-
3Dプリンター
- 公開日:2022.5.16
- 更新日:2023.1.31
光造形3Dプリンターのおすすめ機種とレジンをご紹介!
家庭用・業務用にかかわらず、幅広く普及している3Dプリンターにはさまざまな造形方式があります。
その中でもポピュラーなものが「光造形方式」です。本記事では光造形3Dプリンターの特徴、選び方について解説したうえで、おすすめ機種とレジンをご紹介します。
光造形3Dプリンターを導入するのか検討されている方には、参考になるかと思いますので、是非最後までご覧ください。
ページコンテンツ
光造形3Dプリンターの仕組みとは?
光造形3Dプリンターは、紫外線を照射すると硬化する特殊な樹脂素材(レジン)を使い、造形物を1層ずつ印刷していくタイプの3Dプリンターです。スライサーと呼ばれるソフトウェアを使い、造形する3Dグラフィックを無数の層に分断し、そのデータに従って造形物を印刷していきます。
レジンにはプラスチックのような質感からゴムのような質感まで、さまざまな素材が提供されています。光造形3Dプリンターは初心者におすすめの3Dプリンターですが、レジンによって再現できる質感は多彩なので、さまざまなシーンでご利用いただけます。
家庭用・業務用の違い
光造形3Dプリンターにおける家庭用と業務用の違いは「価格」と「造形精度」です。
一般的に、家庭用の光造形3Dプリンターの方が安く提供されており、10万円未満で手にはいる機種がほとんどとなっています。中には1万円台で手にはいる機種もありますが、造形精度はかなり落ちるためご注意ください。
一方、業務用の光造形3Dプリンターは10~50万円程度で提供されています。必ずしも「価格が高いから良い」というわけではありませんが、細かい部分までコストがかけられている分、家庭用と比べると高い造形精度を実現できます。
光造形3Dプリンターのメリット
次に、光造形3Dプリンターが持つ4つのメリットを確認していきましょう。
造形物の量産が素早い
光造形3Dプリンターは、「造形物の量産」という点において、他の造形方式よりも優れています。
その理由は、レジンは他の造形方式で使われている素材に比べて熱する時間が短く、出力もスムーズなためです。中でも「DLP」と呼ばれるタイプの光造形3Dプリンターは、レジンに対して下から面状に紫外線を照射するため、素早い量産を実現します。
光造形3Dプリンターには「LCD」と呼ばれるタイプもあります。LCDは、光造形3DプリンターにLCDパネルを搭載したもの。DLPと同様に面状に紫外線を照射する仕組みで、素早い造形が可能です。LCDの光造形3Dプリンターは、DLPに比べてイニシャルコスト(初期費用)が安く済むのがメリット。一方でパネルを定期的に交換する分、ランニングコストがかかります。
仕上がり精度が高い
造形物の仕上がり精度が高いというのも、光造形3Dプリンターの大きなメリットです。熱溶解積層方式と呼ばれる3Dプリンターでは、熱変形によって仕上がり精度が落ちる場合があります。
一方、光造形3Dプリンターは、変形が少なく解像度も高いため、より綺麗に再現することができます。フィギュアや部品のプロトタイプ作りなど、限りなく3Dグラフィックに近い仕上がりを求める場合は、光造形3Dプリンターがおすすめです。
滑らかな質感を再現できる
光造形3Dプリンターに使用するレジンは液体素材なので、造形時に滑らかな仕上がりになるのが特徴です。しかも、素材を選べばゴムのようなものなど、造形物に合わせてさまざまな質感を再現することができます。
透明度の高い造形も可能
ナチュラルカラーのレジンを使用し、研磨・トップコードを施せば透明度の高い造形も可能となります。アクリル系のレジンを使えば高い透明性を確保でき、造形後の研磨によって透明度をさらに高めることもできます。
光造形3Dプリンターのデメリット
メリットが多い一方で、光造形3Dプリンターにはデメリットもあります。購入前にデメリットもしっかりと確認し、正しい3Dプリンター導入を目指しましょう。
サポート材の除去が必要
光造形3Dプリンターを使って造形する上で欠かせないのが「サポート材」です。サポート材とは、造形物の中で浮いている部分を造形するにあたって、支え・土台となる材料を意味します。
上の画像のように、サポート材が必要な場合はスライサーソフトでサポート材を設置してから、3Dプリンターで造形していきます。光造形3Dプリンターで印刷する際、サポート材も一緒に造形する必要があるため、サポート材の除去が必要となります。
