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3Dプリンター
- 公開日:2023.4.13
- 更新日:2023.7.11
大型造形に適した3Dプリンター5選とサンプル造形サービスのご紹介
家庭用などの一般的に販売されている3Dプリンターは、価格が安くて手軽に扱えるメリットがあるものの、最大造形サイズが小さいことから、造形できるオブジェクトが限られるという課題がありました。
一方で大型造形に対応する3Dプリンターであれば、印刷できるサイズの幅が広くなり、大型の造形物を作成したり、複数の小型の造形物をひと手間で作成したりといったことが可能です。また、試作品だけでなく、最終製品の作成にも大型の3Dプリンターが活用されつつあります。
そこで今回は、大型サイズの3Dモデルを造形したい方におすすめのFLASHFORGE製3Dプリンター、およびMarkforged製3Dプリンターの計5機種をご紹介します。また、各機種のサンプル造形サービスも提供しているため、大型3Dプリンターの導入を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
ページコンテンツ
大型造形対応3Dプリンターの必要性
3Dプリンターは、モデルを印刷するための3Dデータさえあれば、だれでも造形できる点がメリットです。しかし従来の3Dプリンターは、印刷できるサイズが小型で、試作品などを作成するにも、用途が限定的でした。
一方、大型造形に対応する3Dプリンターがあれば、大型サイズかつ、自由度の高いモデルの造形が可能です。いままで職人の手作業でのみ作成されてきた大型の部品や、フィギュアなどの作成も手軽に行えるようになります。
製造業では、大型造形に対応した3Dプリンターから、そのまま完成品の部品を印刷し、製品に採用している例もあるほどです。また、大型3Dプリンターは、大型サイズの印刷だけでなく、小型のモデルを複数印刷することも可能で、幅広い用途に対応できます。
大型造形対応3Dプリンターは、種類によってエンプラ素材やカーボンファイバーを含む素材に対応しているのも特徴です。エンプラ素材、カーボンファイバーを含有する素材は、一般的なPLAやABSの素材に比べて、高い強度を有したモデルや、耐熱性のあるモデルの印刷が可能になります。
大型造形対応のおすすめ3Dプリンター
ここでは、大型モデル造形におすすめのFLASHFORGE製3Dプリンター、およびMarkforged製3Dプリンターをご紹介します。ピックアップした3Dプリンターは以下の5機種です。
【FLASHFORGE製3Dプリンター】
【Markforged製3Dプリンター】
一部の機種では、大型3Dプリンターの導入事例についても併せてご紹介しております。それでは各機種の特徴について詳しく見てみましょう。
Creator4S【最大造形サイズ:400×350×500mm】
Creator4Sは、FLASHFORGE製熱溶解積層方式の最上位モデルです。最大造形サイズが400×350×500mmと大きいほか、優れた安定性と造形精度を両立していることから最終製品の製造まで対応します。
フィラメントは、カーボンファイバーから一部のスーパーエンプラを含む、約20種類に対応。用途に応じて強度・耐熱性・耐薬品性などの特性を有したモデルの造形が可能です。
本体は庫内温度を保てるヒートチャンバーを搭載しているのも特徴です。造形中に一定の温度を保てるので、熱収縮の影響を軽減した、反りの少ない造形を実現します。
エクストルーダーは左右で独立して稼働するデュアルタイプで、異なる素材や色を用いた造形や、左右対象モデルの同時造形などに対応します。サポート材用のフィラメントと組み合わせれば、複雑なモデルを造形したときに、溶剤でサポートを除去することも可能です。
Creator4Sの導入事例
堀江貴文さんが創設した宇宙ベンチャー企業「インターステラテクノロジズ株式会社」では、人工衛星を宇宙に運ぶロケット「ZERO」の開発に、Creator4Sを活用しています。
Creator4Sは、大型の造形に対応していて、安定性や精度も高いことから、上図のように原寸サイズで印刷した部品を使って、様々なシミュレーションに活用されています。
Creator4Sを導入した理由として、同等の機能を有する他の3Dプリンターに比べて、価格が100万円台と安い点も決め手になったとのことです。
