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3Dプリンター
- 公開日:2022.5.12
- 更新日:2024.2.6
3Dプリンターでジュエリーを作る方法!製作事例から機種まで紹介

光造形3Dプリンターの価格が安くなったことにより、ジュエリー作りを楽しむ方が増えてきました。ジュエリー作りで光造形3Dプリンターを活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?また、どのようなジュエリーが作れるのでしょうか?
今回は、光造形3Dプリンターを活用したジュエリーの作り方を紹介します。デザイナーの方に限らず、ものづくり初心者の方でもジュエリーは簡単に作れます。そのため、ジュエリー作りに興味がある方は、記事をお読みになってください。
ページコンテンツ
ジュエリー作りで光造形3Dプリンターが注目される理由

3Dプリンターを利用したジュエリー作りが注目を浴びています。その理由は主に5つです。
1.生産性向上
ジュエリー作りに光造形3Dプリンターを活用すれば生産性向上が見込めます。その理由は、切削や手作業で製造していた鋳型を3Dプリンターで出力すればスピード向上が図れるからです。
実際に光造形3Dプリンターを導入した企業では、数時間で数百個ものワックスパーツが製造されています。このような生産性向上を見込んで、光造形3Dプリンターを活用する方が増えているのです。
2.試作品の開発が行いやすくなる
光造形3Dプリンターを活用すれば、ジュエリーの試作品の開発が簡略化できます。その理由は、試作品のデザイン変更や調整をソフトウェア上で行って、作成データを出力するだけで済むためです。
ジュエリー作りで抱えがちな「構想しているデザインはできるのか?」という不安も試作品の開発が簡略化できれば解消されることでしょう。
3.オーダーメイドジュエリー作りを得意とする
1人1人に見合うオーダーメイドジュエリー作りを提供する会社でも、光造形3Dプリンターが導入され始めています。その理由はソフトウェアでデザインを気軽に変更できるようになり、3Dデータを光造形3Dプリンターで出力するだけでジュエリーが作れるようになったためです。
光造形3Dプリンターは多品種少量生産を得意としているため、オーダーメイドジュエリーサービスと相性が良いです。
4.ものづくり初心者でもジュエリーが作れる
光造形3Dプリンターを活用したジュエリー作りは、ものづくり初心者の方でも楽しめます。その理由は、3DCADなどソフトウェアを活用してアクセサリーをデザインしなくても、オープンデータをダウンロードすれば、ジュエリーのデータが手に入るからです。
世界最大の3DプリントコミュニティサイトThingiverseには、指輪やネックレスなどのデータがダウンロードできるようになっており、このデータを光造形3Dプリンターに読み込ませるだけでジュエリーが作れます。
5.低価格でジュエリーが作れる
光造形3Dプリンターを導入してジュエリーを作れば製造コストが抑えられます。光造形3Dプリンターによる鋳型製造を内製化すれば、1/3程度のコストに抑えられます。
作業工程 | 外注 | 自作 |
3Dデータ制作 | 50,000円~ | – |
3Dプリント | 4,000円~ | 300円~1,000円 |
後加工・鋳造 | 30,000円~ | 30,000円 |
合計 | 84,000円~ | 30,300円~ |
光造形3Dプリンターで作れるジュエリー事例
光造形3Dプリンターによるジュエリー作りが注目を浴びていますが、どのようなものが作れるのでしょうか?ここでは、光造形3Dプリンターで作れるジュエリー事例を紹介します。
ネックレス

4本の線が螺旋状に渦を巻きながら雫の形状を作っている存在感があるジュエリーです。チタンをレーザーで焼結させており、独特な凹凸のあるマット調が魅力となっています。また、チタンのため非常に軽くて付け心地の良さも魅力となっています。
リング

複数のリングが繋がっており、上手く組み合わせることで1つのリングになるジュエリーです。このようなリングは「パズルリング」と呼ばれており、2つのリングが離れずに組み合わさるということから「離れることのない2人」としてカップルに人気です。
中世のヨーロッパでは結婚指輪として使用されていました。このような独特な形状も3Dプリンターであれば簡単に構想できます。
イヤーカフ