造形物によって、洗浄と二次硬化が必要
レジンを使って印刷すると、造形物は余計なレジンが付着した状態で出力されます。光造形3Dプリンターにおいては、そうした余計なレジンを洗い流さなければいけません。
一般的にはエタノールを使いますが、水で洗い流せるレジンもあります。ただし、洗浄後のエタノールや水にはレジンの樹脂が含まれているため、下水に流せないのが難点です。
また、光造形3Dプリンターで仕上げた造形物は、レジンがまだ硬化しきれていない可能性があるため、二次硬化が必要となります。
レジンの洗浄にかかる手間をなくしたい方は「エキマテ」の使用がおすすめです。エキマテは水溶性のレジンでベタつきが少なく、造形物を水道水と台所洗剤で洗浄できます。洗浄液を廃棄するのも、ほとんどの地域で直接下水道に流すことが可能なため、快適に光造形を実現します。
通常のレジンと異なり、有害な化学物質やアレルゲン物質を含んでいないので、レジンアレルギー発症の心配もありません。また、一般的なレジンにみられる刺激臭は少ないため、オフィスや学校など閉鎖された環境などでもご利用いただけます。
FLASHFORGEで取り扱っているすべての光造形機は、エキマテに対応しています。エキマテの詳細について知りたい方は、以下のページをチェックしてみてください。
太陽光に弱くて脆い
光造形3Dプリンターの造形物は、耐候性に乏しく、太陽光に長時間当たっているとさらに硬化し、変形や割れが発生してしまいます。透明なレジンを用いた場合は、太陽光を浴びると、黄ばんでしまうのもデメリットです。
また、スタンダードレジンを使った造形物は、脆くて欠けやすい特徴もあります。脆さや欠けやすさを避けたい場合は、ABS樹脂のような強度や靭性を有する「ABSライクレジン」を用いるのがおすすめです。
光造形3Dプリンターの選び方
ひと口に光造形3Dプリンターと言っても、値段・性能はピンからキリまであります。自分・自社にとって最適な光造形3Dプリンターを選ぶためには、ここでご紹介するポイントをしっかりと押さえることが大切です。
造形物のサイズを決める
まずは、光造形3Dプリンターを使って印刷しようと考えている造形物のサイズを決めましょう。光造形3Dプリンターごとに最大で造形できるサイズが決まっており、どんなに頑張っても最大サイズ以上の造形はできません。
したがって、現時点で想定している造形物のサイズを決め、それに応じて光造形3Dプリンターの機種をピックアップしていきます。「将来的にこんな造形物も作るかもしれない」など、先々まで考えたサイズ決定をおすすめします。
最適な素材を確認する
次に、現時点で想定している造形物から最適なサイズを確認しましょう。レジンにはさまざまなタイプの素材が存在し、質感も特性も違います。造形物によって合う・合わないもあるため、レジンごとの特徴を事前に確認しておきましょう。
【参考記事】レジン選びが重要!3Dプリンター(光造形方式)で綺麗に造形するポイント
アフターサポートを確認する
光造形3Dプリンターを選ぶ際は、アフターサポートの有無を確認しておきましょう。機器にトラブルが発生し、造形できなくなった場合でも、アフターサポートがしっかりしていれば、すぐに光造形3Dプリンターを再稼働できます。
FLASHFORGEの光造形3Dプリンターは、購入後1年間の無償保証を行っています。万が一初期不良があった場合でも対応いたしますので、安心してご利用いただけます。トラブル発生時のサポートは、電話もしくはメールにてご対応いたします。
また、3Dプリンターのトラブル解決策について知りたい方は、以下のFAQページを確認してみてください。
直接メーカーや販売店に問い合わせる
光造形3Dプリンターの製品紹介やカタログを見ただけでは、分からないこともあるかもしれません。そのときは、直接メーカーや販売店に問い合わせて、詳細な機能や、自身の用途に合っているのかなどを確認するのがおすすめです。
FLASHFORGEでは、以下の購入前相談フォームから、お客様の要望や予算に応じた光造形3Dプリンターをご提案いたします。実機を見たり触ってみたりしたい方向けに、ショールームも開催しておりますので、お気軽にご相談ください。
家庭用!おすすめの光造形3Dプリンター2選
それでは、家庭用におすすめのFLASHFORGE製の光造形3Dプリンターを2機種ご紹介します。
Foto8.9
