Dプリンター「Creator4S」を活用|京都産業大学
立命館大学:自立移動ロボットのパーツを開発
立命館大学情報理工学部のプロジェクト団体「Ri-one」は、自律移動型ロボット「ロボカップサッカー」の製作に取り組まれています。
これまで、自律移動型ロボットのパーツは、ドリルで穴を開けたり材料を切断したりする機械加工で製作していました。しかし、機械加工では曲面や中空のパーツを製作しづらく、アイデアを反映しづらいという悩みを抱えていたのです。このような悩みを3Dプリンター「Adventurer4」を導入で解決しました。
Adventurer4は、エクストラルーダーが温まりやすく、すぐに造形物の出力が始められます。また、3Dプリンターにデータを転送すれば本体にデータが保存できたり、タッチパネルが日本語表示で操作しやすかったりと誰もが気軽に操作できることが導入の決め手となりました。
上記の画像はAdventurer4で作った自律移動型ロボットが蹴り出す箇所の部品です。真っすぐにボール蹴るストレートキック、ボールを蹴り上げるチップキックができます。これまでアルミ素材の部品を採用していましたが、重量があり動きが鈍いという問題を抱えていました。この問題も軽くて耐久性があるPLAに切り替えることで解決しました。
また、高温で触ると危険な基盤のカバーなども作成されています。詳細は下記の記事でご覧いただけます。興味のある方は是非ご覧ください。
関連記事:自律移動ロボット製作に3Dプリンターを導入!複雑な形状部品や試作製作に活用
帝京大学:レーシングカーのパーツを3Dプリンターで開発
帝京大学理工学部機械・精密システム工学科には、学生フォーミュラ日本大会に参戦している学生チーム「帝京フォーミュラプロジェクト」があります。学生チームは12名で構成されており、設計、製造を役割分担して、初心者でも乗りやすく操作しやすいレーシングカーを開発しています。
チームで3Dプリンターを持っていたのですが、顧問の先生が個人的な趣味で持っていたAdventurer3の精度の高さに魅了して活用する機械を替えました。
しかし、レーシングカーの原寸大のパーツを作りたいと思うようになり、Adventurer3と同メーカーで大型サイズの印刷が可能なCreator3 Proを購入されました。Creator3 ProはタッチパネルのUIがシンプルでスムーズに印刷作業ができることなど、マニュアルを見れば誰でも簡単に操作できることも購入の決め手となりました。
同チームはCreator3 Proで、レーシングカーのパーツを開発しています。
1つ目がステアリングです。
操縦装置であるステアリングの開発は何度も失敗をしましたが、PA-12CFフィラメントを使うことで設計通りの形状に仕上げることに成功しました。
2つ目がインジェクターマウントです。
インジェクターとは、エンジン内部に燃料を送るパーツです。走行状況に応じて最適な燃料供給する役割を担います。このようなパーツ改良で、 学生フォーミュラ大会の総合18位に入賞することができました。詳細は下記の記事でご覧いただけます。興味のある方は是非ご覧ください。
関連記事:3Dプリンターで製作したステアリング搭載の学生フォーミュラカーが見事完走|帝京フォーミュラプロジェクト
教育業界におすすめの3Dプリンター
ここでは、上記の事例でもご紹介した家庭用3Dプリンター「Adventurer4」と業務用3Dプリンター「Creator4S」をご紹介します。
教育業界で導入実績を豊富に持つ「Adventurer4」
Adventurer4は98,450円(税込)と低価格で販売されている家庭用3Dプリンターです。Adventurerを改良した製品で、造形サイズ220mm x 200mm x 250mmまで対応します。
製品改良されてタッチパネルも2.8インチから4.3インチと大きくなりました。タッチパネルは日本語対応のため、3Dプリンター初心者でも扱いやすくなっています。データを転送すれば、本体側でデータ保存されるため、何度も同じデータの送受信する必要がありません。過去の造形物をデータから探して出力ができます。
また、エクストラルーダーが1分程度で温まり、すぐに作業ができることも魅力です。それだけでなく、ワンプッシュでノズル交換ができるため、ノズル詰まりのときもメンテナンスしやすい機械となっています。
項目 | 詳細 |
造形サイズ | 220mm x 200mm x 250mm |
造形方式 | FFF(熱溶解積層法) |
造形精度 | ±0.1mm |
ノズル | 0.3mm – 240℃ノズル0.4mm – 240℃ノズル0.4mm – 265℃ノズル0.6mm – 265℃ノズル |
対応フィラメント | ABS、PLA、PC、PETG、PETG-CF |
積層ピッチ | 0.05~0.4mm |
販売価格 | 98,450円(税込) |
保証 | 1年 |
研究分野でも活用されている「Creator4S」
Creator4Sは、FFF方式(熱溶解積層方式)の最上位モデルの3Dプリンターです。造形サイズが400mm x 350mm x 500mmのため大きなモノが作れます。それだけでなく、独立型デュアルエクストルーダーを採用しており、左右対称のモデルや異素材を組み合わせたモデルなど、複雑な造形物を作れることが大きな魅力です。
また、Creator4Sは庫内温度を一定に保つヒートチャンパーを搭載。造形中も一定の温度を保ちながら印刷が進められるため、ABSなど収縮の大きいフィラメントを使用しても、反りなどが起きにくいです。
夏場は湿度が高くて3Dプリンターの材料が劣化してしまうという悩みを抱える方も、庫内温度管理をしておけば問題を解決できます。このような特徴を持っているため、多くの研究分野で活用されています。
項目 | 詳細 |
造形サイズ | 400mm x 350mm x 500mm |
造形方式 | FFF(熱溶解積層法) |
造形精度 | ±0.2mm |
ノズル | IDEX(独立型デュアルエクストルーダー) |
対応フィラメント | PLA、ABS、PETG、PC、PA、ASA、PBAT、TPC、TPE、PVA、HIPS、PA-CF、PETG-CF、PLA-CF、TPU |
積層ピッチ | 0.05mm – 0.4mm |
販売価格 | 100万円台 |
保証 | 1年 |
教育業界で3Dプリンターを導入する際によくある質問
最後に教育業界で3Dプリンターを導入する際によくある質問をご紹介します。
Q.近年、大学において3Dプリンターの活用が進んでいるのでしょうか?
大学で3Dプリンターを活用する動きが出てきています。ものづくりをサポートするための施設ファブスペースを設けている大学が増えてきました。国内の大学では東京大学や京都大学、海外の大学ではスタンフォード大学で3Dプリンターを活用した授業や研究が行われていると報告が上がっています。とくに海外の大学では最新機種を導入して、高度な研究が行われています。
Q.大学の研究分野でも3Dプリンターは活用されているのでしょうか?
大学の研究分野でも3Dプリンターが活用されています。
例えば、この記事では、3Dプリンターを研究にどのように活用されているのかをご紹介します。FLASHFORGEの3Dプリンターを用いて、研究で使用する治具や計測装置などの一部を製作されている先生方もいらっしゃいます。この記事では、3Dプリンターがどのように研究に活用されているかを事例をもとにご紹介しています。
まとめ
大学では今回紹介した事例のように研究室や部活、ファブスペースなどで3Dプリンターが活用されています。今後は大学だけでなく小中学校などでも、3Dプリンターの活用は増えていくでしょう。
FLASHFORGEでは大阪・東京の2拠点でショールーム見学を開催しております。また、今回紹介した3Dプリンター「Creator4S」を使った無料サンプル造形サービスも行っています。本サービスを利用すると、造形モデルの精度・強度・材質の確認が出来ますので、導入を検討されているお客様は是非ご利用ください。