ねじれと空洞が特徴的なイヤーカフです。存在感があるジュエリーのため、シンプルなコーディネートにアクセントして使用できます。この商品の大きな特徴はモニターを募集して、フィットモデルを装着してもらって作り上げたことです。試作品を何度も気軽に作れる3Dプリンターの魅力が最大限に活かされています。
光造形3Dプリンターのジュエリーの作り方
光造形3Dプリンターでジュエリーを作る方法は、以下の通りです。
- 3Dデータを作成する
- 3Dデータを出力してモデルを作る
- サポート材を除去する
- ジュエリーを鋳造する
- ジュエリーの研磨・装飾をする
ここでは、それぞれの工程について解説します。
1.3Dデータを作成する
最初に、ジュエリーの3Dデータを作成します。3Dデータ作成には2つの方法があります。
- 3DCADを使用して3Dデータを作成する
- ジュエリーのオープンデータをダウンロードする
3DCADの操作方法が分からなかったり、ジュエリーのデザイン案が思い浮かばなかったりする方でもオープンデータをダウンロードすればものづくりが楽しめます。そのため、ジュエリー作りが初心者の方はオープンデータをダウンロードしてみてください。
2.3Dデータを出力してモデルを作る
ジュエリーの3Dデータを取得したら、光造形3Dプリンターに読み込ませてモデルを出力していきます。モデルの出力にも2つの方法があります。
- 光造形3Dプリンターでモデルを出力する
- 3Dプリンター代行サービスを利用する
3Dプリンター代行サービスは便利ですが、依頼費用が高いです。従って、何度もジュエリー作りを楽しみたい方は、光造形3Dプリンターを1台購入することをおすすめします。
3.サポート材を除去する
モデルに付いたサポート材はキレイに除去してください。その理由は、モデルにサポート材が付いていると、鋳造に影響が出てジュエリーの品質が低下してしまうからです。サポート材をキレイに取り除くためには、水で溶ける水溶性サポート材を使用するとキレイに取り除けます。
4.ジュエリーを鋳造する
ジュエリーのモデルを参考にして、鋳造(型づくり、金属の流し込み、解体)をします。鋳造は遠心分離機や加熱器が必要になるため、自宅で行うのは現実的ではありません。
鋳造は外注依頼をしましょう。1個から鋳造してくれる業者は数多く存在するため安心してください。
ビジネスでジュエリー作りを検討している方は小型の鋳造機が販売され始めたのでチェックすることをおすすめします。
5.ジュエリーの研磨・装飾をする
鋳物が届いたらヤスリを使用して研磨、装飾をしていきます。ヤスリを使用すれば、ジュエリーの研磨ができますが、電動ルーターを使用すれば研磨時間が大幅に短縮できます。
電動ルーターは3,000円程度で購入できるため、ものづくりを楽しみたい方は1本所有していても良いでしょう。
ジュエリー作りのための光造形3Dプリンターの選び方
光造形3Dプリンターでジュエリー作りをしたい方は、慎重に機種選びをしてください。その理由は、どの機種を選ぶかで、ものづくりの成否が決まるからです。
ジュエリーの精度が悪かったり、操作方法が分からずに機種が使いこなせなかったりという失敗を防ぐため、光造形3Dプリンターの選び方について把握しておきましょう。
1.造形精度
高品質なジュエリーを作るために、光造形3Dプリンターの造形精度を確認しましょう。微細で滑らかな高品質のジュエリーを作れなければ商品化はできません。自分で身に付けるジュエリーでも満足しにくいでしょう。
このような失敗を防止するために、細かい積層ピッチ(造形を積み上げていく間隔)による造形ができる光造形3Dプリンターを選んでください。
2.造形スピード
ジュエリー作りでビジネス展開を検討している方は、光造形3Dプリンターの造形スピードを確認しましょう。印刷時間を短縮して造形スピードを上げれば大量生産ができます。
具体的に説明すると、造形スピード10mm/hと30mm/hの製品を比較すると印刷速度は3倍程度変わってくるため、リードタイムの短縮を実現したい方は造形スピードで機種を比較してみてください。
3.操作性
光造形3Dプリンター購入で失敗したくない方は、機種の操作性を確かめてみましょう。操作性の優れた3Dプリンターを購入すれば、造形段階の便利さが格段に上がります。具体的に説明すると、完全日本語対応のソフトウェアが付いている機種や印刷前の設定が簡単にできる機種がおすすめです。
また、Wi-Fiや無線LAN、USBメモリで3Dデータを機種に転送できる機種を選べば、PCに不具合が出た場合でも3Dプリンターだけでジュエリー作りが楽しめます。そのため、3Dデータの転送方法も確認しておくことをおすすめします。
4.メンテナンス性
光造形3Dプリンターを安心・安全に使用するために機種のメンテナンス性を確認しておきましょう。その理由は、光造形3Dプリンターは精密機器であるため、精度の高いジュエリーを作り続けたい場合は定期的なメンテナンスをする必要があるからです。
レジントレイが取りやすく掃除が行いやすい光造形3Dプリンターをおすすめします。また、トラブルが起きた際を見据えて取り扱い説明書がある製品やサポート体制が優れた製品を選ぶと安心です。
光造形3Dプリンターでジュエリーを作る場合によくある質問
最後に光造形3Dプリンターでジュエリーを作る場合によくある質問をご紹介します。
Q.3Dプリンターの操作方法は覚えられますか?
3Dプリンターの操作にはコツが必要です。例えば、造形物の向きに応じてサポート材の使用量が変わり、品質に大きな影響が出ます。そのため、3Dプリンターを購入する前に、ワークショップで機種に触れてみたり、ショールームで機種の操作を体験できます。当社でも、ショールーム見学を実施しているので、ぜひご利用ください。
3Dプリンターの操作方法に慣れた上で購入すれば後悔することはないでしょう。
Q.3Dプリンターの機種選びに悩んだらどうすればいいですか?
お客様の要望に応じて、導入すべき3Dプリンターは異なります。
そのため、3Dプリンターをどういった目的で使用するのか決めてから、その旨を3Dプリンターの販売店に相談してみてください。そうすれば、お客様の要望に沿った商品を紹介して頂けると思います。
FLASHFORGEでもお問い合わせをいただくと、当社の技術スタッフからお客様に合った3Dプリンターを提示していますので、こちらもぜひご活用ください。
Q.3Dプリンターのジュエリー作りは仕事になりますか?
3Dプリンターのジュエリー作りが仕事になるかは一概には言えません。しかし、メルカリをはじめとしたフリマアプリの登場でジュエリーが簡単に売れるようになりました。3Dプリンターで作ったジュエリーをフリマアプリで販売して月10万円以上の収入を得る方はいるようです。
まとめ
ジュエリー作りに光造形3Dプリンターを活用すれば、製造工程を短縮できてコストが下げられます。また、ジュエリーのアイデアを試作品に反映させられることも大きな魅力です。
今回は、光造形3Dプリンターを活用したジュエリー作りの方法や製作事例を紹介しました。デザイナーの方だけではなく、ものづくり初心者の方でもジュエリー作りは楽しめます。ぜひ、これを機会に3Dプリンターのジュエリー作りを始めてみてください。