Foto8.9は、プリントレイヤーがミクロン単位と細かく、精密パーツの出力におすすめのLCD方式光造形3Dプリンターです。造形物の積層痕が目立たず、表面が滑らかに仕上がるので、フィギュア制作などにも適しています。
本体に搭載されているLCDパネルは4Kモノクロパネルを、Z軸リニアガイドは工業用レベルの部品を採用しており、高解像度の光造形を実現します。
最大造形サイズは、幅192×奥行120×高さ200mmと広いため、幅広い3Dモデルの造形に活用できます。下記の画像はABSライクレジンを使って、造形したもので、一度の印刷で11個のバックルを作成しました。
項目 | 詳細 |
---|---|
造形サイズ(最大) | 幅 :192 mm奥行:120 mm高さ:200 mm |
本体サイズ | 幅 :280 mm奥行:240 mm高さ:465 mm |
造形方式 | 光造形方式(LCD) |
レジントレイ | 0.5L |
LCDパネル | 4Kモノクロパネル |
電圧 | 120W |
光源 | 405nmLED |
本体操作 | 3.5インチ タッチパネル |
通信方式 | USBメモリ |
本体価格(税込) | 78,100円 |
Foto8.9s
Foto8.9sは家庭用の光造形3Dプリンターの高性能機種です。独自開発の工学システムによって紫外線照射のムラを10%以下に抑えたことで、Foto8.9sも高い精度の造形を可能にしました。
造形サイズは前機種のFoto8.9と変わりませんが、大きさよりも造形物のディテールにこだわりたい方向けの光造形3Dプリンターです。さらに、Foto8.9より安定した出力を実現しています。ここで、Foto8.9sを使ってメカ系オリジナルキットを作成されているギャレス(@gyalles_22)さんの作品をご紹介します。
こちらは、スタンダードレジンを用いて、分割ではなく一括で戦闘ロボを出力。積層方向に力がかかると造形が失敗する恐れがあるので、出力方向やポーズを工夫しながら造形されたそうです。
上記はスタンダードレジンを使って造形。積層ピッチ0.05mm、総造形時間が7時間をかけて戦闘ロボを作成しました。以下はFoto8.9sのスペックになります。
項目 | 詳細 |
---|---|
造形サイズ(最大) | 幅 :192 mm奥行:120 mm高さ:200 mm |
本体サイズ | 幅 :305 mm奥行:264 mm高さ:490 mm |
造形方式 | 光造形方式(LCD) |
レジントレイ | 0.5L |
LCDパネル | 4Kモノクロパネル |
電圧 | 120W |
光源 | 405nmLED |
本体操作 | 3.5インチ タッチパネル |
通信方式 | Wi-Fi、USBメモリ、イーサネット |
本体価格(税込) | 96,800円 |
光造形3Dプリンターに関するよくある質問
最後に、光造形3Dプリンターに関してお客様からよく問い合わせがあるご質問を2つに絞ってお伝えいたします。
Q.光造形機で出力を終えた後の手順について教えてください。
造形後の手順は以下の通りです。ご参考ください。
印刷完了→印刷完了したモデルを本体から取り外し無水エタノール又はIPAで洗浄(水洗いレジンの場合は水道水)→乾燥(自然乾燥又は乾燥機等での乾燥)→紫外線ランプ(405nm波長のもの)で二次硬化→完成。
Q.光造形3Dプリンターの保守対応はされているのでしょうか?
光造形機は製品を購入後、1年間のメーカー保証を設けています。保証期間内に修理が必要になった場合は無償で修理対応します。
もし、製品の使い方や印刷方法、導入に関するご相談がありましたら、メールやお電話でお問い合わせください。当社の技術スタッフが対応いたします。
まとめ
いかがでしょうか?本記事では光造形3Dプリンターの特徴や、おすすめ機種5選をご紹介しました。光造形3Dプリンターは最も古くから存在する造形方式ですが、今でも進化しており、精度の高い造形が可能となっています。
FLASHFORGEの光造形3Dプリンターは、いずれのモデルも1年間のメーカー保証が付いているほか、日本国内にて厳正な出荷検査を行っているため、安心してご購入いただけます。機器にトラブルがあった場合でも、修理から返却まで1~2週間以内での対応が可能です。
光造形3Dプリンターを検討していて不明な点などありましたら、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。