インターステラテクノロジズ株式会社のCreator4S導入事例は、以下のページにて詳細を解説しています。
【参考記事】:ロケットZERO開発に3Dプリンター「Creator4S」を活用!|インターステラテクノロジズ株式会社
土木の建設資材の製造・販売を行っている「FSC藤原産業株式会社」でも、大型のサイズが印刷できることと、本体価格が安いことから、Creator4Sを導入されています。
Creator4Sは最終製品の造形にも適しているため、FSC藤原産業株式会社では、土木業界で使える20〜30cmサイズの部品などをそのまま作成しています。FSC藤原産業株式会社の導入事例は、以下のページでご紹介しています。
【参考記事】3Dプリンター「Creator4S」を用いて、建設資材を製作|FSC藤原産業株式会社
【Creator4Sのスペック表】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 840x675x1000(1050)mm |
最大造形サイズ | 400x350x500mm |
造形精度 | ±0.2mm |
ノズル径 | 0.4mm(0.6mm/0.8mm) |
エクストルーダー | IDEX(独立型デュアルエクストルーダー) |
最大エクストルーダー温度 | HT320℃ / HS:360℃ / F:265℃ |
タッチパネル | 7インチフルカラー |
対応フィラメント | PLA、ABS、PETG、PC、PA、ASA、PBAT、TPC、TPE、PVA、HIPS、PA-CF、PETG-CF、PLA-CF、TPU |
本体価格 | 100万円台(お見積り) |
Guider3Plus【最大造形サイズ:350x350x600mm】
Guider3Plusは、最大造形サイズが350x350x600mmと大きく、プロトタイプモデルの印刷に適した大型3Dプリンターです。
本製品は、Z軸方向の高さが600mmと大きいほか、最大耐荷重30kgの大型モデルの出力が可能です。また、大型造形に対応しながらも、造形速度は最高250mm/sと高速かつ、造形精度は±0.15mmと精密な造形を実現しています。
ヘッドは最大320℃まで加熱が可能で、優れた特性を有するエンプラ素材の印刷に対応します。
本体背面に2つ配置したフィラメント収納ボックスは、温度計と湿度計を搭載。フィラメントを正しく管理したいときに便利です。ボックス内部にはシリカゲル乾燥剤を配置していて、湿度20%以下だと最大5日間保存できます。
本体はカメラを搭載しているため、タイムラプス動画の記録や、3Dプリントプロセスの確認も可能です。
【Guider3Plusのスペック表】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 635×590.5×1060mm |
最大造形サイズ | 350×350×600mm |
造形精度 | ±0.15mm |
ノズル径 | 0.4 (0.6/0.8)mm |
最大ノズル温度 | 320℃ |
タッチパネル | 7インチフルカラー |
対応フィラメント | PLA、ABS、PETG、PC、PA、ASA、PC-ABS、PA-CF、PETG-CF、PLA-CF |
保証 | 1年 |
本体価格 | (お見積り) |
Guider3【最大造形サイズ:300x250x340mm】
Guider3は、最高250mm/sの高速造形と、最大造形サイズ300x250x340mmのスペックで、スムーズに大型モデルを作成したい方におすすめです。
大容量の造形サイズを有していながらも、本体サイズは496x436x696mmとコンパクト。本体は、フレームにアルミ、筐体にはABSやアクリル板を採用したことで、軽量化も実現しています。
フィラメントの押し出し部は、ダブルギアを採用。従来機よりもフィラメントの押し出しがスムーズになり、ノズル詰まりのトラブルを軽減します。
ノズルは加熱が320℃まで、ノズル径は0.4mm/0.6mm/0.8mmの3種類に対応。これにより、PCやPAなどのエンプラ素材を用いた印刷が可能です。
【Guider3のスペック表】
プリント方式 | FFF(熱溶解積層法) |
本体サイズ | 496x436x696mm |
最大造形サイズ | 300x250x340mm |
造形精度 | ±0.15mm(造形サイズが100mm未満) ±0.002mm/mm(造形サイズが100mm以上の1mmあたりの誤差は±0.002mm) 例:造形サイズが110mmの場合±0.22mm |
ノズル径 | 0.4 (0.6/0.8)mm |
最大ノズル温度 | 320℃ |
タッチパネル | 4.3インチフルカラー |
対応フィラメント | ABS、PLA、PC、PA、ASA、PETG、PA-CF、PLA-CF、PETG-CF |
保証 | 1年 |
本体価格 | ¥495,000(税込) |
X7【最大造形サイズ:330x270x200mm】
X7は、今回ご紹介する3Dプリンターのなかでは、最大造形サイズがやや小型の機種になりますが、アルミニウムと同等の強度と、高い造形精度を実現する大型対応3Dプリンターです。
本製品は、Markforged独自の技術「CFR(Continuous Fiber Reinforcement)」と、精密機械加工されたハードウェア、本体ヘッドに組み込まれたレーザー計測器を搭載しています。
これらの技術により、カーボンファイバーなどの優れた特性をもつ材料に幅広く対応し、高い精度を有しているのが特徴です。
X7で使える代表的な素材は、以下のようなものがあります。
・Onyx
マイクロカーボン繊維を含むナイロンベースの素材。強度・堅牢さ・耐熱性を兼ね備えており、耐久性が重視される様々なプロジェクトに最適です。
・カーボンファイバー
重量に対する強度と熱伝導率が非常に高い素材。Onyx素材のみの造形物に比べて、6倍の強度と18倍の硬度を有しています。航空機や自動車などの高性能製品に幅広く使用されています。
・HSHTファイバーグラス
HSHT(High Strength High Temperature)ファイバーグラスは、高い強度と耐熱性を有した素材。特に高温環境でも性能を維持できるのが特徴で、エンジニアリングや産業用途などの厳しい環境下でも活躍します。
X7の導入事例
英国の家庭用オーディオメーカー「Wilson Benesch社」は、X7の技術を活用している企業のひとつです。
当社の製品には最先端の3D技術と、カーボンファイバーを複合した材料を採用。新製品、GMT ONE System™ターンテーブルは、カーボンファイバーを組み込んだ高度な3次元コンポーネントを設計・製造することで、優れた剛性とエネルギー吸収性を実現しています。
また、X7の導入により、従来の製造法では不可能だった製品開発を数時間で行っているのもポイントです。
【X7のスペック表】
最大造形サイズ | 330x270x200mm |
積層ピッチ | 50~250μm |
造形方式 | FFF+CFF |
対応素材 |
Onyx、Nylon white、Smooth TPU95A、Precise PLA |
ノズル数 | 2 |
本体サイズ | 584x483x914mm |
重量 | 48kg |
FX20【最大造形サイズ:525x400x400mm】
FX20は、525x400x400mmの最大造形サイズと、業界最高水準の精度を有した大型対応3Dプリンターです。
本製品は、X7よりも最大造形サイズが大きいほか、Markforged独自のCFR技術により、ファイバー素材とプラスチック素材を複合した、耐久性の高いモデルを印刷できます。
また、優れた強度や耐熱性を有する「ULTEM 9085」フィラメントに対応しているのも特徴です。ULTEM 9085フィラメントは、高強度かつ難燃性の高性能熱可塑性材料で、防衛・自動車・石油・ガス産業などの厳しい材料特性が要求されるシーンにも利用できます。
本体には最大200℃まで加熱が可能なヒートチャンバーを搭載。外部の温度に影響を受けにくく、3Dモデルを高速かつ高精度で印刷できます。
FX20の導入事例
オーストラリアのSQP Engineering社では、高度な機械加工製品を製造するために、FX20を導入しています。
FX20の導入実績として、9時間もの時間を要した特定部品のプリントが2.5時間に短縮されたほか、品質の向上にも寄与しています。また、他の企業では対応しにくかったパーツの製造にも対応し、満足のいく価格設定と短納期での提供を可能としました。
【FX20のスペック表】
最大造形サイズ | 525x400x400mm |
積層ピッチ | 50~250μm |
造形方式 | FFF+CFF |
対応素材 |
Onyx、Onyx FR、Onyx ESD、Nylon、カーボンファイバー |
ノズル数 | 3(樹脂×2、ファイバー×1) |
本体サイズ | 1325x900x1925mm |
重量 | 530kg |
品質の確認に便利なサンプル造形サービスのご紹介
FLASHFORGEでは、大型造形対応3Dプリンターの導入を検討している方を対象に、サンプル造形サービスをご提供しています
サンプル造形サービスとは、3Dプリンターの導入を検討している法人様限定で、1回に限りサンプルを造形するサービスです。造形サイズに関しましては要相談となります。
FLASHFORGE製の3Dプリンターでは、Creator4S、Guider3Plusの2種類が無料でお試しいただけます。選択できる素材については下記の通りです。
- PLA
- ABS
- PETG
- PC
- PC-ABS
- PA
- PA6-CF
- PETG-CF
- PLA-CF
各素材の特徴について知りたい方は、FLASHFORGEまでお問い合わせいただくか、以下の記事を参考にしてみてください。
<<3Dプリンターで使える素材とは?種類と特徴を徹底解説します【対応表あり】
また、サンプル造形サービスでは、Markforged製の3Dプリンター、Mark Two、X7、FX20のサンプル造形サービスも提供しております。
Markforged製の3Dプリンターでは、Onyxやカーボンファイバーをはじめとした、さまざまな素材を選べます。Markforged製の3Dプリンターを体験してみたい方も、お気軽にお問い合わせください。
大型3Dプリンターに関するよくある質問
最後に、大型3Dプリンターに関して、お客様からよくいただく質問について回答いたします。
大型3Dプリンターの主な用途は何ですか?
大型3Dプリンターの主な用途は、大型の試作品や、フィギュア、治具の製作などです。
大型3Dプリンターは、造形精度が高く、エンプラなどの高強度な材料に対応した機器が多いため、最終製品の作成にもおすすめです。
大型3Dプリンターで使用できる材料は何がありますか?
FLASHFORGEの大型3Dプリンターは、一般的な材料であるPLAやABS以外にも、PA(ナイロン)やPC(ポリカーボネート)などのエンプラにも対応しています。
エンプラは、工業製品にも使用されている材料で、耐衝撃性や耐薬品性などに優れており、最終製品として造形したい場合におすすめです。用途によっては、金属からエンプラ製のパーツに置き換えることで、コストや重量の削減に寄与します。
最上位モデルの大型3Dプリンター「Creator4S」では、サポート材に使えるHIPSフィラメントなどにも対応しています。サポート材用のフィラメントは、溶剤でサポート材を溶かせるため、複雑な形状のモデルを造形するときに便利です。
また、Markforgedの大型3Dプリンターであれば、強度と熱伝導率に優れた素材のカーボンファイバーや、産業用途にも使えるほどの耐熱性と強度を有したHSHTファイバーグラスを利用できます。
大型3Dプリンターの導入コストを抑えたい
大型3Dプリンターは大きな初期投資が必要となるため、導入が難しい企業も多いかもしれません。
しかし当社の3Dプリンターは、経済産業省が推進する、中小企業の設備投資を支援する制度「中小企業経営強化税制」を活用することで、導入の負担を大幅に軽減することができます。
この制度は、中小企業が新たな設備を導入する際に、その費用を軽減するための税制優遇措置になります。具体的には、即時償却または税額控除の最大10%の優遇措置が受けられるので、ぜひご検討ください。
まとめ
大型造形に対応した3Dプリンターは、サイズの大きな試作品などを作成できるほか、複数の小型製品を同時に作成できるなどのメリットがあります。また、PLAやABSのフィラメントのほかにも、高強度なエンプラやカーボンファイバーなどの材料を使えるため、最終製品の作成にもおすすめです。
大型3Dプリンターに興味のある方は、サンプル造形サービスにて、造形物の精度や強度、材質をお確かめいただけます。
3Dプリンターの実機を見たり触ったりしたいという方は、FLASHFORGEのショールームをご検討ください。
ショールームは、大阪と東京の2つのエリアで開催しております。大阪のショールームでは、FLASHFORGEの3Dプリンターだけでなく、Markforgedの機器も展示しているので、ぜひご利用ください。
参加を希望する方は、以下のページにある申請フォームからご予約をお願いいたします。